金沢市議会政調費:1542万円返還命令 名古屋高裁支部
金沢市議会の旧2会派が政務調査費から飲食代金を支出したのは違法として、市民オンブズマン石川のメンバーが市長に対し、旧2会派に計約1989万円を返還させるよう求めた訴訟の控訴審判決が4日、名古屋高裁金沢支部であった。
渡辺修明裁判長は1審の金沢地裁判決(06年6月)を変更して1542万円を返還させるよう命じ、領収書などの提出命令に従わなかった会派側について「立証妨害にあたり、解明を著しく阻害した」と異例の批判をした。
判決によると、両会派は03年度政務調査費のうち1989万円を「会議費」名目で支出し、その主な使途を「食糧費」とした。1審判決は支出の違法性は認めたものの、会派側が領収書などの提出命令に従わなかったため「どの部分が飲食代金にあたるか不明」と請求を棄却。だが控訴審判決では「飲食代金の認定は不可能」とする一方、1審判決後の06年度政務調査費収支報告書で両会派の「会議費」が計446万円に減少したことから、差額の1542万円分を違法支出と認定した。
領収書を提出しなかったことについては、両会派の会計責任者の2市議(当時)に対し1審が過料各10万円、控訴審も各20万円の支払いを命じている。
判決後、オンブズ側は「立証妨害を認定した判決は記憶にない」と評価。山出保・金沢市長は「主張が認められなかったことは誠に遺憾」とした。立証妨害の指摘について旧2会派側の高村佳伸・自民党議員会幹事長は「当時の担当者でないのでコメントできない」としている。【栗原伸夫、泉谷由梨子】 |