[あらすじ] 動画で使うため、四天王像の切り絵を作る。
モデルにする像で、迷う。どれもそれぞれの魅力が有るからだ。
四天王寺、金剛峯寺、海住山寺、西大寺、唐招提寺、
法隆寺、興福寺北円堂、当麻寺金堂。
嗚呼。
四天王はもともとインド生まれである。
ヒンドゥーの神々の、
ドリタラーシュトラ、ヴィルーダカ、ヴィルーパークシャ、ヴァイシュラヴァナが
それぞれ、持国天、増長天、広目天、多聞天となった。
インドでは貴人の姿だったのが、チベットや中国を経て武人の姿になっており、
日本では邪鬼を踏んづけている。
仏像は、色や服装や持ち物が決まっている。
そしてそれぞれに呪文が有る。
しっかりと姿を思い浮かべ、マントラを唱えることによって、
瞑想して神仏と一体化するためだろう。
持国天は刀、増長天は戟(ほこ)、広目天は巻物と筆、多聞天は宝塔を持つ。
そう言えば、大陸の四天王は服装も持ち物も日本と違ったはず、と思い出して、
写真をチェック。
半島や中国の持国天は琵琶を持っている。
まるで日本の弁財天のようだ。
道(シルクロード)を遡って、チベットやブータンの持国天を見ると、
ご当地の楽器を持っている。
うわあ、私の緑ボディ皮張りのバリトンウクレレとそっくりじゃないか。
ブータンのダムニェンという楽器らしい。
ほ、欲しい。
※
ブータンの四天王の画像を動画で使いたいが、
ちょっと行って撮影してくるって場所でもないし、
インターネット上でもなかなかコレってのが見付からない。
自分で描くのにも手本が足りない。
やはり、動画で使う四天王像は、切り絵一本でいこう。
※
どの四天王像も魅力的だが、
おそらく、よく知られていて一番人気なのではないか、と思うのが
東大寺戒壇堂の四天王像だ。
決めた。決めたったら決めた。
インターネットで画像検索をすると、数々の写真が見つかる。
さらに、図書館から大判の写真集を何冊も借りてきて、見比べる。
コロナ禍の世でなければ、奈良までひとっ走り会いに行くところだ。
色々な写真を見る。
それぞれの味わいが有る。
お堂の中で撮ったので、向こうに戸口が開いて外の緑が見えるもの、
引きで全身像を撮って、足下の邪鬼もおもしろいもの、
ライティングによって表情や衣の動きを惹き起たせたもの、
超ドアップに寄って、顔の表情のみにフォーカスしたもの。
などなど。
動画の画角、縦9×横16に四天王を並べるなら、一体は縦9×横4か。
立ち姿を収めるのにちょうどいいが。
全ての像を同じように並べるか。
それとも持国天は刀から上、増長天は戟を持った全身、
広目天はその表情、多聞天は宝塔を掲げる形などと、
描く角度をそれぞれにするか。
迷う。
※
自分で下絵を描き起こそうかとも考えたが、
やめた。
写真をもとに、切り絵の下絵を作ることにした。
写真の上にトレーシングペーパーを乗せて、
白黒の境目の線をボールペンで描いていった。
経験が有るが、これでは、どっちが黒でどっちが白か分からなくなりがちだ。
絵として作っている時も混乱して、切り絵として成立しないものになったりするし、
切る時も間違った線で切ってしまってバラバラになってしまったりする。
やーめた。
写真をプリントアウトして、作りたいサイズに拡大 / 縮小し、
白黒の階調を二段階つまり白か黒かに分けるように鉛筆で塗り重ね、
それを黒い紙の上に両端だけ貼り付けて、切る。
多聞天は、描きたい角度の写真がどうにも見つからなかった。
もう少し像の右側からの絵にすると形が良さそうだと思ったのだが、
探してもそういう写真が見つからないということは、案外
その角度では絵にならないからなのかもしれない。
やっと見つけた角度の画像も、サイズがとても小さく解像度が低い。
小さい写真をプリントアウトして、拡大コピーした粗い画像に
他の写真を参考に、鉛筆で塗り重ねていくと、次第に写真が鮮明になっていく。
像は彩色が剥げているので分かりにくいが、
増長天と多聞天は髭をたくわえている。
が、私がそれに気付いたのは多聞天の下絵を作っている時だった。
その時には既に増長天は切り終わっていて、
鼻の下は空白になっている。
まあ、いいや。
※
東大寺戒壇堂の像は、八世紀の塑像である。
身長はみなさん160㎝台だという。
この数字は、どこからどこまでを測っているのだろう?
髷のてっぺんまで測っているとしたら、
実際の身長はも少し低いか。
私は身長159㎝なので、ちょうど同じくらいの体格なのか。
飛鳥時代の四天王は表情や動きにはとぼしい。
しかし奈良時代の像には既に表情が表れる。
鎌倉時代のものともなると、えらい形相で踏ん張っている。
戒壇堂の四天王は、表情や動きが控え目ながら有り、
静かに力をはらんでいるといった感じだ。
下絵を自分で描いたら、もっと情感が増した絵になっただろう。
しかし、写真をもとにして、ちまちまと切ることにしたので、
もとの像の持つ静かさが出たように思う。
※
完成図は動画で。
カミンスーン
モデルにする像で、迷う。どれもそれぞれの魅力が有るからだ。
四天王寺、金剛峯寺、海住山寺、西大寺、唐招提寺、
法隆寺、興福寺北円堂、当麻寺金堂。
嗚呼。
四天王はもともとインド生まれである。
ヒンドゥーの神々の、
ドリタラーシュトラ、ヴィルーダカ、ヴィルーパークシャ、ヴァイシュラヴァナが
それぞれ、持国天、増長天、広目天、多聞天となった。
インドでは貴人の姿だったのが、チベットや中国を経て武人の姿になっており、
日本では邪鬼を踏んづけている。
仏像は、色や服装や持ち物が決まっている。
そしてそれぞれに呪文が有る。
しっかりと姿を思い浮かべ、マントラを唱えることによって、
瞑想して神仏と一体化するためだろう。
持国天は刀、増長天は戟(ほこ)、広目天は巻物と筆、多聞天は宝塔を持つ。
そう言えば、大陸の四天王は服装も持ち物も日本と違ったはず、と思い出して、
写真をチェック。
半島や中国の持国天は琵琶を持っている。
まるで日本の弁財天のようだ。
道(シルクロード)を遡って、チベットやブータンの持国天を見ると、
ご当地の楽器を持っている。
うわあ、私の緑ボディ皮張りのバリトンウクレレとそっくりじゃないか。
ブータンのダムニェンという楽器らしい。
ほ、欲しい。
※
ブータンの四天王の画像を動画で使いたいが、
ちょっと行って撮影してくるって場所でもないし、
インターネット上でもなかなかコレってのが見付からない。
自分で描くのにも手本が足りない。
やはり、動画で使う四天王像は、切り絵一本でいこう。
※
どの四天王像も魅力的だが、
おそらく、よく知られていて一番人気なのではないか、と思うのが
東大寺戒壇堂の四天王像だ。
決めた。決めたったら決めた。
インターネットで画像検索をすると、数々の写真が見つかる。
さらに、図書館から大判の写真集を何冊も借りてきて、見比べる。
コロナ禍の世でなければ、奈良までひとっ走り会いに行くところだ。
色々な写真を見る。
それぞれの味わいが有る。
お堂の中で撮ったので、向こうに戸口が開いて外の緑が見えるもの、
引きで全身像を撮って、足下の邪鬼もおもしろいもの、
ライティングによって表情や衣の動きを惹き起たせたもの、
超ドアップに寄って、顔の表情のみにフォーカスしたもの。
などなど。
動画の画角、縦9×横16に四天王を並べるなら、一体は縦9×横4か。
立ち姿を収めるのにちょうどいいが。
全ての像を同じように並べるか。
それとも持国天は刀から上、増長天は戟を持った全身、
広目天はその表情、多聞天は宝塔を掲げる形などと、
描く角度をそれぞれにするか。
迷う。
※
自分で下絵を描き起こそうかとも考えたが、
やめた。
写真をもとに、切り絵の下絵を作ることにした。
写真の上にトレーシングペーパーを乗せて、
白黒の境目の線をボールペンで描いていった。
経験が有るが、これでは、どっちが黒でどっちが白か分からなくなりがちだ。
絵として作っている時も混乱して、切り絵として成立しないものになったりするし、
切る時も間違った線で切ってしまってバラバラになってしまったりする。
やーめた。
写真をプリントアウトして、作りたいサイズに拡大 / 縮小し、
白黒の階調を二段階つまり白か黒かに分けるように鉛筆で塗り重ね、
それを黒い紙の上に両端だけ貼り付けて、切る。
多聞天は、描きたい角度の写真がどうにも見つからなかった。
もう少し像の右側からの絵にすると形が良さそうだと思ったのだが、
探してもそういう写真が見つからないということは、案外
その角度では絵にならないからなのかもしれない。
やっと見つけた角度の画像も、サイズがとても小さく解像度が低い。
小さい写真をプリントアウトして、拡大コピーした粗い画像に
他の写真を参考に、鉛筆で塗り重ねていくと、次第に写真が鮮明になっていく。
像は彩色が剥げているので分かりにくいが、
増長天と多聞天は髭をたくわえている。
が、私がそれに気付いたのは多聞天の下絵を作っている時だった。
その時には既に増長天は切り終わっていて、
鼻の下は空白になっている。
まあ、いいや。
※
東大寺戒壇堂の像は、八世紀の塑像である。
身長はみなさん160㎝台だという。
この数字は、どこからどこまでを測っているのだろう?
髷のてっぺんまで測っているとしたら、
実際の身長はも少し低いか。
私は身長159㎝なので、ちょうど同じくらいの体格なのか。
飛鳥時代の四天王は表情や動きにはとぼしい。
しかし奈良時代の像には既に表情が表れる。
鎌倉時代のものともなると、えらい形相で踏ん張っている。
戒壇堂の四天王は、表情や動きが控え目ながら有り、
静かに力をはらんでいるといった感じだ。
下絵を自分で描いたら、もっと情感が増した絵になっただろう。
しかし、写真をもとにして、ちまちまと切ることにしたので、
もとの像の持つ静かさが出たように思う。
※
完成図は動画で。
カミンスーン
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