Y字型の糸ようじを使っている。
デンタルフロスが使えないわけではないのだが、
糸ようじは気楽に使えて便利だから使っている。
※
2、3年前に、歯科に通った。
ちょこちょこ工事してもらった。
そのうちの一ヶ所に、糸が引っ掛かる。
歯の間に糸が入りにくいのだが、まあ、やっていると入る。
ところが、出ないのだ。
簡単に出ない。
ああこんなことなら入れるんじゃなかった、と思った時にはもう遅い。
前に寄せてみても、後ろに寄せてみても、
前後左右に動かしてみたって、角度を傾けてみたって、
出やしない。
口を開いて、糸ようじの柄をつかんで、よだれをだらだら垂らしながら、
四苦八苦するが、
取れない。
ああこんなことならデンタルフロスでやれば良かった、
それなら簡単に抜けたのに。
いっそ口の中に何か鋏を入れて、糸を切るか。
いや難しい。それで歯茎でも切ったら。
力まかせにグイッと引いたら取れるかもしれない。
けれど、引っ掛かっているのはきっとかぶせ物で、
力と糸が勝ったらかぶせ物が外れてしまうかもしれない。
うおあああ。
だらだらだら。
※
まあ、格闘数分で取れることは取れた。
取れた糸ようじを見ると、糸は切れていなかった。
ちゃんと歯の間を抜けたのだ。
糸は血まみれだ。
いっそ糸が切れくれれば良いのだが、
丈夫なのがあだとなった。
※
違和感。
嗚呼。
糸はまったく切れなかったわけではなかった。
糸ようじの糸は、丈夫な細い糸の束でできているのだが、
その束のうち、ちょびっとが切れて、歯の間に挟まって残った。
口の中や舌先というのは敏感で、
細い細い物が挟まっていても、気になる。
指先でつまんで取ろうと思っても、
細くて短くて、指先ではつまめないし、感じ取ることすらできない。
鏡の前で口を開けて、舌先で糸を確認したが、
見えない。
毛抜きでつまんで取ろうと思って探ったが、
まるで手応えが無い。
毛抜きの鉄くさい味が舌先に不愉快だ。
舌先では糸の存在をこんなに明確に感じているのに、
目では見えない。つまめない。
※
結局、奥歯に見えない糸が挟まったまま、仕事に出た。
そんな人がいい仕事できるだろうか。
※
夜、帰宅してから、また糸取りを再開した。
引いてだめなら押してみな。である。
二の舞にならないように慎重に、
同じ糸ようじを、糸の挟まっている歯の隙間に押し込んだ。
この糸ようじがまた外れなくなったら、と思うと、手はひどく慎重になった。
何度かやっているうちに、挟まった糸は舌先に触れなくなった。
※
どこへ行ったやら。
飲み込んだのだろう。
とても気持ちの悪い半日だった。
デンタルフロスが使えないわけではないのだが、
糸ようじは気楽に使えて便利だから使っている。
※
2、3年前に、歯科に通った。
ちょこちょこ工事してもらった。
そのうちの一ヶ所に、糸が引っ掛かる。
歯の間に糸が入りにくいのだが、まあ、やっていると入る。
ところが、出ないのだ。
簡単に出ない。
ああこんなことなら入れるんじゃなかった、と思った時にはもう遅い。
前に寄せてみても、後ろに寄せてみても、
前後左右に動かしてみたって、角度を傾けてみたって、
出やしない。
口を開いて、糸ようじの柄をつかんで、よだれをだらだら垂らしながら、
四苦八苦するが、
取れない。
ああこんなことならデンタルフロスでやれば良かった、
それなら簡単に抜けたのに。
いっそ口の中に何か鋏を入れて、糸を切るか。
いや難しい。それで歯茎でも切ったら。
力まかせにグイッと引いたら取れるかもしれない。
けれど、引っ掛かっているのはきっとかぶせ物で、
力と糸が勝ったらかぶせ物が外れてしまうかもしれない。
うおあああ。
だらだらだら。
※
まあ、格闘数分で取れることは取れた。
取れた糸ようじを見ると、糸は切れていなかった。
ちゃんと歯の間を抜けたのだ。
糸は血まみれだ。
いっそ糸が切れくれれば良いのだが、
丈夫なのがあだとなった。
※
違和感。
嗚呼。
糸はまったく切れなかったわけではなかった。
糸ようじの糸は、丈夫な細い糸の束でできているのだが、
その束のうち、ちょびっとが切れて、歯の間に挟まって残った。
口の中や舌先というのは敏感で、
細い細い物が挟まっていても、気になる。
指先でつまんで取ろうと思っても、
細くて短くて、指先ではつまめないし、感じ取ることすらできない。
鏡の前で口を開けて、舌先で糸を確認したが、
見えない。
毛抜きでつまんで取ろうと思って探ったが、
まるで手応えが無い。
毛抜きの鉄くさい味が舌先に不愉快だ。
舌先では糸の存在をこんなに明確に感じているのに、
目では見えない。つまめない。
※
結局、奥歯に見えない糸が挟まったまま、仕事に出た。
そんな人がいい仕事できるだろうか。
※
夜、帰宅してから、また糸取りを再開した。
引いてだめなら押してみな。である。
二の舞にならないように慎重に、
同じ糸ようじを、糸の挟まっている歯の隙間に押し込んだ。
この糸ようじがまた外れなくなったら、と思うと、手はひどく慎重になった。
何度かやっているうちに、挟まった糸は舌先に触れなくなった。
※
どこへ行ったやら。
飲み込んだのだろう。
とても気持ちの悪い半日だった。
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