桂浜から五台山に上る。先ず訪れたのが『県立牧野植物園』。
植物学者牧野富太郎の名前は聞いてはいたが、詳しく触れるのは初めて。1862年高知県高岡郡佐川町に生まれ、独学で植物学の研究を重ね、22歳で上京して、黎明期の東京大学理学部植物学教室で、植物分類学の研究の機会を与えられた、とパンフレットにある。
驚いたことに、牧野が生涯において蒐集した標本は40万枚、新種や新品種として命名した植物は1,500種に及ぶという。この植物園は広さ約6ha,約3,000種が四季を彩るといわれ、私たちは時間がなく40分しか回れなかったが、一日すべてを費やしても見切れないだろう。
植物園へのアプローチ
園内のすべてに名前が付られていた
植物園入口に咲く蓮
牧野植物園に隣接する古刹が、四国霊場第31番札所の『竹林寺』。四国に行く以上、札所の一つぐらいは訪ねよう、と軽い気持ちで赴いたのであるが、これは大変な名刹であった。
山門の門構えや参道の赴きからして、想像をはるかに超えるスケールと静寂な美しさにあふれていた。
国の重要文化財である本堂の対面高所には、見事な五重塔がたっていた。説明書きによれば、古くは三重塔があったが明治32年の台風で倒れ、昭和55年ようやく、全国の般若心経奉納の浄業を得て再興したとある。鎌倉時代初期様式、総高31.2m、間口4.8m、総檜造り、使用木材1,320石、使用瓦2,800枚、宮大工延べ人数5,400人…と気の遠くなるような説明が続いていた。
案内役の友人K君の奥様の菩提寺でもあり、K君はご住職とも親しく、たまたま居合わせたご住職に方丈の間に案内され、お茶とお菓子をいただきながら、「夢窓国師の作庭といわれ、高知県三名園の一つ」とされる庭園を見せていただいた。望外の幸せであったというしかない。