2008年5月16日
文部科学大臣
経済産業大臣
環 境 大 臣
厚生労働大臣
放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜
代表 兼松秀代
くらし しぜん いのち 岐阜県民ネットワーク
代表 寺町知正
石原産業(株)のアイアンクレー撤去に関する緊急申し入れ
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大) 私たちは岐阜県内に住み、石原産業(株)のフェロシルト問題に取り組み、不法投棄されたフェロシルトの速やかな撤去を目指して活動している市民団体です。
私たちがフェロシルト撤去を求めた発端はフェロシルトにチタン鉱石由来のウランやトリウムが含まれていたためです。岐阜県がフェロシルトから六価クロムやフッ素が溶出していることを確認し石原産業(株)に自主撤去を開始させ、さらに六価クロムやフッ素汚染がフェロシルト由来であること確認し産業廃棄物の不法投棄事件として刑事告発し、裁判が終了しました。
しかし私たちが最も問題にしていた放射線について岐阜県と三重県は、フェロシルトが不法投棄された場所の放射線測定値が「一般公衆の実効線量当量限度である1mSv/年以下」であるとの理由で放置され続けてきました。この1mSv/年以下とは、国の「チタン鉱石問題に関する対応方針」(平成3年6月6日 旧科学技術庁、厚生省、通商産業省、労働省)1の⑧「工場外に持ち出す線量の目安である0.14μGy/h以下」とは、同じ値です(0.14μGy/h=1mSv/年)。
ところが2008年5月14日の石原産業(株)の記者発表で「平成9年度から平成19年度の届出と検査データとを比較した結果、平成10年から平成16年の記録の中に顕著に自主管理基準値を超過した状態での搬出と虚偽報告を行っていたことが判明した。超過時期はフェロシルトの生産期間とほぼ一致するものであった。」 (資料-1の2ページ)とあります。これは「対応方針」の基準である0.14μGy/hを超えていたものが産業廃棄物処分場に持ち出されていたということです。その値は「最大で基準の3倍だった」との新聞報道もあります。
それにも関わらず、石原産業(株)の対応は、「②搬出先の処分場周辺については毎年放射線量率の検査を行っており問題ない旨確認しているが、行政当局及び処分場と相談の上、処分場における放射線量率の測定を実施した。」とあります。
つまり、基準を超えた放射線量の産業廃棄物を処分場に搬入したが、周辺の測定や今回の処分場での測定で問題なかった。だからそのまま埋め捨ててよいと判断した。しかも、行政当局と処分場設置者である三重県環境保全事業団がそれを容認したということです。しかしこの行政当局、処分場および石原産業(株)の判断は間違っています。
放射線は距離の二乗に反比例します。処分場が大きいほど周辺は遠くなり放射線量は小さくなります。更に土などで覆土すれば放射線量は当然小さくなります。
国はこうした放射線の特徴を踏まえても、なお、工場外に持ち出す線量の基準は0.14μGy/h以下であること、との「対応方針」を打ち出しました。放射線量の高い廃棄物は産業廃棄物処分場といえども搬入してはならないからです。
ウランの半減期は45億年、トリウムの半減期は141億年と超長期に放射線を出し続ける放射性物質です。活断層があるなしにかかわらず、地震はいつどでも起こりうるというのが日本列島に住む私たちの常識となっています。また、地下水が豊富な日本では、産業廃棄物処分場のシートは年月を経れば破損はあるとの前提で、地下水への影響を避けるためにも産業廃棄物処分場に基準を超えた放射線量の産業廃棄物搬入を認めてはなりません。基準以内でもウランやトリウムは含まれています。市民団体採取のフェロシルト最大値はウラン35ppm 、トリウム100ppmでした。最大値含まれていると仮定すると、フェロシルト1万トンにウラン350kg 、トリウム1000kg含まれることになります。
「対応方針」を出した文部科学省、厚生労働省、経済産業省は基準を超えた放射線量の産業廃棄物を処分場に持ち出し埋め捨てることを認めてはなりません。国の基準を無視して産業廃棄物を投棄して良いのであれば、そもそも「対応方針」など不要だと国自ら認めたことになります。国は事業者に測定と報告義務を企業に課しているのですから、基準である0.14μGy/hを遵守させる責任があります。
仮にこれを認めれば、工場外に持ち出す放射線量は0.14μGy/h以下であるとの基準も、ウラン・トリウムの少ないチタン鉱石を使うようにと指示した「対応方針」も有名無実となり、国への信頼を大きく失墜させます。さらにチタン鉱石の残渣以外で放射線量の高い産業廃棄物についても処分場搬入を認めることにつながります。
国は「対応方針」を守らせ、放射線量の高いアイアンクレーを石原産業に撤去にさせ、責任を持って管理させるのが、いまなすべき対応です。
また石原産業(株)四日市工場敷地内の土壌の放射線測定値が高いとの新聞報道もあります。
よって、緊急に以下の対応を求めます。
記
1.国は「チタン鉱石問題に関する対応方針」を守らせ、放射線量の高いアイアンクレーを石原産業(株)に撤去にさせ、かつ、管理させること。
2.チタン製造業界に類似した事例はないか、チタン製造業界以外においても同様の事態が発生していないか、立ち入り調査するなどして確認すること。 以上 | (資料-1) 出典:石原産業 平成20 年5 月14 日発表(同社のWebページ)「『コンプライアンス総点検』結果等のご報告について」に添付される「資料-4『コンプライアンス総点検の結果』」とする2枚 (2008年5月15日同社Webページより取得)
緊急申し入れ団体の住所・連絡先
放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜
〒502-0823 岐阜県岐阜市光栄町1-1-2-402 兼松秀代 |