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てらまち・ねっと



 選挙の時のポスター代、選挙カーの借上料や燃料費、運転手の日当などについて、候補者側から請求に基づき税金で負担する制度がある。
 昨年4月の岐阜県議選におけるそれらの水増し請求の疑いに関して、昨日、住民監査請求した。

 このgooブログは1エントリー(ひとつの記事)で「1万字」という上限があるので、今日は、概要とその分析のデータの図を紹介。
 丁寧に見ていただければ、いかに悪質かつ杜撰なチェックか瞭然。
 全候補の実名入りデータ。是非、右下クリックで拡大してご覧あれ。

 明日は、全文の印刷用のPDFファイルやテキスト・データ、新聞報道などを紹介しよう。

 今日は、名古屋での自治ネットの会議に出かけるのであまり時間もないし・・・

(追記・印刷用にしたデータや新聞記事、Webページなどにリンクした
   ◆住民監査請求データ、転用歓迎/選挙カー燃料費・運転手日当・車借上料の水増し/願いは有権者をダマスな )
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驚くべき 選挙カー燃料費の請求実態
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

第7号証 2007年4月県議選の選挙カーの燃料費の請求内訳書の一例

岐阜県議選の選挙公営費(選挙カー燃料費・運転手日当・車借上料)の水増等による過払金返還と損害回復の住民監査請求書

《1 請求の趣旨》
第1 概要(略)
第2 岐阜県の選挙公営制度と公費支出の状況
1. 条例規定 (略)
 
2. 選挙公営の趣旨・目的と支出に関する手続き
 以上の規定に基づき、 (略)  このように、手続きが契約書や確認書の提出を厳格に定めていることからも、選挙公営の趣旨・目的は、真実に基づく請求を前提に候補者の負担を軽減しようとすることにあるのは明白である。第2条の「無料」とは、「上限いっぱいどうぞ」でなく、「上限の範囲で真実に要した費用を負担しましょう」という趣旨であることことは明らかだ。

3.2007年、2003年の県議選の支出
(1) 2007年4月の公費負担
第1号証 2007年4月県議選の選挙カーの借上料、運転手日当の候補者別比較表

 2007年6月末日時点の県の支払結果集計では、一般運送契約(いわゆる「ハイヤー方式」で、以下、「一括借上」という)料(4候補/232万0200円)、選挙カー借上料(61候補/710万9415円)、運転手日当(53候補/528万1955円) (以上は第1号証)、燃料費(57候補/196万3797円)の交付合計は1667万5367円であり、ポスターを含めた本件条例に基づく公営の県費負担全体合計は、5088万7815円であった。

  
第3号証 2007年4月県議選の選挙カーの燃料費の候補者別比較表

 選挙カー燃料費について限額の50%以上の額を請求した27候補の合計額は134万8688円、そのうち50%超える分は48万5063円であり、50%未満の額を請求した30候補の合計の額は61万5109円、未請求(一括借上を除く)は8候補である(以上は第3号証)。

 なお、既に住民訴訟となっている案件に関して、ポスター作成費の交付総額は約3400万円であり、このうち、47候補がポスター1枚作成単価上限額の50%以上の額を請求し、47候補の合計額は約3000万円であり、50%未満の額を請求した21候補の合計の額は約400万円である。

(2) 2003年4月の公費負担
第2号証 2003年4月県議選の選挙カーの借上料、運転手日当の候補者別比較表
 一括借上料(5候補/290万2500円)、選挙カー借上料(58候補/675万3195円)、運転手日当(50候補/490万2975円)(以上は第2号証)、燃料費(54候補/238万0688円)、その交付合計は1693万9385円であり、ポスターを含めた本件条例に基づく公営の県費負担全体合計は、5687万8591円であった(以上は第4号証)。

  
第4号証 2003年4月県議選の選挙カーの燃料費の候補者別比較表

 選挙カー燃料費について限額の50%以上の額を請求した23候補の合計額は112万5354円、そのうち50%超える分は45万6504円であり、50%未満の額を請求した30候補の合計の額は58万5342円、未請求(一括借上を除く)は14候補である。
 なお、既に住民訴訟となっている案件に関して、ポスター作成費の交付総額は約3900万円であり、このうち、50候補がポスター1枚作成単価上限額の50%以上の額を請求し、50候補の合計額は約3400万円であり、50%未満の額を請求した21候補の合計の額は約500万円である。

 第5号証 2007年及び2003年県議選の選挙公営の支出比較一覧

(3) 2007年と2003年の比較から、公費負担の傾向は同じである(第5号証)。

第3 本件における違法性もしくは著しい不当性
1. 選挙公営における燃料費等の問題は全国各地で発覚している
 選挙公営における燃料費等の問題が全国各地で明らかになっている。問題化する前に自主的に返還し、事後に報道されるという例が後をたたない。不法行為の存在を自ら立証している(第6号証)。談合などと同様の不法行為が選挙公営に蔓延しているのである。
 選挙公営制度に関して、2007年6月になって、山県市でのポスター代水増し容疑で県警が市議や印刷所を捜査、候補者7人を含めて業者らが送検された。議員辞職などで起訴猶予となったものの、議員主導のケース、現金をキックバックした例も本人たちが認めている。

2. 本件選挙の場合 (2007年の燃料費)
 では、本件について具体的に見る。
(1) 燃料費に関して条例の定める基準額は、1日7350円を上限とし、かつ、9日間の合計6万6150円(無投票の場合は1日分)である。

 2007年当時3月当時、財団法人日本エネルギー経済研究所の石油情報センターによる石油製品価格情報の「岐阜県」データでは、レギュラーガソリン1ℓ単価130円、軽油1ℓ110円、ハイオク1ℓ単価141円とされている。
 
(2) 本件の事例を抜き出してみる。
○1日で92.32ℓ(木股米夫)、90ℓ(岩井豊太郎)、88.4ℓ(平岩正光)、79.3ℓ(脇坂洋二)、76.78ℓ(名和勘二)、75.5ℓ(伊藤正博)、71.2ℓ(安田謙三)等を給油したとされるが、通常車両の燃料タンク容量からしてあり得ない。選挙カーをつかった運動に関しては、1日の時間制限(午前8時から20時まで)があるから同一スタンドで1日2回も給油するなど通常はあり得ないし、不自然である。

○普通貨物車で、連日「最小61.0ℓから最大71.2ℓ」で9日間合計66000円という額はあり得ない(安田謙三)。

○小型乗用貨物車で、8日間毎日55ℓ、最終日だけ60ℓの9日間合計65619円という額はあり得ない(野村美穂)。

○小型貨物で、2日目から80、60、60、70、80、60、90、50ℓの8日間合計66150円という額はあり得ない(岩井豊太郎)。

○68.2ℓ(横山浩之)は、車種タウンエースバンであるところ、同車種の燃料タンク容量は「ガソリン43ℓ」である。

○ハイエースで、55.68.59.70.68.60.72.73.75ℓの9日間合計66000円という額はあり得ない(溝口昭八郎)。

○「全ての毎日、54ℓ=7290円、合計65610円」(松村多美夫)は不可能な事実。

○2つの異なるガソリンスタンドで給油をしているが「請求内訳書」の筆跡は同一であり、9日間の合計においてA店は7回3万3075円、B店は4回3万3075円として正確に2点に2分して基準額の100%を達成している(伊藤嚴悟)。

○ガソリン1ℓ平均単価127円のころに、「トヨタ レジアスエース(岐阜 400 わ 846)でガソリン1ℓ単価147円で基準額の94.1%(平岩正光)」、「小型貨物でガソリン1ℓ単価145円で同98.2%(名和勘二)」は著しく高額で契約段階で、しかも、請求段階においても、虚偽もしくは水増しというしかない。

(3)  速度からみてもあり得ない燃料消費量
 1日60ℓを消費して走行するには、休憩なしで走ったとしても平均して時速50kmで走行したことになる。
 しかし、通常の選挙運動において、昼食の時間など選挙カーを停止させる候補、演説会の際には選挙カーを停止させる候補もいるし、街頭演説をすれば選挙カーは実質は止まるなど、実際の選挙カーの運行時間は無休憩走行ではない。
このように、消費燃料から導かれるあり得べき速度からみても、真実ではない燃料消費量である。

(4)  走行距離からみてもあり得ない燃料消費量
 本件燃料代は「候補者の選挙用自動車1台が実際に消費したガソリン代」の代金である。
 1日60ℓを消費したら、約500km以上走行したということになる。また、1台の車が9日間で約500ℓの給油をしているということは、9日間、毎日約450~600km以上を走り続けたことになる。岐阜・東京間は約380km、岐阜・大阪間は約180kmであることから推察しても、如何にあり得ない燃料消費量であるは明白である。
 普通車の街中での走行可能速度が時速30kmから多くても40kmがせいぜいであること、実際の街頭宣伝時の選挙カーは、時速20キロから30キロ程度の超低速走行であること、休息もすること等を考えれば1日の走行可能距離は250km以下である。
 よって、本件の大量消費の燃料費はいずれも選挙として不可能であるから虚偽である。

(5) 大量給油を実際に消費するには通常の一般車と同程度の速度で走行しなければならないのだから、「選挙カーとして使うと燃費が悪くなる」という反論は成立しない。

(6) また選挙期間中、毎日同じ量を給油している例もあるが、一般人の常識からして、そのようなことはあり得ない。

(7) 当該燃料販売店の一般価格と比較して上乗せされたことで営業実体と乖離した金額部分は水増しであって違法である。

(8) 選挙カーの随行車やその他の車の燃料費も一括して請求したり、候補者の自家用車に給油する例もあるとされている。

(9)  請求人の特定する「限度額の50%」の合理性は次のようである。
 限度額7350円の1/2にガソリン1ℓ単価127円とすると約29ℓのガソリンの消費であるから、リッター10km走行可能な車とすると290kmの1日の走行距離となる。この距離は、選挙においては相当にハイピッチで走る場合でも大変困難である。
よって、「限度額の50%」という基準は、本件住民監査請求で違法性もしくは著しい不当性に相当する限度としての妥当性を有する。

(10) 以上、条例に違反して、架空請求あるいは選挙カー以外の燃料代を請求しているというしかない。
 結局、燃料費基準額の50%を超える部分につき、単価設定が真実と異なる場合、走行距離が一日に選挙カーとして可能な距離を越える場合、選挙カー以外の車の燃料費も含んでいるか水増しであるというべきである。

3. 本件選挙の場合 (2003年の燃料費)
 2003年3月当時の同センターのデータでは、ガソリン1ℓ単価102円、軽油1ℓ83円、ハイオク1ℓ単価113円の相場である。
 事例を抜き出してみる。

○1日で、139ℓ、132ℓ、93ℓ、90 ℓ 、84ℓ、75.9ℓ 、86ℓ 、75 ℓ 、68ℓ、65.5ℓ等は通常車両の燃料タンク容量からしてあり得ない。

○「全日45ℓ=5725円、合計42525円」とか、「9日目(81ℓ)を除く毎日65ℓ=7150円、合計66110円」などもどう検討してもあり得ない。

 その他諸点、前記2007年と同様もしくはもっと悪質である。

4. 仮に、燃料費について「基準額の50%超が違法なライン」という線引きが相当でないとしても、理論的にも、一般人の常識からしてもあり得ない量や回数、日変動などで燃料を購入したということは、真実に反した水増し請求、詐欺的請求というべきである。よって、このような不法行為に基づく県の損害の回復を怠ることは許されない県の違法行為であり、かつ相手方である候補者らは、賠償・返還義務がある。

5. 選挙カーの借上料、運転手日当、一括借上方式について(07年03年)
(1) 2003年、2007年県議選における選挙カーの借上料、運転手日当、一括借上方式の場合の諸費にかかる水増し等に関して、岐阜県選管にかかるポスター代や燃料費の訂正・返還の実例、警察の動きや他の自治体におけるポスター代や燃料費の訂正・返還の例から類推適用して想定される部分についても、違法で岐阜県の損害であることは明らかである。
例えば、選挙運動の実務から通常にあり得るのは、次のことである。

(2) 「運転手日当」について
 運転手日当にかかるどの候補の請求も、運転手は一人から数人である。
しかし、選挙運動において選挙カーをたった一人で1日12時間、もしくは1日の大部分を運転することは不可能である。しかも9日間の選挙期間を一人から数人で動かすことも不可能である。
 他方、何人も交替して運転する当番スケジュールを組んで選挙カーを回す場合、そのうちの特定の一人から数人にだけ「日当」を支給するということも、選挙運動の実務上も極めて困難なことである。そのようなことをしたら、候補者や選挙運動中枢部の公平観が問われるからである。
 本件において、真実の運転労働を担った者に対してでない場合は、当然違法である。結論として、請求に基づき交付された全額が当該名宛人運転手に全額が最終的に収納されていない場合や、回りまわって候補者の選挙運動費用等にキックバックされる場合も違法である(条例第3条第2項ハ違反)。

(3) 「選挙カー借上料」について
 候補者もしくは家族の自家用等の車の場合は違法であるし、あるいは当該借入れ契約の場合の貸し出し(業)者の通常の標準価格を超える場合、あるいは真実の賃貸料に反して上乗せされている場合、または、いわゆる選挙カー用看板枠あるいは音響設備を含んでいる場合、それらの真実を越える部分はずれも条例に違背する水増し請求である。(条例第3条第2項イ違反)。

(4) 「一括借上方式」について
 選挙カーが、真実の一括借上でない場合(条例第3条第1項違反)、あるいは当該一般運送業者の標準価格を超える場合の超える部分、または、いわゆる選挙カー用看板枠及び音響設備を含んでいる場合、いずれも条例に違背する水増し請求である。
 自動車業者に最終的に収納されていない場合や、回りまわって候補者の選挙運動費用等にキックバックされる場合は違法である(条例第3条第2項ハ違反)。

  (5) 候補者サイドが真実でない記録を整えて確認・申請をしたことは、本件条例に違背する。

   (略)
第4 岐阜県の損害と監査委員に求める措置
(略) 
3. 返還請求の対象とする支出 (住民訴訟であれば4号請求)
 燃料費に関して50%以上について一律に「基準額の50%以上の支払い部分」を過払い分であるというしかない。
 即ち、本件請求において損害とする額は、第2の3で述べた2007年県議選の燃料費限度額の50%以上の額を請求した27候補のそれぞれの50%の額を超える部分の額の合計である48万5063円、2003年県議選の燃料費限度額の50%以上の額を請求した23候補のそれぞれの50%の額を超える部分の額の合計である45万6504円、総合計は94万1567円である。
 相手方は、上記範囲に存する候補と対応する業者である。

4. 知事の怠る事実が違法であることの勧告 (住民訴訟であれば3号請求)
(1) 2003年及び2007年県議選にかかる不正請求に関して、知事が相手方(各候補者及び連帯する事業者)に対して、各自にかかる交付額のうち「『燃料費が基準額の50%以上の請求の部分』につき返還請求しないこと」は知事の怠る事実として違法であると勧告するよう監査委員に求める。
 2007年の2件の住民監査請求の後においてこのような実態であるから、知事の責任は重大である。

(2) 仮に、不正額が「燃料費限度額の50%を超える部分」と一致しなくても、本件において、明らかに不法行為に基づく水増し請求があるととらえることができるのだから、岐阜県は水増し請求に基づく損害回復を達するために、独自の調査をしなければならない。

 (3) 以上は、燃料費についてであるが、全国の事例、過去のポスター代の事例及び本件の状況からして、他の車借上料にかかる不正、運転手日当にかかる不正、一括借上方式の場合においても不正の疑い濃厚に存することが、2007年の全国の事件化の状況によって初めて明らかとなった。
 よって、不法行為としての水増し分を確定させ、その損害の回復をすべきなのに、それを怠ることは違法である。水増しあるいは虚偽請求による不法行為に基づいて法律上の根拠なく候補者サイド(候補者もしくは、自動車運送業者、自動車提供者、運転手サイド)に真実を上回って支出された県費部分は県の損害であるから、その損害の確定の上返還請求をする義務があるところ、燃料費同様の2003年及び2007年県議選に関して、その損害の回復を怠ることは違法であることの確認を求める。

5. 相手方である候補者及び対応する業者や運転手に水増しあるいは虚偽請求による不当利得部分の返還を勧告すること監査委員に求める。(略)

第6 本件に期間徒過はない(略)
第7 まとめ (略)
 請求者 「くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」寺町知正 他5名
     以上

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