先日、三十代前半の人が家に来た。
薬缶をガスコンロにかけてから、
お茶を淹れてくれるように頼んだ。
「この薬缶って、お湯が沸いたら鳴るんでしたっけ?」
見りゃ分かるだろと思うのだが、フツーの口なので、鳴るわけがない。
お湯が沸いたら鳴る薬缶の口は、細い穴だけ開いた蓋が付いている。
あの「ピー」の音は、私にとってはひどく刺激的でうるさいので、嫌いだ。
そういう薬缶も冬場には薪ストーブに置いて使っているが、けっして蓋はしない。
蓋をしなきゃただの薬缶である。
「えー、じゃ、どうやって沸いたって分かるんですか?」
どうやら、薬缶でお湯を沸かしたことが無いようである。
よく、料理のできない人が、お湯が沸くのをじっと立って待っている、
というのを揶揄する。
湯を沸かしている間にあれを切ったり調味料を合わせたりといった
他の作業をするという頭が無い。
音だよ。
と、私は答えた。
薬缶でお湯を沸かしたことの無い人に対して、
お湯が沸いたかどうかを音で知れというのは、
不親切極まりない。
ひどい返事だ。
「じゃあどうやってあんたはお湯が沸いたと判断しているんですか?」
という質問だったら、
「音だよ。」
というので答えになっている。
しかし今、彼女は「あたしゃどうすりゃいいの」と聞いているわけなので、
「音だよ。」と言われてもどうすりゃいいか分からない。
ふと見ると、彼女は薬缶の口の上に手をかざしていた。
危ないよ!!
思わず叫んだ。
湯気でする火傷が一番危ないんだ!
怖い怖い。
※
実は、
我が家のガスコンロにはお便利ボタンが有る。
【湯わかし】というボタンを押せば、湯が沸騰した時点で「ピー」と鳴って火が消えてくれる。
要介護の老母と同居していた時に、空焚きなどがちょくちょく有ったので、
こんな機能付きのコンロを付けたのだ。
だから、ちょっと目を見張れば、ボタンに気付くはずなのだ。
しかし、彼女は「薬缶で湯を沸かす」という時点でもう焦っていたのだろう。
停電したらこういう人はさぞかし困るだろうな。
※
このコンロに換えてから、私も自分の機能を使わなくなった事が一つ有る。
【ごはん】というボタンが有るのだ。
私はガスコンロにお釜でご飯を炊く。
自分で火加減して、お釜の立てる音を聞いて、タイミングをはかる。
ところが、このコンロときたら、点火して【ごはん】ボタンを押せば、
あとは火加減から消火まで勝手にやってくれるのだ。
むむう。
私の勘が腐ってしまうではないか。
お釜の音を聞いて火加減を調節し、
好みの炊き具合に仕上げていたのに。
実を言うと、この【ごはん】ボタンによる炊き具合を、私はなんとなく気に入っていない。
なんとなくだ。
それは、実のところはよく炊けているのであって、
自分で火加減しなかったことによる不満でしかないような気もする。
※
薬缶でお湯を沸かせない人の家では
きっとご飯も炊飯ジャー任せだろう。
便利だけれど、
それが使えないという状況なんか想定外なんだろうな。
無事を祈る。
薬缶をガスコンロにかけてから、
お茶を淹れてくれるように頼んだ。
「この薬缶って、お湯が沸いたら鳴るんでしたっけ?」
見りゃ分かるだろと思うのだが、フツーの口なので、鳴るわけがない。
お湯が沸いたら鳴る薬缶の口は、細い穴だけ開いた蓋が付いている。
あの「ピー」の音は、私にとってはひどく刺激的でうるさいので、嫌いだ。
そういう薬缶も冬場には薪ストーブに置いて使っているが、けっして蓋はしない。
蓋をしなきゃただの薬缶である。
「えー、じゃ、どうやって沸いたって分かるんですか?」
どうやら、薬缶でお湯を沸かしたことが無いようである。
よく、料理のできない人が、お湯が沸くのをじっと立って待っている、
というのを揶揄する。
湯を沸かしている間にあれを切ったり調味料を合わせたりといった
他の作業をするという頭が無い。
音だよ。
と、私は答えた。
薬缶でお湯を沸かしたことの無い人に対して、
お湯が沸いたかどうかを音で知れというのは、
不親切極まりない。
ひどい返事だ。
「じゃあどうやってあんたはお湯が沸いたと判断しているんですか?」
という質問だったら、
「音だよ。」
というので答えになっている。
しかし今、彼女は「あたしゃどうすりゃいいの」と聞いているわけなので、
「音だよ。」と言われてもどうすりゃいいか分からない。
ふと見ると、彼女は薬缶の口の上に手をかざしていた。
危ないよ!!
思わず叫んだ。
湯気でする火傷が一番危ないんだ!
怖い怖い。
※
実は、
我が家のガスコンロにはお便利ボタンが有る。
【湯わかし】というボタンを押せば、湯が沸騰した時点で「ピー」と鳴って火が消えてくれる。
要介護の老母と同居していた時に、空焚きなどがちょくちょく有ったので、
こんな機能付きのコンロを付けたのだ。
だから、ちょっと目を見張れば、ボタンに気付くはずなのだ。
しかし、彼女は「薬缶で湯を沸かす」という時点でもう焦っていたのだろう。
停電したらこういう人はさぞかし困るだろうな。
※
このコンロに換えてから、私も自分の機能を使わなくなった事が一つ有る。
【ごはん】というボタンが有るのだ。
私はガスコンロにお釜でご飯を炊く。
自分で火加減して、お釜の立てる音を聞いて、タイミングをはかる。
ところが、このコンロときたら、点火して【ごはん】ボタンを押せば、
あとは火加減から消火まで勝手にやってくれるのだ。
むむう。
私の勘が腐ってしまうではないか。
お釜の音を聞いて火加減を調節し、
好みの炊き具合に仕上げていたのに。
実を言うと、この【ごはん】ボタンによる炊き具合を、私はなんとなく気に入っていない。
なんとなくだ。
それは、実のところはよく炊けているのであって、
自分で火加減しなかったことによる不満でしかないような気もする。
※
薬缶でお湯を沸かせない人の家では
きっとご飯も炊飯ジャー任せだろう。
便利だけれど、
それが使えないという状況なんか想定外なんだろうな。
無事を祈る。
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