吟醸酒の説明から始めて、引っ越しの手伝いの話を通して、
一週間しっかりと布石してたどりついた結論、
「吟醸香はカメムシのにおい」。
いやなもん読まされたとお思いでしょうが、
いやな気分で困っているのは書いた本人で、
せっかく買ってきた酒が、うまい気がしない。
おまけにちょうど名前も「亀齢」ときたもんだ。
どうしても頭からカメムシが抜けない。
※
お鼻
じゃない、
お口直しに、たまにはイイ話っぽい話でも。
21日の朝、犬の散歩をしていて、その夜に見た夢を思い出した。
散歩をしているのは雄犬ジーロ。
雌のきょうだいカバサは、7月20日にこの世を去った。
この世とは、カバサにとってカバサの世であった。
ジーロは好きな所には寝られないし、好きな時にトイレに立てないし、
好きなだけお皿を舐めることもできなかった。
今はやっと解放されている。
四六時中緊張する生活ではなくなった。
死後数ヶ月経って、ジーロの表情はだいぶやわらいできた。
カバサは抜け目なかった。
家の老人がどこかの扉をきちんと閉め忘れていると、
すぐに気付いて駆け出す。
近所中を駆け回り、散歩中の犬に飛びかかったり、
驚いた飼い主さんが転んで怪我をしたり、
猫を追いかけ回したりした。
脱走しないように、私もいつも緊張していた。
せめて脱走したらすぐに気付けるように、
と友人Mの提案でカバサに鈴を付けたこともあった。
鈴の音が庭から聞こえて、脱走が発覚したことがある。
効果はあった。
しかしそのうち、鈴の音が空耳で聞こえるようになった。
警戒し過ぎである。
神経が摩り減っている。
すると、悪夢を見る。
カバサが脱走して、近所で暴れ回り、どうやっても捕まえられない。
という夢を、時々見る。
死後にも、一度見たことがある。
まだ緊張が抜けていないのか、とショックを受けた。
21日未明に見た夢は、まったく違ったものだった。
カバサが夢に登場した。
おだやかにしていて、私に寄ってくる。
それだけだった。
夢の中で、私はカバサはもう死んでいるのだ、とわかっていた。
けれどもう一度会いに来たんだね、と理解していた。
何度も抱いて、夢は終わった。
7ヶ月経ったのだ。
一週間しっかりと布石してたどりついた結論、
「吟醸香はカメムシのにおい」。
いやなもん読まされたとお思いでしょうが、
いやな気分で困っているのは書いた本人で、
せっかく買ってきた酒が、うまい気がしない。
おまけにちょうど名前も「亀齢」ときたもんだ。
どうしても頭からカメムシが抜けない。
※
お鼻
じゃない、
お口直しに、たまにはイイ話っぽい話でも。
21日の朝、犬の散歩をしていて、その夜に見た夢を思い出した。
散歩をしているのは雄犬ジーロ。
雌のきょうだいカバサは、7月20日にこの世を去った。
この世とは、カバサにとってカバサの世であった。
ジーロは好きな所には寝られないし、好きな時にトイレに立てないし、
好きなだけお皿を舐めることもできなかった。
今はやっと解放されている。
四六時中緊張する生活ではなくなった。
死後数ヶ月経って、ジーロの表情はだいぶやわらいできた。
カバサは抜け目なかった。
家の老人がどこかの扉をきちんと閉め忘れていると、
すぐに気付いて駆け出す。
近所中を駆け回り、散歩中の犬に飛びかかったり、
驚いた飼い主さんが転んで怪我をしたり、
猫を追いかけ回したりした。
脱走しないように、私もいつも緊張していた。
せめて脱走したらすぐに気付けるように、
と友人Mの提案でカバサに鈴を付けたこともあった。
鈴の音が庭から聞こえて、脱走が発覚したことがある。
効果はあった。
しかしそのうち、鈴の音が空耳で聞こえるようになった。
警戒し過ぎである。
神経が摩り減っている。
すると、悪夢を見る。
カバサが脱走して、近所で暴れ回り、どうやっても捕まえられない。
という夢を、時々見る。
死後にも、一度見たことがある。
まだ緊張が抜けていないのか、とショックを受けた。
21日未明に見た夢は、まったく違ったものだった。
カバサが夢に登場した。
おだやかにしていて、私に寄ってくる。
それだけだった。
夢の中で、私はカバサはもう死んでいるのだ、とわかっていた。
けれどもう一度会いに来たんだね、と理解していた。
何度も抱いて、夢は終わった。
7ヶ月経ったのだ。
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