

開聞岳もきれいだが、長く裾野を延ばした鳥海山の優美なシルエットは一段とたおやかで、海上に聳える姿は真に麗しい。
「わあ!きれい!でも何て名の山?」若者達が通り過ぎる度、私は苦笑し、鳥海を憐れんだ。
「今見えている山は鳥海山です」と書いた貼り紙を、壁に掲げたいと真剣に考えたほどに。
三羽のカモメが上空を舞い続け、なかなか離れない。お前も「俺の塩」が食いたいのか。
鳥海山は見る角度により容姿を変えながら徐々に遠ざかり、今度は一際白く輝く月山が正面に、続いて朝日連峰の巨大な山塊が…
陸奥の色白美女達が酔いのまわった私に次々に微笑み、すぐには寝かしてくれそうにない。