この10年間で大企業は90兆円の内部留保を積み上げ、反面民間企業労働者の平均賃金は50万円低下した……。これはちょっと大企業さんひどすぎるんじゃないの、と言いたくなる。企業に儲けるなとは言わない。しかし労働者の取り分をこれほどまでに減らして儲けを積み上げるとは強欲が過ぎるんじゃないですか?
俺たちはどんどん豊かになる、しかしお前たちはどんどん貧乏になっていきなさい…と言ったんでは世の中は治まるまい。第一、民間労働者がどんどん貧乏になったんでは、資本家の皆さんがいくら物を作っても買う人がいなくなるだろう。どんどん給料が減っていって誰が物を買うんですか? 不況が続くのは当然で、大企業自ら首を絞めているようなものではないか。それも分からくなったほど大企業は欲に目がくらんできたのだろうか?
戦後の経済復興期から高度成長時代は、企業も儲かったが労働者の平均給与も上がった。企業の儲けが先行したので労働者は不満をぶっつけ毎年春闘を闘った。それに対する資本とそのイデオローグ(いわゆる御用学者たち)は、「労働者よ。君たちは相対的には貧困感があるかもしれないが、絶対的に貧しくなっているわけではない。マルクスの言う絶対的貧困化論は間違っている。そのようなイデオロギーにとらわれず、一生懸命働いて少しでも(つまり資本家層とまではいかなくとも)相応の賃金を獲得して生活の向上を図りなさい」ということであった。
この思想攻撃に懐柔され、総中流化した生活に満足し、組合の強化を怠っていたところ、アッという間にものを言う組合はなくなり、それにつれて不正規労働者の進出などを許して来ていたらたら、アッという間に絶対的貧困化の道を進むことになった…。
しかし、前述したように、これでは世の中は治まるまい。(つづく)