犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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田亀源五郎『弟の夫』全4巻

2017年08月26日 | よみものみもの
小学3年生の娘と二人暮らし。
不動産の管理をして家計を賄いつつ、家事をこなす。

両親は高校生の頃に交通事故で同時に亡くなってしまった。
それからは双子の弟と二人だった。
しかしその弟は数ヶ月前に移住先のカナダで病死してしまった。

弟はカナダで結婚していたが、その相手が日本を訪ねて来た。
ゲイ男性である。
弟は高校生のときに兄である主人公にカムアウトした。
カナダで出会った男性と、カナダの法律により、結婚したのだ。



作者はゲイ・エロティック・アーティストの田亀源五郎。
ゲイはタイプによって棲み分けがあるようだが、
田亀は熊系らしい。
熊は、ずんぐりとたくましく毛深い男たちだ。



熊系ゲイのマイクの人柄が良い。
死別した夫の故郷をはるばる訪ね、その兄の家に泊まる。

カナダからやって来た叔父さんのマイクを、かなはすぐに大好きになる。
かなはカナダ人のおじさんを同級生に見せびらか おっといけない 紹介する。



かなの反応がある。
かなの友達の反応がある。
かなの友達のお母さんや担任の先生の反応がある。

マイクの滞在期間を通して、主人公は自分の思いに気付いてゆく。



この人物を主人公に据えたことで、ずいぶんこの作品は成功していると思う。
弟の夫が最初に家に着いた時から、カナダへ帰って行く時までに、
意識はいろいろと変化する。
そこを上手に表現している。

滞在期間だけでなく、過去に弟のカムアウトに接した時、
それを受け入れてきた自分の思いを振り返る。
また、娘の将来を思うことで、
作品は時間的に大きな広がりを持つ。



とかなんとか説明しても意味無い。
とにかく読んだらいい。
何度も眼汁が出る。

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