[あらすじ] 「第2回ちょうふ高齢者応援大会」に行ってきた。
10~17時みっちりと様々な発表を聞いた。
一つは、薬剤師さんの発表だった。
高齢者は、複数の診療科を受診するケースが多い。
それぞれの科で、高血圧や持病や痛み止めや胃薬などを処方される。
薬の種類や、飲む回数が多いほど、
飲み忘れが多くなる。という調査結果が有る。
飲み忘れによる薬の損失は、
日本の高齢者全体で475億円、日本全体では1000億円にのぼると言われている。
※
実際、同居母86歳要介護2パーキンソン病認知症状少々、の場合でも、
薬を毎回確実に飲むというのが、第一の課題である。
パーキンソン病は特に、薬の効力が切れると体の動きが悪くなるので、
一定の間隔で服用する必要が有る。
服用は一日に5回。
うち3回は介護士さんに訪問してもらって介助してもらい、
残りの2回はアラーム時計を使っている。
自分で飲む2回の分も、ヘルパーさんに器の中へセットしてもらっている。
ところが、アラームのスイッチを切ることだけで精一杯で、
薬はそのまま、ということもたまに有る。
本人は「飲んだ。」と言うのだが、器の中に薬が残っているのだから、
飲んでいないのは瞭然だ。
※
以前は、おくすりカレンダーから自分で取り出していた。
しかし、適当なポケットから取り出してしまうので、
間違って服薬したり、飲んだかどうかの確認がしにくくなったりしていた。
だから今は、おくすりカレンダーはヘルパーさん用のようになっている。
※
便秘の薬は量や回数を自己調整する。
そのため、毎月の余りが出る。
余りがいくつ有るか数え、医師に伝えて、その分は少なく処方してもらう。
こういうことをしたほうが良い、という考えが、母にはそもそも無い。
押し入れや引き出しを母の留守中に片付けていると、
残薬があちこちから出てきたりする。
こんなに飲み残していたのか!と驚く。
※
病気に関しては医師の指示に従う。というのは古い考えだ。
確かに、過去の医師はそうであった。
今はそういった父権的なありかたは見直されている。
と同時に、患者は自分の健康管理をする必要性をあらためて問われている。
その変換が、なかなかとっしょりには受け止められない。
医師にゆだねる考えである。
なんでも医師にゆだねるので、
いちいち医師に相談したがる。
何か体調の変化が有る度に、受診したがる。
医師にゆだねていると、自分ではあまり学ばないので、
体について病気について分からない事が多く、
変調が有れば小さいことでも不安につながる。
知ること、自分で自分のことを知ることは、不安を取り除く基礎だと
つくづく思う。
※
薬の種類が多く、回数が多いと、
患者本人には管理が難しくなってしまう。
すると、「アドヒアランスが下がる」と、薬剤師は言う。
アドヒアランスを調べると、
「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、
その決定に従って治療を受けることを意味する。」とある。
おくすり手帳を見て、多剤によってアドヒアランスの低下に陥っていないか、
もしそうなっていたら、薬の種類や回数を減らせないか検討し、医師に提案する、
ということも薬剤師のできる仕事だ。
そのためには、一人で一冊のおくすり手帳を持ち、
来局時に提示してください。というのが
薬剤師さんの説明であった。
※
「お薬なんて、飲まないで済めば飲まないほうがいいんです。」
と、薬剤師さんは強調した。
多剤処方を避けて、アドヒアランスを向上させ、残薬を減らし、
医師が処方した目的を達成できるようにするのが、薬剤師の仕事の一つである、と。
※
話の後に質問を受け付ける時間が有った。
二人目が、挙手もせずにしゃべり始めた。
女性、70歳前後か。
「出された薬を飲むって、
それはみんなやってると思うよー。
お医者さんが出してるから飲むんであって。
なるべく飲まないほうがいいって言うけど、
出された薬は飲まなきゃダメじゃない。
なんで我々にその責任を押し付けるの。」
話聞いてた?
私の心の中に漫才コンビEXITのりんたろー。さんの表情が浮かんだ。
この薬剤師さんはかなり上手に分かりやすく、要点をまとめて
話をしていたと思うのだが、それでもこんなふうに受け止めてしまう人もいるのか。
※
高齢者応援大会。
むずかしい。
私はドッと疲れが出た。
つづく
10~17時みっちりと様々な発表を聞いた。
一つは、薬剤師さんの発表だった。
高齢者は、複数の診療科を受診するケースが多い。
それぞれの科で、高血圧や持病や痛み止めや胃薬などを処方される。
薬の種類や、飲む回数が多いほど、
飲み忘れが多くなる。という調査結果が有る。
飲み忘れによる薬の損失は、
日本の高齢者全体で475億円、日本全体では1000億円にのぼると言われている。
※
実際、同居母86歳要介護2パーキンソン病認知症状少々、の場合でも、
薬を毎回確実に飲むというのが、第一の課題である。
パーキンソン病は特に、薬の効力が切れると体の動きが悪くなるので、
一定の間隔で服用する必要が有る。
服用は一日に5回。
うち3回は介護士さんに訪問してもらって介助してもらい、
残りの2回はアラーム時計を使っている。
自分で飲む2回の分も、ヘルパーさんに器の中へセットしてもらっている。
ところが、アラームのスイッチを切ることだけで精一杯で、
薬はそのまま、ということもたまに有る。
本人は「飲んだ。」と言うのだが、器の中に薬が残っているのだから、
飲んでいないのは瞭然だ。
※
以前は、おくすりカレンダーから自分で取り出していた。
しかし、適当なポケットから取り出してしまうので、
間違って服薬したり、飲んだかどうかの確認がしにくくなったりしていた。
だから今は、おくすりカレンダーはヘルパーさん用のようになっている。
※
便秘の薬は量や回数を自己調整する。
そのため、毎月の余りが出る。
余りがいくつ有るか数え、医師に伝えて、その分は少なく処方してもらう。
こういうことをしたほうが良い、という考えが、母にはそもそも無い。
押し入れや引き出しを母の留守中に片付けていると、
残薬があちこちから出てきたりする。
こんなに飲み残していたのか!と驚く。
※
病気に関しては医師の指示に従う。というのは古い考えだ。
確かに、過去の医師はそうであった。
今はそういった父権的なありかたは見直されている。
と同時に、患者は自分の健康管理をする必要性をあらためて問われている。
その変換が、なかなかとっしょりには受け止められない。
医師にゆだねる考えである。
なんでも医師にゆだねるので、
いちいち医師に相談したがる。
何か体調の変化が有る度に、受診したがる。
医師にゆだねていると、自分ではあまり学ばないので、
体について病気について分からない事が多く、
変調が有れば小さいことでも不安につながる。
知ること、自分で自分のことを知ることは、不安を取り除く基礎だと
つくづく思う。
※
薬の種類が多く、回数が多いと、
患者本人には管理が難しくなってしまう。
すると、「アドヒアランスが下がる」と、薬剤師は言う。
アドヒアランスを調べると、
「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、
その決定に従って治療を受けることを意味する。」とある。
おくすり手帳を見て、多剤によってアドヒアランスの低下に陥っていないか、
もしそうなっていたら、薬の種類や回数を減らせないか検討し、医師に提案する、
ということも薬剤師のできる仕事だ。
そのためには、一人で一冊のおくすり手帳を持ち、
来局時に提示してください。というのが
薬剤師さんの説明であった。
※
「お薬なんて、飲まないで済めば飲まないほうがいいんです。」
と、薬剤師さんは強調した。
多剤処方を避けて、アドヒアランスを向上させ、残薬を減らし、
医師が処方した目的を達成できるようにするのが、薬剤師の仕事の一つである、と。
※
話の後に質問を受け付ける時間が有った。
二人目が、挙手もせずにしゃべり始めた。
女性、70歳前後か。
「出された薬を飲むって、
それはみんなやってると思うよー。
お医者さんが出してるから飲むんであって。
なるべく飲まないほうがいいって言うけど、
出された薬は飲まなきゃダメじゃない。
なんで我々にその責任を押し付けるの。」
話聞いてた?
私の心の中に漫才コンビEXITのりんたろー。さんの表情が浮かんだ。
この薬剤師さんはかなり上手に分かりやすく、要点をまとめて
話をしていたと思うのだが、それでもこんなふうに受け止めてしまう人もいるのか。
※
高齢者応援大会。
むずかしい。
私はドッと疲れが出た。
つづく
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