旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

未だ木鶏たりえず…、白鵬63連勝で敗退

2010-11-16 09:19:52 | スポーツ

 

 「勝ちに行った…」
 敗因を問われたインタービューに対する白鵬の答えであった。
 難しいものである。そもそも勝負とは勝ちを争うのではないのか? 勝ちに行くものではないのか? しかし「勝ちに行った」ら負けるのである。
 心の問題を言っているのであろう。心技体というが、勝つためには技も体も欠かせないが、何よりも必要なのは心なのであろう。どんな心を必要とするのであろうか?

 69連勝の後、平幕の安芸の海の外掛けに敗れた双葉山が、友人に打った電報「ワレイマダモッケイタリエズ」と言う言葉はあまりにも有名であるが、あの双葉山にしても、70連勝を越えて勝ちを続けるには、木鶏(モッケイ)の心が必要であったのであろう。つまり“生き物の心”ではダメで、揺れ動くことのない“木彫りの鶏の心”が必要であったのだ。
 これまた難しい。勝負とはそもそも「生き物の仕業」だ。しかし生き物の心を持ってしては勝負に勝てないのだ。木鶏の持つ不動の心を必要とするのである。

 異変が起こるとすれば平幕と組む前半戦と思っていたが、とはいえ何とか勝ち抜き、白鵬を倒すのは、日馬富士か琴欧州か把瑠都の外国勢だろうと極めて平凡な予想を立てていた。しかし大記録が思わぬ異変で終止符を打つのは世の常だ。ただ、それを果たしたのが日本人、しかも数少ない日本人ホープ稀勢の里であったことには救われた。(もっとも彼は「俺の勝ったのは異変ではない」と言うかも知れないが)
 双葉山を破った安芸の海は前頭3枚目か4枚目、その後昇進して横綱に上りつめた。稀勢の里はどこまで行くか? 彼は安芸の海より上の前頭筆頭であるが、何度か三役を務め落っこちた前頭であることが気になる。しかしこの金星の値打ちからすれば三役どまりでは許されまい。
 
稀勢の里の今後に期待したい。超現代っ子の彼には、「木鶏の心」を必要とすることもなさそうだから。 


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