子供の頃から対象を俯瞰で捉える事の出来る本として図鑑の類は好きな性質でした。特に乗り物系の図鑑を見ると子供心にときめいたものです。
鉄道模型の趣味を始める前の時期に私の絵本代わりとなっていたのは「学研の図鑑」の「機関車・電車」でした。
(今出ている図鑑では鉄道と自動車が一纏めになっていてボリュームに欠けます。何しろ機関車が1ページしかない位ですから)
この図鑑の素晴らしいと感じた所は各形式について正面像と側面像がカラーでずらりと並べられていた事でした。今観ると少し絵柄にラフな所も感じますがそれでも当時は(今でも)結構楽しめたものです。当時は鉄道だけを取り上げた図鑑が他に殆どなかった事もあってそのインパクトは絶大でした(「飛行機・ロケット」「自動車・船」というのもありました。他社の図鑑が「交通の図鑑」で一くくりにしていたのに比べるとボリュームの差は圧倒的でした)
そして、鉄道模型を始めてすぐ位のタイミング、前出の「レイアウトモデリング」の次くらいに買ったのがTMSの別冊「陸蒸気からひかりまで」でした。
この本については初めてNゲージを購入した模型店にTMSのバックナンバーと共に置かれていたので購入前に手にとって見ることが出来ました。
ページをめくると色こそ付いていないものの精密な車両の側面図が「列車の姿」で綺麗に描かれていて私の脳髄を爆発させました(笑)
一号機関車から0系新幹線までの国鉄型の車両を時代ごとに俯瞰できるパノラマ性も素晴らしかったです。
学研の図鑑では単体の車両の配置ばかりだったのに対し、「列車」としての編成の楽しさが紙面に横溢していた辺り、図鑑としての実用性よりも「大人の絵本(当時の広告にもあった言葉です)」としての楽しさが感じられました。
そんなところにも惹かれた私は結局なけなしの小遣いをはたいて購入し、以来宝物のひとつとして現在まで折に触れ見返している本のひとつです。
それから20年以上が過ぎ、レイアウトを作り始めた頃に近所のブックオフで見つけたのがRMMの別冊「列車紳士録」です。
序文を「陸蒸気~」の著者の一人である片野正巳氏が書いていただけあって本の体裁や構成などは正に「帰ってきた陸蒸気~」を思わせる本でした。
しかもこちらはカラー版です。描かれている列車たちは一部時代がバッティングしているものの大半は「陸蒸気~」以降の時代のものが多く続編と捉えても違和感の無いものでした。こちらもイラストは編成単位で描かれカラーゆえの華やかさが加わった「大人の絵本」と言えそうです。
思えば最初に触れた学研の図鑑も発行時期は「陸蒸気~」(初版昭和40年)より後(昭和49年頃)ですからこれもある意味「陸蒸気~」の子供の一人かもしれません。
「陸蒸気からひかりまで」は後にハードカバーの初期の仕様も入手しました。
上の写真の簡易装丁の版を30年以上前に購入しておりずいぶんと楽しませてもらったのですがさすがに読み過ぎでボロボロになっており、最近ではページを開くのもおっかないと言う状況でしたから今回のハードカバー版は渡りに船だった訳です。
改めて読み直しましたが、やはり良い物は良い。
途中のどのページから見ても上品で濃密なイラストと解説のよさで全く飽きさせません。
個人的に好みから外れる様なジャンルの車両でも楽しんで読めるのもこの本の持つ人徳でしょう(笑)
特に最近は少し古典的な車両でもどこかのメーカーが製品化するようになりましたからその際のガイドとしても好適な本です。
古本を買った後でこんな事を書くのも何ですが是非再販を希望したい一冊ですね。
それにしても時代が違ってもこの種の「絵本」が好きな辺り私の精神年齢も成長が無いようです(苦笑)
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