4月5日にプラハで行われたオバマ大統領の演説を読み直して、改めてその素晴らしい内容に感銘を受けた。
核廃絶は人類の悲願ではあるが実現は不可能な夢である、という一般的感情がこの世界を流れている。その中で「出来るのではないか」という現実感に、私たちを引き戻してくれた内容であった。
大統領は、「われわれが核兵器の拡散が必然だと信じるとしたら、ある意味でわれわれは核兵器の使用が必然であることを認めることになる」として、「核兵器を使用した唯一の国の道義的責任を認め」た上で、「きょう私は、核のない平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」と高らかに宣言した。
加えて、『また夢物語を語っている』とする大方の批判を封じるかのように、「私は世間知らずではない。この目標はすぐに到達できるものではない――おそらく私が生きているうちには無理であろう」と釘を刺しながら、「しかし今、われわれは、世界は変えられないという人たちの声にも耳を貸してはならない。われわれは強く主張しなければならない『イエス・ウィ・キャン』と」と、呼びかけた。
久しぶりの「Yes we can」を、この格調高い演説の中で聞いた。
オバマ大統領の演説は、過去のアメリカ大統領のどの演説とも質を異にしているのではないか。核使用国の道義的責任を認めたこと、及び、核廃絶を呼びかける真摯な姿勢という面で。
久しぶりに感銘深い演説を聞いて、核廃絶への思いを現実の中に引き戻すことが出来た。