犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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多剤処方について

2020年01月15日 | からだ
[あらすじ] 「第2回ちょうふ高齢者応援大会」に行ってきた。
10~17時みっちりと様々な発表を聞いた。

一つは、薬剤師さんの発表だった。

高齢者は、複数の診療科を受診するケースが多い。
それぞれの科で、高血圧や持病や痛み止めや胃薬などを処方される。

薬の種類や、飲む回数が多いほど、
飲み忘れが多くなる。という調査結果が有る。
飲み忘れによる薬の損失は、
日本の高齢者全体で475億円、日本全体では1000億円にのぼると言われている。



実際、同居母86歳要介護2パーキンソン病認知症状少々、の場合でも、
薬を毎回確実に飲むというのが、第一の課題である。
パーキンソン病は特に、薬の効力が切れると体の動きが悪くなるので、
一定の間隔で服用する必要が有る。

服用は一日に5回。
うち3回は介護士さんに訪問してもらって介助してもらい、
残りの2回はアラーム時計を使っている。
自分で飲む2回の分も、ヘルパーさんに器の中へセットしてもらっている。

ところが、アラームのスイッチを切ることだけで精一杯で、
薬はそのまま、ということもたまに有る。
本人は「飲んだ。」と言うのだが、器の中に薬が残っているのだから、
飲んでいないのは瞭然だ。



以前は、おくすりカレンダーから自分で取り出していた。
しかし、適当なポケットから取り出してしまうので、
間違って服薬したり、飲んだかどうかの確認がしにくくなったりしていた。
だから今は、おくすりカレンダーはヘルパーさん用のようになっている。



便秘の薬は量や回数を自己調整する。
そのため、毎月の余りが出る。
余りがいくつ有るか数え、医師に伝えて、その分は少なく処方してもらう。

こういうことをしたほうが良い、という考えが、母にはそもそも無い。
押し入れや引き出しを母の留守中に片付けていると、
残薬があちこちから出てきたりする。
こんなに飲み残していたのか!と驚く。



病気に関しては医師の指示に従う。というのは古い考えだ。
確かに、過去の医師はそうであった。
今はそういった父権的なありかたは見直されている。
と同時に、患者は自分の健康管理をする必要性をあらためて問われている。
その変換が、なかなかとっしょりには受け止められない。
医師にゆだねる考えである。

なんでも医師にゆだねるので、
いちいち医師に相談したがる。
何か体調の変化が有る度に、受診したがる。
医師にゆだねていると、自分ではあまり学ばないので、
体について病気について分からない事が多く、
変調が有れば小さいことでも不安につながる。

知ること、自分で自分のことを知ることは、不安を取り除く基礎だと
つくづく思う。



薬の種類が多く、回数が多いと、
患者本人には管理が難しくなってしまう。
すると、「アドヒアランスが下がる」と、薬剤師は言う。
アドヒアランスを調べると、
「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、
その決定に従って治療を受けることを意味する。」とある。

おくすり手帳を見て、多剤によってアドヒアランスの低下に陥っていないか、
もしそうなっていたら、薬の種類や回数を減らせないか検討し、医師に提案する、
ということも薬剤師のできる仕事だ。
そのためには、一人で一冊のおくすり手帳を持ち、
来局時に提示してください。というのが
薬剤師さんの説明であった。



「お薬なんて、飲まないで済めば飲まないほうがいいんです。」
と、薬剤師さんは強調した。

多剤処方を避けて、アドヒアランスを向上させ、残薬を減らし、
医師が処方した目的を達成できるようにするのが、薬剤師の仕事の一つである、と。



話の後に質問を受け付ける時間が有った。
二人目が、挙手もせずにしゃべり始めた。
女性、70歳前後か。

「出された薬を飲むって、
それはみんなやってると思うよー。
お医者さんが出してるから飲むんであって。
なるべく飲まないほうがいいって言うけど、
出された薬は飲まなきゃダメじゃない。
なんで我々にその責任を押し付けるの。」

話聞いてた?
私の心の中に漫才コンビEXITのりんたろー。さんの表情が浮かんだ。

この薬剤師さんはかなり上手に分かりやすく、要点をまとめて
話をしていたと思うのだが、それでもこんなふうに受け止めてしまう人もいるのか。



高齢者応援大会。
むずかしい。

私はドッと疲れが出た。

つづく
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