カッパドキアについては書き記す対象ではないとして書くのはやめたが、地下都市については少し触れておく。聞くにつけ驚くことばかりであったので。
カッパドキアの地下都市は紀元前の記録もあるらしいが、はっきりしているのは西暦2~3世紀から、迫害を受けたキリスト教徒たちが隠れ住んだことにはじまるようだ。
われわれは数ある中の一つ「カイマクル地下都市」を見学したが、まず、地下8階に及ぶ構造に驚いた。しかも広大で、2万から3万人が住んでいたという。われわれは1時間ぐらいかけて6階ぐらいまで降りたが、全体のほんの一部を見ただけだ。厨房や寝室などはもちろん、礼拝堂から学校、ワイン醸造所まである。
ワイン醸造所
中では当然火を焚くが、敵に気づかれないように「煙は2キロ先の穴から排出した」とガイドは言う。2キロ先まで運ぶと煙の色は消えるとのこと。入り口には丸い大きな石が用意されており、いざ敵の襲撃となればその石で塞ぎ、侵入は不可能であったと。
日本の隠れキリシタンどころではない。完全にこの世から“身を隠す”のだ。信仰の力以外に考えられない想像を絶する凄まじさといえよう。
今でこそ観光化され、バスで乗りつけて見学しているが、まさに「別の星の世界」に見える荒涼としたこの地に最初に踏み入れたとき、そこに住むには勇気を要したことであろう。反面、身を隠すには絶好の場所であったのか?・・・
宗教の力を改めて思い知った気持ちであった。