英伸三さんの「浅草初春事始め」という写真展に行ってきた。思えば英さんとは半世紀近い付き合いになるが、彼の精力的な活動(写真集の発行、写真展の開催)には頭が下がる。1936年生まれであるから私より1歳若いが、毎年のように写真展を開いている。
この写真展は、1980年代から毎年成人の日の浅草を定点観測し続けた記録である。わずか20~30年前であるが、懐かしい浅草の下町風景がだんだん失われていく姿が良く出ている。それにつれて「日本の元気」も失われていったように思える。80年代はバブルに向かう時期であったので、当時の元気がどこまで真正なものかについては議論もあろうが、少なくとも登場してくる人たちの顔には生気が満ちている。
「今後も新しい題材を追及するのか?」と問うと、「さすがに体力がなくなってきたので、新しい追求は思うに任せない。ただ、過去に撮りためたものが沢山あり、それを現時点の様々な切り口からまとめてみたい。その点仕事は山ほどある・・・」と話していた。
彼の、写真家としての「優しいまなざし」で見つめてきた(撮りためてきた)貴重な記録を、「市井に生きる日本人の歴史」として残していって欲しいと思う。
親友の頑張りを見ると、自分も書き散らしてきたものをいくつかの切り口でまとめて行きたいと思うのだが・・・。