旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

顕著になった「絶対的貧困化」現象

2012-01-22 22:37:48 | 政治経済

 

 全労連と労働運動総合研究所の調べによると、過去10年間で大企業の内部留保は90兆円増加したが、民間企業労働者の平均賃金は同期間で約50万円減少しているという。つまり2000年の大企業内部留保は172兆円であったが2010年は266兆円と94兆円増、反面民間企業労働者の平均賃金は2000年の461万円から2010年には412万円と49万円減少している。内部留保の数字は『国民春闘白書』により、労働者の平均賃金は国税庁の『民間給与実態統計調査』によるようであるので、確かな数字なのだろう。
 二つの数字は、一方が大企業というくくりであり、方や民間企業労働者というくくりであるので直接は対応しない。しかし、近時多くの民間企業、特に中小企業が苦しみ、儲けは一部大企業に吸い上げられているという状況が問題視されておるので、上記の現象は中小企業を底辺とする総民間企業労働者の給与が削られ、それが一部大企業の儲け――内部留保として蓄積されたと読み取れる。

 カール・マルクスは『資本論』で資本主義社会の本質を分析し、資本のあくなき利益追求の結果は、資本の側に膨大な富の蓄積を生む反面、労働者側は相対的にも絶対的にも貧困化していくと説いた。一方の富の蓄積は、片方に貧困を蓄積する……。史上空前の利益の蓄積の反面、年収2百万以下の世帯が千万を超える…、働いても食べていけないワーキングプア―などという階層が現出する…
 資本主義はその進展の中で、絶対的貧困化層を生み出してきているのであろうか…(つづく)


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