旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

沖縄について何を知っているか

2010-11-23 10:19:36 | 

 

 沖縄へ行くことになったことを契機に、『観光コースでない沖縄』(高文研発行)を読んでいるが、私たちが沖縄について「いかに知らないか」を改めて感じている。
 沖縄といえば、基地と観光をまず想起する。この二つはかなり性質を異にするが、政治から見ても経済から見ても、沖縄の重要な要素であろう。特に最近の普天間基地問題から、基地の問題が国民の関心事になっている。
 日本が膨大なアメリカ軍事基地を置く国で、しかも戦後半世紀以上もたってなお国内に広大な基地を置くのは、世界から見れば異常な事態であるが、その基地の70%を、国土面積のわずか0.6%、全人口の1%にすぎない沖縄に押し付けている状況(前著197頁)は、これこそ異常と言うほかあるまい。
 ただ、このあたりまでは私もそれなりに知っていた。しかし沖縄県民の生活実態については殆ど知らなかったと言ってもよい。

 この本は、「沖縄の経済社会の特徴を端的にキーワードで並べると次のようになるだろう――高失業、高格差、高借金、高家賃、高借家、低所得、低貯蓄、そして依存経済」と書いている(193頁)。そしてそれらの数字を細かく掲げてその実態を示している。
 例えば、完全失業率は8%前後で本土の2倍、特に若者の失業率が異常にに高く、13%台で全国平均6.9%の2倍ちかいこと、所得格差(一人当たりの県民・国民所得格差)は、本土復帰時は59.5%、一時は回復したものの2000年以降は70%で推移していること。これは、大卒者の生涯賃金が全国平均3億円といわれているが、沖縄県民は70%の2億1千万円となり、生涯を通じて1億円近い差になる、と指摘している。
 若者の失業率が高い原因には、「地元指向が強い」こと、加えて「公務員志向が強い」ことなどを挙げているが、これらをどう捉えればいいのだろうか? 沖縄の若者は、みんな故郷を愛しているのであろう。しかしその地に地場産業は乏しく、狭き門の公務員を求めているのであろうか?
 読み進むほどに、様々な問題が提起されてくる。たった3日の旅であるが、単に観光に浮かれるだけでは許されまい。


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