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今回は先日更新されたWEBの鉄道模型マンガ「TEZMO SYNDOROME(テツモシンドローム)」の第10話に触発されたネタです。
内容は、鉄道模型女子の主人公、風奈がダイレクトメールの葉書に触発されてミニパイクの製作を夢想する話でしたが、その題材に選ばれたのが「TOMIXの商店」だったのにピンと来てしまいました。
今でも大概の模型屋さんに置かれ普通に売られている上に、中古ショップでの出物も比較的多いアイテムなだけにあまり意識されることがありませんが、TOMIXの商店はリリースから優に40年近く経ちながら、今でも支持されている「偉大なる凡庸」的存在のストラクチャー。
わたし自身、この趣味を始めて最初に買った一般建造物がこの商店でした。
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木造モルタル2階建の看板建築が3軒並んでいる構成は、店舗としてごくプレーンな形状で面白みに欠けるのも確かです。
この直後に出たGMのキット形式の店舗がTOMIXのによく似ていたせいもあって1980年代初め頃のNゲージのレイアウトの作例は「駅前の風景がどれも同じに見える」という一種無個性な状態になってしまいました。
(同時期のKATOのストラクチャーで輸入キットの店舗ビルが出た時「レイアウト上の建物は一つでも種類の多いのが望ましく、特殊な場合を除いて同じ建物があちらこちらに目につくのは、どうしても興ざめするものです」などと、この点を皮肉った様な表現が当時のカタログにあったくらいですw)
ですから各店舗にどう手を加えるか、どこで個性を見せるかが当時のレイアウトビルダーの腕の見せ所でもあったといえます。
TOMIXの商店そのものはプレーンな形状な上に、各パーツがしっかりはまっていて完成品としての構造もしっかりしたものだけに、素材としても加工のしがいのあるものでした。
漫画ではファザードの加工やガレージの継ぎ足しなどを計画していましたが、そこまででなくとも、ただ色を塗り替え、サッシに色刺しするだけでも相当にリアルになります。
もちろん製品そのままの状態で、お座敷運転で線路際に並べてもそれなりに見られます。
が、ここで加工の手間を惜しむか否かがコレクターとモデラーを分けるポイントの一つになっている気もします(まるでリトマス試験紙みたい)
さて、この商店がリリースされて40年。
その間にTOMIXやGMのストラクチャーもそれなりに充実しましたし、ジオコレやジオタウンの登場、みにちゅあーとのペーパーキットの出現などもあって、この種の商店ストラクチャーは飛躍的に種類を増やしました。
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面白い事に、こうしたストラクチャーが充実した結果、一番最初に出たTOMIXの商店がようやく「何種類もある商店の中のひとつ」という本来の立ち位置に立つことができた、と感じます。
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同じ形状の店が何十軒と並んだ中ではまるで映えないTOMIXの商店ですが、形の異なる何十種類もある商店街の中に紛れ込ませると、かつて没個性に見えた建物が実に生き生きして見えるのです。
これを「偉大なる凡庸」と呼ばずして何と呼びましょう。