久しぶりに秋田を訪れた。真冬の秋田を訪ねるのは何年ぶりだ。特に今年は例年にない大雪らしく、事前の報道を得て構えて行ったのであるが、それでもなお雪国の厳しさを思い知った。
空港から秋田駅に向かうリムジンバスからの眺めで、雪の深さを知り、八郎潟に向かう列車の窓外に広がる景観は、これまで見てきた田園風景と質を異にしていた。広大な水田は、春は水が張られ、夏は青々とした稲田となり、秋は黄金色の稲穂が打ち続いていたが、一面に深い雪に覆われて白い風景がどこまでも続き、その上を低い暗雲が覆っていた。八郎潟駅から眺める森山は荒涼として、すべてが停止して動きを感じさせない。雪国の厳しさを見せつけられたように感じた。
八郎潟駅から森山を望む
その夜は小倉温泉に泊り、ゆっくり湯船につかって暖かい布団で眠ったが、驚いたことを二つ。
一つは、夜中にトイレに起きて小用を済ませたが、なぜか垂らす小便の水音がしない。気が付いてみれば便器の中の水が凍っていたのだ。薄氷はやがて溶けて小便の音がし始めたが、これは今まで体験しなかったことだ。
もう一点は、翌朝目覚めて部屋のカーテンを引くと、“巨大つらら”が眼前に現れたことだ。。ただ、つららを通してみる雪景色は、これも初めて見る美しい光景であったが…。