旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

北海道と九州の旅で読んだ本

2020-12-08 19:27:00 | 図書館はどこですか



旅先で読んだ本のご紹介、まずは10月の北海道。往きのフェリーでほぼ読み終えたのが「三つ首塔/
横溝正史」です。金田一耕助ものの中編小説で、たしかドラマ化もされていたと思います。

読み返すのは中学生以来、細かな記憶は残っていませんが官能小説的なイメージが強かった印象で、
特に最終盤、主役のふたりが深い井戸の底に閉じ込められ、そこで激しく愛の炎が燃え上がる…のは
よく思えていました。しかし今読み直すと、その場面だけでなく全編エロチックなムードが漂い、
元来横溝さんが得意とした耽美浪漫的な作風へここでは大きく舵が切られていることがわかります。

なので、本格的な推理ものからは著しく遠ざかってしまい、トリックや推理の要素はほぼ皆無、金田一の
活躍少なく、犯人はなし崩し的に見つかるという筋書きで、その点物足らないのは間違いありません。

しかし冒険小説的な要素やメロドラマを絡み合わせたストーリーは面白く、ぐいぐい引き込まれるのは
これまた確か、飽きさせることなく、一気に最後まで読み進めることができました。


さらに現地では、たまっていた朝日新聞土曜別刷りbeを5冊ほどと、図書館で横溝全集を読みました。
それでもまだまだ読書する時間はたっぷりあったはずが、中盤以降体調が悪く、特に目の疲れが
ひどかったものですから、長時間目を酷使しないほうがいいだろうと判断して、自主規制し、
読書を控えた経緯があります。


そして帰路のフェリーで読み始めたのが「泥流地帯/三浦綾子」です。この本は比較的最近読んだもので、
北海道の美瑛あたりに頻繁に通い出してから購入したものです。周辺の歴史を知っておきたかったのと、
その前、同じ三浦さんの「氷点」を読んでいたので、その流れから買ったのだと思われます。

船内で四分の一ほど読み進めましたが、そのあと船酔いがひどく放置され、続きは九州で読むことに
なりました。


   

わりと最近(30代~40代くらい)読んだにもかかわらず、細かなストーリーはほとんど
忘れてしまっていたので驚愕しました。ではそんなにつまらない内容なのかというと真逆で、
骨太なお話に魅せられ、ページをめくる手がとまらなくなります。

「シュマリ」や「ゴールデンカムイ」などとほぼ同世代が舞台で、アイヌ民族こそ出てはきませんが
北海道への入植者、開拓者の当時の厳しい試練や境遇が克明に描かれています。それにしても、なかなか
十勝岳が噴火しないなと思っていたら、実はこの小説、続編があったんですね、すっかり忘れて
いましたわ。もちろんそれも手元にあったので、次に読む本はあっさり決まってしまいました。

大変重い内容だけに、読み進めると気が滅入る場面も多々あります。でもたしか最後はハッピーエンド的な
結末だったはず。艱難汝を玉にすといった赴きで、主人公たちは次々見舞われる試練を乗り越え、
境遇を跳ね返し自分たちの未来を切り開いていく、そんな展開が待ち受けていたと思うので、気を楽に、
続編に挑みたいと思います。


コメント
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