毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 昨日、金沢から帰ってきたら、ニュースは、「消費税率は最大18% 政府が『基礎年金の税方式』を初試算」との内容でもちきり。
 そこでちょっと社会勉強してみた。

 公的年金制度では、何を年金給付の財源とするかで2つある。
 ひとつは、年金加入者の保険料を主要財源とする「社会保険方式」。
 もうひとつは、広く国民から徴収した税を財源とする「税方式」。

 5月4日のサンケイから抜粋してみよう(後半に主要部分を引用)。

● ⇒ ◎ 今の日本は社会保険方式だ。
日本の年金は、基礎年金部分の国民年金と、所得比例部分の厚生・共済年金の2階建てで構成されている。国民年金の主要財源は保険料だが、税負担も36・5%を占める。
 社会保険方式のメリットは負担と給付の関係が明確なこと。納めた保険料に応じて年金を受け取れるほか、年金会計は原則的に一般会計から独立しており、国の財政が悪化しても年金額が減る可能性は低い。

     ★ ⇒ 民主党
 ◎ 国民年金を含めた年金制度を一元化する案を主張している。現行の基礎年金にあたる部分を全額税でまかなう「最低保障年金」とし、保険料を財源とする所得比例年金部分と組み合わせる。最低保障年金は現役時代の所得が増すにつれ徐々に減り、年収1200万円でゼロとなる。
 民主党案は最低保障年金に注目が集まり税方式と誤解されるが、最低保障年金を受給するには保険料納付が条件で、実際には社会保険方式だといえる。無所得者に対しては生活保護で対応する方針だ。
     民主党の年金抜本改革 =ポイント説明資料=

● ⇒ ◎ 税方式は保険料を納める必要がなく、未納問題は生じない。
 保険料納付が難しい低所得者でも必ず年金を受け取ることができ、無年金者はいなくなる。 税は高齢者も負担することから、世代間の不公平も少なくなる。
 デメリットも少なくない。現行の基礎年金を全額税金でまかなうとすると新たに約○兆円が必要で、これを消費税率に換算すると約○%。今後医療や介護など他の社会保障負担の増加も予想され、これらも消費税でまかなうと消費税率を ○%まで引き上げなくてはならない

     ★ ⇒ 自民党
 ◎ 自民党では税方式支持派が急速に増えている。その背景には、現行の社会保険方式では、未納問題や記録問題を根本的に解決できず、国民の批判をかわせないとの懸念がある
 ◎ 税方式は長期にわたり社会保障制度に混乱を生じさせ、保険料の企業負担まで消費税に転嫁して国民に負担を重く押し付けるだけ


●19日読売新聞は、
 「読売新聞社、自民党の議員連盟、日本経済新聞社などが提案した年金改革案に基づき」「全額税方式」としている。 これがミソか。

●19日朝日新聞は、
 「税で賄った場合、保険料負担は減るが、増税との差し引きで年金受給者や会社員世帯では負担増となる一方、厚生年金の拠出金がなくなる企業の負担は減る。」

●20日の毎日新聞は、
 「政府試算は、暗に「税方式の導入は困難」との見解をにじませている」 
「首相は『やはり税方式は取りえないな』と漏らした」 としている。

 私の見方は、消費税に載せるのは、ますます格差が拡大するから、否。
 現行には無理があるのだから、所得の多い階層からの分配・平準化。

人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点
ここのところ6位、7位、8位あたり

(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

  ●消費税率は最大18% 政府が「基礎年金の税方式」を初試算 (1/2ページ)  サンケイ 2008.5.19 20:41
 基礎年金を税方式にした場合の追加財源と消費税率換算 政府は19日、基礎年金の税方式化に関する財政シミュレーションをまとめ、社会保障国民会議の雇用・年金分科会に提示した。税方式化した場合、追加的に必要となる税財源は2009年度時点で9兆~33兆円で、これをすべて消費税でまかなうと、消費税率は現行税率分などを含め9.5~18%まで引き上げが必要となることが分かった。

 年金財源に消費税率引き上げ分の大半を回すことになれば、医療や介護保険の給付増に対する財源手当を別途検討せざるを得ず、今回のシミュレーションは、税方式導入のハードルの高さを印象付ける結果となった。

 シミュレーションは、与党内や日本経団連など各団体の税方式をめぐる各案について、50年度までの財政を試算する形で行われた。政府が税方式を本格試算したのは今回が初めて。

 現行制度での保険料納付分と税負担分を上乗せ支給するケースを採用した場合、制度を移行する09年度時点での追加税額は33兆円にのぼり、消費税率換算で12%の引き上げが必要なことが分かった。

 最も追加税額が少なくて済む、現行制度で未納期間があった人を減額するケースを採用しても3.5%アップしなければならない。ただ、このケースでは、無年金者や低年金者がなくならないことも分かった。

●消費税率は最大18% 政府が「基礎年金の税方式」を初試算 (2/2ページ)
  サンケイ 2008.5.19 20:41

 ●年金改革、税方式なら「消費税最大13%上げ」…政府試算  (2008年5月19日23時39分 読売新聞)
 (略) 政府の社会保障国民会議は19日の所得確保・保障分科会で、読売新聞社、自民党の議員連盟「年金制度を抜本的に考える会」、日本経済新聞社などが提案した年金改革案に基づき、それぞれの案に必要となる消費税率などを計算した財政試算を発表した。

 その結果、2009年度に改革を行う場合、日本経済新聞社などが提案した基礎年金を税でまかなう「全額税方式」を導入すると、現行5%の消費税率に4・5~13%(1%を2・8兆円で換算)の上乗せが必要となることが分かった。これに対して、税と保険料でまかなう現行の「社会保険方式」を修正した読売案では2%の消費税率上乗せにとどまった。

 政府が「全額税方式」の将来試算を行ったのは初めてで、試算にあたり、自民党の議員連盟や日経新聞などにより提案されている案を踏まえ〈1〉全員に基礎年金の満額(月6・6万円)を一律給付〈2〉過去の保険料未納分に応じて基礎年金を減額〈3〉全員に満額給付し、過去の保険料納付者に加算――の3類型に分けた。

 それぞれの類型により、政府が決定した基礎年金の国庫負担率を3分の1から2分の1に引き上げるための2・3兆円のほかに、9~33兆円の財源が必要という結果となった。また、〈2〉〈3〉の場合は、制度の完全移行に65年間程度かかり、全額税方式を20年間かけて段階的に導入すると、85年かかるケースもある。

 一方、読売案は、基礎年金満額の月7万円への引き上げに1・2兆円、低所得の高齢者世帯に対する5万円の最低保障年金創設に1兆円など新たに必要な財源は計5・7兆円だった。

 また、「全額税方式」導入時の消費税負担の増加分と、「社会保険方式」廃止による保険料負担の減少分の差を比較した結果、勤労者世帯では消費税の負担が月平均0・7~4・2万円増えるのに対し、保険料負担は同最大9000円減にとどまり、すべての年代で負担増になることが分かった。65歳以上の場合は、より負担が重くなる傾向がある。過去の年金積立金を活用し、「全額税方式」導入時の税率引き上げを遅らせるとしても、最長で7年程度しかもたない。

  ●税方式導入なら消費税「9.5~18%」 公的年金で試算 朝日 2008年05月19日23時46分
 政府の社会保障国民会議は19日、基礎年金の財源をすべて税で賄った場合、09年度に9.5~18%まで消費税を引き上げる必要があるとの試算を公表した。保険料負担は減るが、増税との差し引きで年金受給者や会社員世帯では負担増となる一方、厚生年金の拠出金がなくなる企業の負担は減る。

 基礎年金を巡っては、保険料と税を併用する現行の「保険方式」を見直し、全額税で賄う「税方式」に改めるべきだとの考えが、民主党や経済界のほか、自民党の一部にもある。税方式に伴う負担のあり方を具体的に示した今回の試算は、今後の年金制度の議論に影響を与えそうだ。

 (略)  試算は4通り。現行の給付水準(月額6万6千円)維持を前提に(1)加入歴にかかわらず、すべての高齢者に満額支給(2)過去に未納期間があればその分を減額。また基礎年金を全員に支払ったうえで、加入歴に応じて(3)今の保険料相当分(3万3千円)を上乗せ(4)今の給付全額分(6万6千円)を上乗せ――に分けた。

 消費税率が最も高くなるのは、給付の上乗せ額が大きい(4)で、09年度には12%分の税率引き上げが必要。現行の5%と、国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げる財源(消費税1%分)を加えれば、税率は18%だ。

 一方、(1)は保険料を支払ってきた人と未納者の間で不公平が生じる。(2)は未納期間があれば、その分減額するため不公平は生じない。必要な財源も最も少なく、実現可能性は高いといえる。だが、現在の無年金・低年金の人は救済できない。

 家計への影響も初めて試算。保険料減と消費税増の差し引きを世帯別に見ると、高齢者世帯で負担が重くなることがわかった。(2)では35~44歳で月額の負担増が会社員世帯で1千~2千円なのに対し、65歳以上や年金受給世帯では7千~8千円になる。

 企業は現在約3兆円の負担がなくなる。(2)では従業員1世帯あたり2千~9千円の負担減。経済界では「企業負担が減る分は従業員に還元する」としているが、具体策は示されていない。

●保険料か税か 年金制度改革めぐる論議本格化 政界再編にらんだ思惑も (1/4ページ)  サンケイ 2008.5.4 18:32
 保険料か税か-。政府の「社会保障国民会議」で、年金制度改革をめぐる議論が本格化してきた。基礎年金の財源について、現行の「社会保険方式」を維持するか、全額消費税でまかなうなどの「税方式」に転換するかが最大の焦点だ。年金制度改革が政界再編の鍵のひとつになる可能性もある。両方式のメリットとデメリットを比較し、制度改革をめぐる関係者の思惑を探った。(桑原雄尚)

 公的年金制度では、何を年金給付の財源とするか。その方式は大きく分けて2つある。ひとつは、年金加入者の保険料を主要財源とする「社会保険方式」。もうひとつは、加入者にかぎらず、広く国民から徴収した税を財源とする「税方式」。今の日本は社会保険方式だ。

 日本の年金は、基礎年金部分の国民年金と、所得比例部分の厚生・共済年金の2階建てで構成されている。国民年金の主要財源は保険料だが、税負担も36・5%を占める。
  (略)
 社会保険方式のメリットは負担と給付の関係が明確なこと。納めた保険料に応じて年金を受け取れるほか、年金会計は原則的に一般会計から独立しており、国の財政が悪化しても年金額が減る可能性は低い。

●保険料か税か 年金制度改革めぐる論議本格化 政界再編にらんだ思惑も (2/4ページ)  サンケイ 2008.5.4 18:32
 ただ、保険料の未納問題は避けられない。また、制度に加入してから年金受給開始まで、何十年も正確な記録管理が必要で、運営コストがかさむ。

 その点、税方式は保険料を納める必要がなく、未納問題は生じない。保険料納付が難しい低所得者でも必ず年金を受け取ることができ、無年金者はいなくなる。税は高齢者も負担することから、世代間の不公平も少なくなる。

 シンプルで分かりやすい制度といえるが、デメリットも少なくない。現行の基礎年金を全額税金でまかなうとすると新たに約12兆円が必要で、これを消費税率に換算すると約5%。今後医療や介護など他の社会保障負担の増加も予想され、これらも消費税でまかなうと消費税率を十数%まで引き上げなくてはならない。
  (略)
 これに対し、民主党は国民年金を含めた年金制度を一元化する案を主張している。現行の基礎年金にあたる部分を全額税でまかなう「最低保障年金」とし、保険料を財源とする所得比例年金部分と組み合わせる。最低保障年金は現役時代の所得が増すにつれ徐々に減り、年収1200万円でゼロとなる。

 民主党案は最低保障年金に注目が集まり税方式と誤解されるが、最低保障年金を受給するには保険料納付が条件で、実際には社会保険方式だといえる。無所得者に対しては生活保護で対応する方針だ。


●保険料か税か 年金制度改革めぐる論議本格化 政界再編にらんだ思惑も (3/4ページ)  サンケイ 2008.5.4 18:32
 年金制度改革をめぐる国会論議はなかなか進まないが、自民党内では税方式支持派が急速に増えている。税方式導入を目指す自民党の議員連盟「年金制度を抜本的に考える会」には120人以上が参加。その背景には、現行の社会保険方式では、未納問題や記録問題を根本的に解決できず、国民の批判をかわせないとの懸念がある。一方、民主党も同じく部分的な税方式導入を主張しており、政界再編をにらんだ思惑も見え隠れする。
   (以下、リンク先をどうぞ)


保険料か税か 年金制度改革めぐる論議本格化 政界再編にらんだ思惑も (4/4ページ)
  サンケイ 2008.5.4 18:32
   (一部、略)
 ただ、丹羽雄哉元厚相は、雑誌「正論」で「税方式は長期にわたり社会保障制度に混乱を生じさせ、保険料の企業負担まで消費税に転嫁して国民に負担を重く押し付けるだけ。百害あって一利なしだ」と強硬に反対論を展開している。

●年金改革:基礎年金試算、にじむ「税方式困難」 民主取り込み、首相問われる手腕  毎日新聞 2008年5月20日
 「24兆円の増税必要」とした基礎年金改革に関する政府試算は、暗に「税方式の導入は困難」との見解をにじませている。全額税財源の最低保障年金創設を掲げる民主党との政策協議に望みをかけ、福田康夫首相はこれまで税方式に理解を示してきた。しかし膨大な税負担が必要という今回の試算の説明を受けた15日、首相は「やはり税方式は取りえないな」と漏らしたという。年金など社会保障財源確保に向けた税制協議は待ったなしの状況。試算公表に踏み切った首相が民主党をどうやって税制協議に巻き込んでいくか、手腕が問われている。
   (略)
 民主党が同会議への参加を拒否する中、全額税方式で財務省に給付財源を握られることを嫌った厚生労働省が、今回の試算を仕掛けた。幹部は「恣意(しい)的なデータを出すのは避けた」と言うが、それは「客観的な数字が『税方式は無理』と物語ってくれる」との確信があってのことだった。

 一方、首相は、民主党との税制協議に向けて年金改革に加え、道路特定財源の一般財源化という選択肢も手にした。そのことが、税方式に否定的な試算を公表できることにつながった、というのが首相周辺の見立てだ。首相は当面、税方式を否定することまではせず、与党内の道路財源論議もにらみながら民主党に税制協議を呼びかけるとみられる。しかし、その両面作戦が奏功するかは不透明だ。

 民主党は「年金」で態度を硬化させ、「道路」は族議員が財源確保に動き始めている。衆院選を控え、政府・与党が消費税増税を打ち出せるかどうかも問われることになる。国庫負担割合の引き上げが遅れるほど年金給付水準はじわじわ下がることになり、民主党と協調できないまま方向性さえ決められなければ、さらなる政権の弱体化につながる危険もある。【吉田啓志】

コメント ( 2 ) | Trackback ( )