国公労連(日本国家公務員労働組合連合会)などは大企業の内部留保のほんの一部を使えば、大幅賃上げも大幅雇用増も可能だと指摘する。例えば、「それぞれの企業が内部留保のわずか1%を活用するだけで、主要136社中82社で1000人以上の雇用(年収300万円、1年間)が可能」、また「主要117社で内部留保の3%未満の取崩しで、正規従業員に月1万円以上の賃上げが可能」など。
毎年取崩しても1%なら100年、3%でも30年大丈夫だし、その間も積み上げていくのであろうから、先行きより当面の経済浮揚を考えるのが指導層の役割ではないのか?
中小企業は大半が赤字で、賃上げなど無理に見える。しかしここでも大幅賃上げを実施し、その分を価格に転嫁する。価格が上っても事前の賃上げで購買力をつけておけば必ず物は売れる。もちろん一社だけでやればその会社は潰れるので、全企業でやらねばならない。さすれば、大幅賃上げと相応の価格上昇を全体で平等に負担する。
価格を上げれば、それでなくても円高で輸出が困難なのに一層売れなくなるという議論があろう。しかしこれも、現下の世界不況克服のために世界全体(とりあえず先進資本主義国)で取組む課題だ。各国大企業は膨大な内部留保の一部を取崩し、中小企業は賃上げ分を価格に転嫁する。すべての国がやれば、わが国の物だけが高くなることはない。
それがやれる条件はあるか? 近時のニュースを見ると、貧困と格差を訴えているのは日本の労働者だけではない。ニューヨークのウォール街で、ロンドンのシティで、何万、何十万という労働者や市民が集会をやりデモを行っている。日本の労働者は、まさにこの欧米労働者と結び合うべきだろう。まさに「万国の労働者、団結せよ!」でる。
そしてこのスローガンこそ、カールマ・ルクスが150年も前に『共産党宣言』の結びに掲げた言葉である。マルクスは、今に生きているのである。