旅日記

旅の記録と紀行文を紹介する事でしょう。
写真は私が撮影したものを使用しています。

ラベンダー紀行 函館

2004-09-06 02:04:12 | ラベンダー紀行
函館本線 函館駅 (北海道函館市)

函館に到着して改札口に向かう。乗車券の帯広→東京都区内には、函館とひとつ手前の駅の五稜郭との間は経路に含まれていない。分岐点通過列車に対する区間外乗車が五稜郭-函館で認められているので、札幌からの特急と八戸行の特急を函館で乗り継ぐ事に何の問題はない。問題があるようでは困る。しかし途中下車はできないとある。札幌からの特急の函館着は14時04分。八戸行の発車は15時40分。この間に遅い昼飯を食べたい。区間外となる五稜郭-函館の運賃(200円)を支払って改札を出るつもりで改札口に向かった。しかし改札氏はそのまま改札を通らせてくれた。これは乗り継ぎ列車まで相当時間があり、改札内に待合室がない事から、改札外にある待合スペースを使えるように便宜を図ってくれているものと解し、ありがたく出場した。

さっそく昼食にする。函館駅は昨年から新駅舎になったばかりで、新しくなってから初めての函館である。前の駅舎は昭和17年(1942)からのもので、青函連絡船が廃止となってからも往時を偲ばせるようで、何度も利用したし、親しみがあった。昭和を思わせる食堂も何軒か入っていた。新駅舎では2階に飲食店が入っている。エスカレーターで上がる。今回の北海道でまだ食べていなかったラーメンにする。生ビールも注文する。後でメニューを見なおしたが、新撰組に関する名前を付けたラーメンもある。NHK恐るべし。ラーメンは格別でもなかったが、ここからの眺めは良い。目の前に朝市と函館山が見える。ちなみに函館山からの夜景は文句なく美しい。ロープウェイやバスで山頂に登る事ができる。昼間に登っても良いが、夜景の方がおすすめである。山にぶつかった空気が、雲だか霧だかを発生させるのだが、霧が晴れて突如下界の夜景が見えはじめた時なぞ、息を呑むような美しさである。

今日は時間もなく、函館山には登れないが、海のほうを歩いてみる。青函連絡船の摩周丸が係留されているのである。内部は記念館として公開されている(有料)。青函連絡船には昭和63年(1988)に乗船している。青函トンネルの開通で廃止となった青函連絡船だが、この秋まで臨時便を運航していた。9月に利用したのだが、夏に青函トンネルで初めて北海道を訪れたので、順番が逆である。9月上旬なのに函館の高校生が冬服を着ていた事に驚いた。

向うの埠頭に見覚えのある客船が停泊している。昨年岩国港に寄港していた「飛鳥」でないかと思う。旅行から戻って、「飛鳥」のスケジュールを見ると、やはりそうであった。縁遠いような豪華客船ではあるけれど、数日くらいの航海もあるので、百万円も出さなくても利用できるそうである。フェリーの船旅では寝てばかりいるけれど、豪華客船の船旅はどんなものだろうか。

海の側を離れて駅へ戻る。函館には路面電車が走っている。競馬場や湯の川温泉をはじめ、市内の観光スポットへの移動にも便利である。その電車に乗る暇もない。新駅舎を眺める。DSB(デンマーク鉄道会社)との共同ワークだそうだが、何ともモダンなデザインである。そのうちに函館の風景に溶け込んでゆくのだろうか。駅前も整備中で、まだしっくりこない。1階の売店に山川牛乳を売っている。山川牛乳は大沼で製造されているのだが、函館駅で売っているとは知らなかった。大沼公園駅で飲んだ事がある。1本購入する。瓶である。蓋の裏に乳脂肪分が固まっている。まずそれを舐めてから飲む。旨い。函館周辺はみどころ一杯である。食べたいものもラーメンや牛乳だけではない。函館で1泊するべきだった。

名残惜しいが函館駅の改札に入る。八戸行特急「スーパー白鳥28号」は既に入線している。札幌からの特急が到着するまでに車内に入り、海側の座席を確保する。札幌から1本早い特急で函館に来た訳だが、その分だけ函館を楽しむ事ができたと思う。「白鳥」は大阪-青森という昼行の特急列車としては1,000キロを超える最長距離にして、12時間を超える最長時間の列車だったが、惜しまれながらも平成13年(2001)に廃止されてしまった。廃止の直前に青森から大阪まで乗車したが、夜明け前に雪を踏みしめてホテルから青森駅へ向かい、夜の大阪に着いた時には暖かい気がさえした。平成14年(2002)に八戸-函館の特急として「白鳥」は復活した。青森という接点はあるが、どうなんだろう。 (つづく)