旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

故人を偲ぶ

2009-05-01 18:00:20 | 時局雑感

 今日は朝出勤し仕事を片付け、11時過ぎに退社して義兄たちが催してくれた昼食会に望んだ。ワイフの兄たち3家族が、4月4日に亡くなった私の母を偲ぶ会を持ってくれたのだ。
 既に書いたように、母は95歳、天寿を全うしての死で「よく生きておめでとう」という類のもので、この会は九州での葬儀に携わった私たち夫婦を慰労する会であった。話題は母の話から当然のことながら義父、義母の話となった。
 義父はワイフが4歳のとき、昭和19(1944)年に死亡している。戦前の話である。義母は戦後の混乱期を義父の残した遺産(土地と家宅)を切り盛り(あるいは売却)しながら5人の子供(ワイフはその末っ子)を育て上げた。そして20年前に亡くなったが、その大らかな性格の所為か、家には家族のほかに絶えず多くの人が出入りしていた。私はいつも、誰が家族か、誰々が親戚が区別がつかないほどであった。
 桜上水の4、5百坪の土地に構えた数十坪の平屋建の家は、義父の残した立派な建物で、広い美しい庭ともども、誰をも受け入れる大らかな雰囲気をたたえていた。

 「当時どんな人が来ていたか?」…、そんな話題を続けていると長義姉が思い出深くつぶやいた。
 「家に出入りしていた庭師のMさんが『貴方のお父さん(義父)は大きな人でした。この庭を見ればわかるでしょう。心の大きい人でした』と話してくれた。貧しい人であろうと韓国の人だろうと区別せずに付き合った人だったようね。あの雰囲気はお父さんの残したものよ…」

 もちろん私は義父を知らない。しかし、死して60数年、このように偲ばれるような人になりたいものだと思った。私にはそのような力は到底ないが。
                         


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