一階の部屋は大きいガラス戸にして、庭が見えるようになっている。
部屋の正面に池が作ってある。
そこまで1mあまりの幅に、芝生が植えてある。
芝生はよく手入れをしないと、いたむ。
あれこれと雑草が混じってくるのを、ちまちまと抜き続ける必要が有る。
ちょいと怠るとあちこちにほころびができ、そこからはげる。
※
芝生が植えてあるのが家沿いなものだから、乾燥する。
その上はげてきているものだから、なおさら乾燥する。
芝の下の土は乾ききってサラサラになっている。
こういう乾いてサラサラになった土には、アリジゴクが好んで巣食う。
縁の下の奥の基礎の脇に、擂り鉢状の穴がずらりと並んでいたりする。
アリジゴクはカゲロウの幼虫なんだったか。
確かめると、ウスバカゲロウの幼虫である。
カゲロウの幼虫と言えば、清流の石の裏などにいるイメージだ。
ウチの池に突っ込んである材木にも、よく這っている。
調べてみると、ウスバカゲロウはカゲロウと名前に入っているが、
カゲロウの仲間ではなく、近い種類でもないらしい。
見た目がちょっと似ているからって、名前を付けちゃったパターンだろう。
いいのか。
「あなたアントニオ猪木にどこかしら似てるからナントナク猪木って名前にしようね」
って、イヤじゃないか。
どこかしらって顎なら顎とハッキリ言ってくれないか。
※
ハンミョウの幼虫をうまく釣り出せたことが無いのだが、
アリジゴクもうまく釣れたことが無い。
擂り鉢状の穴に、芝の葉の先か何かをちょちょいと差し入れて、
ぐっと咬み付かれた瞬間に引くと、アリジゴクが釣れる。
と言うけれど、私は成功したためしが無いのだ。
だから、アリジゴクの姿を見たことが無い。
まあ、穴全体を下からごっそり掘り起こして
土を吹き飛ばせばすぐに見られるだろうけれど、やったことは無い。
※
芝を植えてある辺りはたいへん日当たりが良い。
そしてはげちょろけで乾ききって砂漠化しかけている。
こんな場所はアリジゴク好みだ。
いや、日当たりが良過ぎてアリジゴクにとっても地獄かもしれない。
と思ったら、
アリジゴクの穴を見つけた。
地獄でもなかったか。
今日こそ釣ってやる。
芝の葉先で鉢の内側をちょちょいとなぞり、底へと進む。
反応が無いので、一番底に葉を差し込んでちょっかいを出してみる。
それでも咬み付かれない。
おかしい。
シャベルでさらさらに乾いた土を掬って、
踏み石の上に撒いてみた。
1cmほどの土の塊がころころと有った。
一つをよく見ると、頭が有る。
土まみれのアリジゴク
の、死骸だった。
やはり、アリジゴクの地獄だったのだ。
※
すぐ横は池である。
以前、橋として架けていた木材が朽ちてしまったものを、半分突っ込んである。
それを見たら、うへえ、黒い、何かがみっちり付いている。
ガマのオタマジャクシにこの頃、足が出た。
と思ううちに手も出た。
そうかと思ううちに、手足で泳ぐものがいる。
尻尾が消えてきているのだ。
オタマジャクシのうちは、ものすごい数だったが、
だいぶ減った。
鯉が食うのだろうか。
減ったとは言え、無事にカエルの形になったものも、大勢いる。
そいつらが、陸に上がろうかいやまだ水に浸かっていようか
という瀬戸際に集まっているのだ。
※
ガマが増えるのはあまり嬉しくない。
毎年、池で産卵を終えたヒキガエルの死骸を処分するのがけっこうたいへんだ。
このまま水から揚がってそれぞれに歩き去ったら、どうにもならない。
今、集まっている。
一気にやるチャンスだ。
※
呼吸を整え、気合いを入れ、
朽ち木を掴んで一気に引き上げた。
すぐ横の砂漠地獄の上で朽ち木を裏返し、
叩いて子ガマたちを落とした。
地獄である。
乾いた土の上を、子ガマたちは池の方に戻ろうと小さく跳ねる。
どうして池の方向が分かるのだろう。
皆、乾いた土に全身まみれながら、同じ方向へと跳ねる。
私はそこに乾いた土を更にかぶせる。
我ながら恐ろしい光景だと思いながら、スコップで乾いた土をかぶせる。
さらさらの乾いた土の中から、小さなガマが跳ねて出て、池の方向へ向かう。
ちょっとくらい土をかけられたからって、そうすぐには弱らない。
※
調べると、アリジゴクはかなり乾燥に強い。
一ヶ月飲まず食わずで生き延びるそうだ。
だとすると、むしろこの芝生の間で死んでいたアリジゴクの死因は、何なのだろう。
すぐ横に蟻の巣も有って、餌には困らなそうなのだが。
部屋の正面に池が作ってある。
そこまで1mあまりの幅に、芝生が植えてある。
芝生はよく手入れをしないと、いたむ。
あれこれと雑草が混じってくるのを、ちまちまと抜き続ける必要が有る。
ちょいと怠るとあちこちにほころびができ、そこからはげる。
※
芝生が植えてあるのが家沿いなものだから、乾燥する。
その上はげてきているものだから、なおさら乾燥する。
芝の下の土は乾ききってサラサラになっている。
こういう乾いてサラサラになった土には、アリジゴクが好んで巣食う。
縁の下の奥の基礎の脇に、擂り鉢状の穴がずらりと並んでいたりする。
アリジゴクはカゲロウの幼虫なんだったか。
確かめると、ウスバカゲロウの幼虫である。
カゲロウの幼虫と言えば、清流の石の裏などにいるイメージだ。
ウチの池に突っ込んである材木にも、よく這っている。
調べてみると、ウスバカゲロウはカゲロウと名前に入っているが、
カゲロウの仲間ではなく、近い種類でもないらしい。
見た目がちょっと似ているからって、名前を付けちゃったパターンだろう。
いいのか。
「あなたアントニオ猪木にどこかしら似てるからナントナク猪木って名前にしようね」
って、イヤじゃないか。
どこかしらって顎なら顎とハッキリ言ってくれないか。
※
ハンミョウの幼虫をうまく釣り出せたことが無いのだが、
アリジゴクもうまく釣れたことが無い。
擂り鉢状の穴に、芝の葉の先か何かをちょちょいと差し入れて、
ぐっと咬み付かれた瞬間に引くと、アリジゴクが釣れる。
と言うけれど、私は成功したためしが無いのだ。
だから、アリジゴクの姿を見たことが無い。
まあ、穴全体を下からごっそり掘り起こして
土を吹き飛ばせばすぐに見られるだろうけれど、やったことは無い。
※
芝を植えてある辺りはたいへん日当たりが良い。
そしてはげちょろけで乾ききって砂漠化しかけている。
こんな場所はアリジゴク好みだ。
いや、日当たりが良過ぎてアリジゴクにとっても地獄かもしれない。
と思ったら、
アリジゴクの穴を見つけた。
地獄でもなかったか。
今日こそ釣ってやる。
芝の葉先で鉢の内側をちょちょいとなぞり、底へと進む。
反応が無いので、一番底に葉を差し込んでちょっかいを出してみる。
それでも咬み付かれない。
おかしい。
シャベルでさらさらに乾いた土を掬って、
踏み石の上に撒いてみた。
1cmほどの土の塊がころころと有った。
一つをよく見ると、頭が有る。
土まみれのアリジゴク
の、死骸だった。
やはり、アリジゴクの地獄だったのだ。
※
すぐ横は池である。
以前、橋として架けていた木材が朽ちてしまったものを、半分突っ込んである。
それを見たら、うへえ、黒い、何かがみっちり付いている。
ガマのオタマジャクシにこの頃、足が出た。
と思ううちに手も出た。
そうかと思ううちに、手足で泳ぐものがいる。
尻尾が消えてきているのだ。
オタマジャクシのうちは、ものすごい数だったが、
だいぶ減った。
鯉が食うのだろうか。
減ったとは言え、無事にカエルの形になったものも、大勢いる。
そいつらが、陸に上がろうかいやまだ水に浸かっていようか
という瀬戸際に集まっているのだ。
※
ガマが増えるのはあまり嬉しくない。
毎年、池で産卵を終えたヒキガエルの死骸を処分するのがけっこうたいへんだ。
このまま水から揚がってそれぞれに歩き去ったら、どうにもならない。
今、集まっている。
一気にやるチャンスだ。
※
呼吸を整え、気合いを入れ、
朽ち木を掴んで一気に引き上げた。
すぐ横の砂漠地獄の上で朽ち木を裏返し、
叩いて子ガマたちを落とした。
地獄である。
乾いた土の上を、子ガマたちは池の方に戻ろうと小さく跳ねる。
どうして池の方向が分かるのだろう。
皆、乾いた土に全身まみれながら、同じ方向へと跳ねる。
私はそこに乾いた土を更にかぶせる。
我ながら恐ろしい光景だと思いながら、スコップで乾いた土をかぶせる。
さらさらの乾いた土の中から、小さなガマが跳ねて出て、池の方向へ向かう。
ちょっとくらい土をかけられたからって、そうすぐには弱らない。
※
調べると、アリジゴクはかなり乾燥に強い。
一ヶ月飲まず食わずで生き延びるそうだ。
だとすると、むしろこの芝生の間で死んでいたアリジゴクの死因は、何なのだろう。
すぐ横に蟻の巣も有って、餌には困らなそうなのだが。
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