WESTWOOD -手作りビンボー暮らし-

持続可能な社会とは、必要なものはできる限り自分(達)で作る社会のことだ。衣食住なんでも自分で作れる人が偉いのだ。

国家安康の鐘

2008年06月19日 | おもしろ博物館

 神も仏も全く信じておりませんが、実は私、結構お寺は好きです。それもちょっとマイナーだけれど実は..、といったような。で、今日は中でも好きなお寺の一つ方広寺というお寺のお話。

 このお寺は、京都でも“お寺銀座”と言ってもいい京都駅周辺地区に位置し、近辺には清水寺、知恩院、三十三間堂、東本願寺、西本願寺、東福寺、泉湧寺、東寺..、などなどそうそうたる寺群が徒歩圏内にあります。
 そのため普段は立ち寄る人も少なく知る人ぞ知る小寺ですが、その素性は由緒正しく生い立ちは波乱万丈そのものだったのです。

 創建はかの太閤秀吉!。金箔好きだった太閤さんのこと、当初本尊の大仏は高さ20m近く、漆塗りの金箔張り、これを収めた大仏殿は高さナント50mもあったんだそうな。
 その大仏と大仏殿も慶長の大地震で倒壊、太閤亡き後、徳川家康の後押しで息子秀頼により秀吉公供養のため再建されましたが、またまた地震で倒壊、木造で再々建されたがそれも火災で焼失し、現在は高さ約3mのご本尊をまつった本堂と大黒天、大鐘楼を残すのみとなっています。

 実はこの大鐘楼、ご存知の方も多いと思いますが、これこそ豊臣家滅亡のきっかけとなった歴史的いわくの鐘なのです。そう、あの鐘楼に刻まれた「..国家安康 君臣豊楽..」の銘が家康の逆鱗に触れ、豊臣家“お取り潰し”となったのでした。この鐘は高さ4mあまりもあり、大晦日だけは除夜の鐘を撞きに来る人たちでごったがえすのです。その音はまさに荘厳そのものです。

 少し前置きが長くなりましたが、なぜこのお寺が好きなのかと言いますと、これだけのいわれがありながら実に開放的、庶民的というか、適当というか、とにかく想定外のハチャメチャなお寺なのです。
① 拝観料が激安。大人たったの200円!
② 本尊、大黒さんはじめ寺内のものは触り放題、写真撮り放題。頼めば鐘楼の中も見学OK
もちろん、ムチャクチャしていいわけではありませんが、こんなお寺まずありませんね。どんなしょうもない寺でも、大抵薄っぺらな威厳を保つために、写真撮影NGはもちろん、仏さんの“お触り”なんかもってのほかじゃないですか。
③ 文化財指定品もあるのに鍵が掛けてなく、戸締りはなんとつっかい棒!

 住職さんがおおらかなのか、ヤル気ないのか、まあ、拝観させていただく方にとってはありがたいといえばありがたいのですが、かなり傷みの見られる堂内や、あまりに無造作すぎる文化財の保管状態を見るにつけ、少し拝観料を値上げしてもよいからもうちょっと宣伝し拝観者を増やして収入を増やし、建物の修復や文化財保管、防犯にお金をかけては、とついつい心配になってしまうほどです。ま、ある意味パラダイス

ご本尊

大黒天

不動明王。個人的にはこれが凄いと思う。

龍。左甚五郎の作と言われているが、座敷に無造作に置いてある。

店番兼案内のおばちゃん(案内ぶりにいい味あり)と「国家安康」のレプリカ、机の上に無造作に“展示”?されている倒壊した大仏の台座の一部。

大鐘楼。人と比べればその大きさが分かる。

大晦日には誰でも鐘撞き体験ができる、行列のできる大鐘楼。

こんな重い鐘楼を、昔の人はどうやって持ち上げ、吊るしたのだろうか?