犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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郡上踊り 青山から

2013年07月01日 | 毎月馬鹿
そう言えば、子どもの頃に旅行で白鳥に泊まったことがある。
白鳥(しらとり)は郡上八幡からちょいと北の町で、
やはり踊りが盛んだ。

夜になったら、泊まっている宿の前の広場に人が集まって来て
踊りが始まって、驚いたものだ、と母が話す。
まだ8つか9つの私は、既に寝てしまっていたようだ。

その時の踊りは何時頃まで続いたのだろう。
郡上では踊りの一番のピークの5日間は、夜明けまで踊り続ける。

東京は青山での郡上踊りは、7時で終いだ。
この時期の7時はまだ明るい。
ほんの3時間じゃ物足りない踊り助平ども。

昨日は、誘ってみたら新宿住まいの友達が遊びに来た。
歴史好きのその友達によれば、青山のお殿様の菩提寺が郡上にある、
というのが縁で、青山で郡上踊りをやるようになったとか。
いい仕事してるね。お殿様はそうでなくっちゃ。

時間は早いし、踊り足りない気分を埋めるべく、
沿道のカフェのデッキで旧友とビール。
6月終わりとは思えない空の高さで、風も吹き抜け、気持ち良い。

と、風がかすかな音を運んでくる。
耳を澄ませると、太鼓の音が聞こえるようだ。
さっきから何かパン、パン、という音が断続的に聞こえていた。
太鼓の音が少し聞こえやすくなってくると、唄も聞こえてくる。
断続的な音は多分、踊り手が踏み鳴らす下駄の音だったのだろう。

そこまで気付いたら居ても立ってもいられなくなって、
ビールは早々に飲み干し、セルフサービスの店なのに膳も下げずに
駆け出した。
国立競技場の建物の間から、風に乗って聞こえてくる音の方向へ。

秩父宮ラグビー場の方へ戻って行くと、すぐに見付かった。
10人くらいの人たちが屋形を引き、後ろからは5~6人の人が押し、
ゆっくりと動いて来る。
屋形の後ろには踊りの列が、会場にこんなに人がいたか?と思うほど
長く連なっている。

曲はその時、「三百」に変わっていた。
さっきのは下駄と手の音からすると「さわぎ」だったのか。
私はいそいそと列に加わった。
これは予定していたのか?しかし何もアナウンスは無かった。
勝手にやると集会ナントカって、届出しないでデモをやったカドで
罪に問われるだろう。

もう暮れた都心の道を、提灯をともした屋形を先頭に、
踊りの列が進む。
外苑西通りから裏道へ入り、四谷左門町。
沿道の家の窓から人が見ている。
踊りは止まない。

丸正の裏から外苑東通りを堂々と横断し、新宿通りへ。
ちょいとくたびれたので、丸正に入り、ビールを買った。
店から出ると、踊りの列は西へ向かっている。
飲みながら歩くと、沿道の下駄屋のおかみが出てきているので、
ちょいと挨拶。

以前、ここで下駄を買ったのだが、その時に「お宅の下駄の音はいいと聞いたので」
と言ったらこのおかみ喜んじゃって。
「今は下駄はうるさいから底にゴムを付けてくれなんて注文が来るのよ」と
ぼやいていたものだ。
そんなおかみの前を下駄を強く踏み鳴らして「春駒」の踊りが
通って行くんだから、おかみ呆然。

この頃は寄る年波には勝てない、なんて言っていたが、
下駄の鳴るのを聞いて元気出して仕事してくれれば、と思う。

おかみと話し込んでいるうちに、
踊りはいつの間にか「まつさか」になっていた。
もう先頭は見えないけれど、前の人に合わせてなんとなく踊りは揃う。
しかしその踊りも列の前の方から鎮まり、終わった。
すっかり踊り足りた人の列はばらばらと、すぐにそれぞれの帰途に
消えて行った。



毎月一日は法螺話を書いています。
こんなことがあったらすてきだけどね。

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