さて今日は成人の日ですね。
成人になられた方、おめでとうございます。
一つ、アドバイスすれば、「一滴の源流は大河へと繋がり、その流れは遅々としても、やがて五月雨をあつめるが如く、奔流となる」。
人生を楽しみながら、焦らず、腐らず、一歩ずつ前へ進みましょう。
★日本の家電メーカー。
かつて松下幸之助は、松下電器(現パナソニック)が、まだ小企業であったとき、ある会合で人から尋ねられた。
「お宅は何をやっている会社ですか」、それに対して若き松下幸之助は、次のように答えたという、「人間を作っています。ついでに電気ソケットも作っています」。
一方、戦後、ソニーを東京品川のバラック小屋で立ち上げた井深と盛田は、社是を次のように掲げた、「愉快な理想工場を作る」。
しかし今や、パナソニックもソニーも青息吐息の大赤字企業になってしまった。
パナソニックは昨年秋の決算発表で純損益が7650億円の赤字。前年にも7721億円の赤字を出して、2年連続で巨額の赤字を計上した。
この原因は中村邦夫・社長のプラズマテレビの失敗に始まった。中村社長はシャープの液晶テレビに対抗して、2003年にプラズマテレビに巨額投資をし、この後も液晶よりもプラズマという信仰が捨てられなかったという。
プラズマというのは液晶より技術的には優れていたが、その欠点は一般家庭テレビの主流である32Vや40V型に適合しなかった、つまりプラズマ技術というのは50V以上の大型テレビ用であり、かつ最大の問題としてコスト競争力に欠けていた。
液晶もプラズマも販売当時は平均単価が30万円から40万円であったが、液晶がコスト能力を発揮して32V型で4万円が市場に出回ると、ついに価格崩壊が始まり、プラズマの敗北が決まった。そしてシャープの液晶も作れば作るほど、赤字が増える構造に陥った。
そして一方の雄であったソニー、中鉢社長は「ソニーは従業員の為には存在しない、株主の為に存在する」と公言し、その跡を継いだ平井社長は英語はうまいが、まるでNYのオフ・ブロードウエイの舞台に立つ、お喋りコメディアンのように軽薄なのは、今のソニーの苦境を表している。
さて経営問題の本質とは何か。
結論から言えば、経営者の技術的先見性が無い、財務計数には強いが、人間学を知らない。パナソニックもソニーも、松下幸之助や盛田の創業者イズムは消え失せ、代わりにトップに登り詰めたのは、いずれも経理屋か米国MBA出という財務管理屋ではなかったか。そしてそれが物作り日本の衰退の元凶になっているのではないか。
(じゅうめい、鋭く斬る)