犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

川上弘美のこと

2010年09月24日 | よみものみもの
夕飯に缶チューハイを飲んでいると、
先生が手に取って言う。

「へー、チェリオが作ってるんですか」

へー、先生はチェリオを知っているのか。
チェリオってそんなに売ってないよな。
三宝寺池の茶店の前の自販機がチェリオだったな…。

私は憶え違いを口に出す。
「プラッシーとかね。米屋で売ってますよね。」

え、それは知りません、と先生は言う。

※※※

その後、私は夕飯のお供に、川上弘美の短編集「ハヅキさんのこと」を読み始めた。
しおりを挟んでいたのは「島」。
2ページ目に入って、驚いた。

《港集落にある米屋で買ったプラッシーの瓶に口をつけて、とくとくと飲む。》

私はページを開いて
「ほら」
と先生に見せる。

※※※

この本に収まっている26の短編は、どれも5、6ページで、さっくり読める。
けれど、市立図書館の14日の期限を過ぎても、私は読み終えられずにいる。

どの作品も、余韻があるのだ。
短い物語が終わった後も、その世界が、時間が、広がる。

すぐに次の一篇に移れない。

※※※

川上弘美の筆は達者だ。
最初の2行、長くても7~8行で、見事に状況を説明する。

それだけで、登場人物と物語の背景を、読者はつかむことができる。
次の段落からは、見知った人の噂を聞くように、読み進められるのだ。

ご一読あれ。

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