年末小掃除 取っ手篇

[あらすじ] 大胆に分解してちまちま磨くのが好きだよ。

こうなってくると、分解できるところはどこでもかしこでも分解したくなってくる。
小さな部品、ひとつひとつを磨きあげたくなってくる。
歯ブラシでこすり、割り箸でこそぎ、爪楊枝でくじり、
ピカールで磨く。

透明な物はスケスケの透明に、白い部分は純白の白に、
黒い部品はあくまでも黒く、金属はキラキラの表面に。

一点の曇りも残すまい。

片付けよりも部屋掃除よりも、ちまちまとした掃除が好きだ。
ほんの一部分だけきれいになっても気付きにくいもので、
こうなると、いかに老母にバレないように掃除するか、
という妙な意志が湧いてくる。

しかし、不思議なもので、一部分がきれいだと、
周囲も引かれてきれいな感じに見えてきたりする。

写真の中に、黒い部品がある。
これはカランとシャワーの切り替えレバーだ。
シャワーホースは黒で、これに水垢が付いている。
水垢は白っぽくて、黒いシャワーホースがいかにも古びて汚れて見える。

だが、根元の黒いレバーを、ピカピカの、いや、
あらゆる光を吸収するのではないかという宇宙的黒に磨きあげたら、
隣にあるシャワーホースの黒も、なんだか以前より黒く見えるようになってきたのだ。

ちまちまとした部分の掃除にも、意外に効果は広がることがあるようだ。
心理的なもので見え方は変わるのだろう。

とは言え、そのうちにホースも磨くけどね。

※

写真は取っ手ビフォー。
アフターは明日ー