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てらまち・ねっと



 福岡県岡垣町が、食糧費の支出について住民監査請求した324人の氏名と住所をホームページ(HP)に掲して問題になっている。

 岐阜県でも以前はそうしていた覚えだけど、私自身は確信的に住民監査請求しているから特にどうこう思っていなかった。
 でも、2年前、岐阜県庁裏金事件で県民の人たち約5000人で住民監査請求したとき、「県と取引がありますが」とか「公務員ですが」・・という人たちも裏金に怒って参加してくれたので、多少でもガードしなければと思い、監査委員に申し入れした。
 「個人情報保護の観点及び同行為が住民監査請求をすることへの圧力ともとれるから、公表方法は結果に限ること、氏名公表を継続するなら個人情報保護審査会に申し立てること」
 あわせて、住民監査請求人につき「指印も可と認定すること」「住民票の有無ではなく、当人の居住の事実の有無で判断すること」「成年・未成年、国籍を問わないこと」も求めた。
 結果として、これらは今も受け入れられている。

 つまり、こうだ。
 「監査結果は公表しなさい」(「請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない」地方自治法242条3項、4項)とされているところ、従来も現在も、岐阜県の監査委員の公表の一つは、県庁の記者クラブに概要を配布すること。
 ただし、従前は記者クラブに当事者名は未公表なので、「これって寺町さんですか」と記者から電話があるのが通例。
 現在は、「寺町知正ほか請求人15名」とか「寺町知正ほか請求人28名」とか公表されているので、すぐに分かる。

 もう一つは、県の公報の定期もしくは号外で公表すること。
 従来は住所はどうだったか覚えていないけど、氏名は出ていた。
 今は、記者クラブへの場合と同じ表記。「(請求名簿筆頭者)氏名ほか○名」とする。
 
 監査委員・事務の進歩だろう。

 もちろん、岐阜県のこの経過には落ちがある。
 2年前の「裏金の20年分返せ」「知事ら三役の退職金、20年分返せ」の住民監査請求については、記者クラブには、「寺町知正ほか4,985名から」「寺町知正ほか26名から」と結果公表したけど、この2件だけは、よほど県がイヤだったのか、県の公報にも載せなかった(インターネットで見る限り、どこにもない)。
 裏返せば、県公報での公表自体が必要要件ではないのだから、
  いやがらせ なのだろう。

 ということで、住民監査請求における行政の イヤがらせ について、
 福岡の例、岐阜県の例、そのあと、
 関係あると見るか見ないかはともかく、指標として「個人情報漏えい=1人あたり平均賠償額は3万8233円」という5月20日頃の報告を紹介する。

 加えて、残念なのは一部に「監査請求者の氏名公表は地方自治法で定められている」と間違って報道されていること。

 なお、ここ山県市でも過去に事件はあった。  2004年8月20日 緊急申入書

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●福岡県岡垣町の公式ページ
岡垣町住民監査請求の監査結果の公表について
 平成20年2月27日に、西田陽子さん他323名から監査委員に住民監査請求書が提出されました。地方自治法第242条第4項の規定により、監査を実施し、監査委員の合議によりその結果を決定しましたので、その内容を公表します。
 平成20年2月27日住民監査請求 監査結果   (PDF 262KB)
    2008年5月24日現在 リンク設定あり
  平成20年2月27日住民監査請求 請求人名簿 (PDF 92KB)
    2008年5月24日現在 リンク設定あり

(追記・その後、上記のデータが削除された。
  現在は 監査結果のページに 「平成20年2月27日住民監査請求 監査結果(概要版) (PDF 850KB)」 が 見つかるだけ) 

●HPに住所まで 町、監査請求324人を公表 住民反発「人権を侵害」 福岡・岡垣  西日本新聞=2008/05/22付 西日本新聞朝刊=
 福岡県岡垣町が、食糧費の支出について住民監査請求した324人の氏名と住所をホームページ(HP)に掲載、請求人は「人権侵害であり、住民活動の抑圧につながる」と削除を要求している。地方自治法は監査結果の公表を義務付けているが、個人情報保護の観点などから請求人の身元は公開しない自治体が多く、識者も「問題がある」と指摘している。

 監査請求は2月、地元町議が代表で行った。区長研修など飲食を伴う会合9件に食糧費を支出したのは不適切として、町長らに約40万円の返金を要求。町監査委員は4月23日付で「違法性はない」などと棄却(一部却下)した。
 町は同月25日から、HPと役場の情報公開コーナーで監査結果を公表。請求人の氏名と字名までの住所を記した名簿も掲載した。請求人側は「氏名、住所をHPで公表するのは許せない」と抗議したが、受け入れられなかった。

 総務省によると、地方自治法には監査結果公表の細かい規定はなく、何をどのような方法で公表するかは「自治体の判断」。請求人の住所公開も「自治体の個人情報保護条例と照らしての問題」(内閣府個人情報保護推進室)という。
 岡垣町は「請求人も公表すべき『結果』の一部。町条例が制限する個人情報の収集目的外利用には当たらない」と説明。請求人の氏名と住所を市町村まで公表している福岡県は「請求の乱用を防ぐ一面もある」としている。

 九州の県庁所在市と政令市のうち、宮崎市を除く7市は監査結果をHPで公表するか、公表予定。ただし、請求人・団体を掲示しているのは福岡、長崎、大分のみで、いずれも住所は非公表だ。北九州市も2007年度から氏名を削除した。

 市民オンブズマン北九州事務局長の我那覇東子弁護士は「請求人の公開に公益性はない。町の解釈は地方自治法の趣旨を超えており、違法性が高い」と指摘。九州大法学研究院の田中孝男准教授(地方自治法)は「世界中で閲覧できるHPに住所まで公開すると個人が特定される恐れがあり、問題だ」としている。

●職員が監査請求署名者に問い合わせ、町議「行き過ぎ」と抗議/福岡  公務員の不祥事2008/04/09 21:00
 岡垣町の住民352人による監査請求で、「事務局の総務課職員が請求者の一部に署名の真偽や職業などを電話で問い合わせたのは行きすぎた行為だ」として、請求人代表の西田陽子町議が3月31日、事務局に文書で抗議したことが明らかになった。

 監査請求は2月27日に起こし、2007年3〜10月の食糧費のうち、監査委員や選挙管理委員らと会食した39万950円について「接待にあたり不当な支出」などとして町に返還を求めている。

 西田町議によると、提出後、職員が署名者の一部に「職業欄が未記入の場合は署名は無効になる」「よく考えて署名したのか」「監査請求は名前の公表が義務付けられている」などと電話をかけ、6人が辞退したといい、「役場から電話があるだけでも住民は驚くのに、行きすぎた行為だ」と批判している。

 これに対し、同課は「筆跡や職業欄の空欄から自署か不明な12人に連絡をすると、請求内容を把握してない人がいたので驚き、手続きや名前の公表が前提であることなどを説明した」と話しており、監査請求者の氏名公表は地方自治法で定められているが、住所、職業などどこまで公開するかは自治体の裁量であるため、この制度を逆手にとって、住民を恫喝したものと思われる。

●岡垣町の監査請求:食糧費支出、町議ら324人の請求棄却 /福岡  毎日新聞 2008年4月26日 地方版
 岡垣町が07年3~10月、食糧費9件を不適切に支出したとして、町議らが町に39万950円の返還を求めた監査請求で、町監査委員は23日付で8件を棄却した。監査委員が出席した会合1件は、監査委員自身の利害が関係する案件の監査を禁じた地方自治法の規定を根拠に、却下した。


(私たちの例)
 岐阜県庁裏金事件のページ
  ●本日提出した住民監査請求につき、以下の点を求めます。
                         2006年9月29日
岐阜県監査委員様
監査委員事務局長様
                      岐阜県民ネットワーク  寺町知正
                          Tel/fax 0581-22-4989
                         
本日提出した住民監査請求につき、以下の点を求めます。

1.請求人の押印につき、もっとも厳しい署名審査がなされる直接請求手続においても、指印も可とされているから、住民監査請求においても、指印も可と認定すること。

2.請求人の住所に関して、住民票の有無ではなく、最終的には「当人の居住の事実の有無」であると判示されている。その点、誤った判断をなされないこと。

3.請求権者は、法律上の行為能力が認められる限り、成年・未成年、国籍を問わないとされていることに留意されること。

4.監査結果の公表に関して、従来、県公報において、請求人の全員を表記していたと認識するが、個人情報保護の観点及び同行為が住民監査請求をすることへの圧力ともとれることから、公表方法は「結果」に限ること。
 なお、個人情報保護からの観点については、氏名公表を継続するなら個人情報保護審査会に申し立てることになる。
                                  以上



(岐阜県の現在の例)
●岐阜県議会議員選挙の選挙公営に関するポスター作成費用の水増し請求による過払金の返還を求める件
請求日    平成19年6月18日
○ 結果通知日 平成19年8月10日

 監査委員が記者クラブで公表する 県政記者クラブ配付資料  そして 監査結果全文  
   岐阜県公報の号外  ファイルサイズ 44.8KB 岐阜県公報 号外1(平成19年8月10日)
○ 住民監査請求の結果の公表 (監査委員事務局)
1 請求人
「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」寺町知正ほか請求人15名・・

●前知事の個人秘書業務の公費負担について、その違法・不当その返還を求める件

○ 請求日    平成18年10月2日
○ 結果通知日 平成18年11月30日
   監査委員が記者クラブで公表する 県政記者クラブ配付資料  そして 監査結果全文
    岐阜県公報の号外には 5KB 岐阜県公報 号外1(平成18年11月30日)
■ 監査委員告示
○ 住民監査請求の結果の公表 (監査委員)
 1 請求人
「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」寺町知正ほか請求人28名・・・



(岐阜県の2年前の例)
●「岐阜県庁不正資金問題に関する住民監査請求」の審査結果について
  平成18年11月7日県政記者クラブ配付資料
  「岐阜県庁不正資金問題に関する住民監査請求」の審査結果について
 平成18年9月29日及び10月25日に寺町知正ほか4,985名から提出のあった住民監査請求・・

●岐阜県常勤の特別職三役の退職金にかかる住民監査請求
   監査委員が記者クラブで公表した 平成18年11月7日県政記者クラブ配付資料
「岐阜県常勤の特別職三役の退職金にかかる住民監査請求」の審査結果について
平成18年10月12日に寺町知正ほか26名から・・・ 

 でもこの2件については、インターネット上では、どこをみても、県公報には掲載されていない。裏金という不都合な真実の住民監査請求事件は もみ消しか
   公報のトップページ
    定期公報
  号外にもなし  号外


 ●福岡県岡垣町    security-next
 岡県岡垣町は、監査請求を行った住民の個人情報が記載された名簿をインターネット上で公開している。住民から抗議が寄せられる一方、同町は目的外利用ではなく問題ないと主張が食い違っている。

 同町食糧費から監査委員の飲食代が支出されたことについて不適切であるとして、2月に住民352人が監査請求書を提出し、その監査結果とともに公表されたもので、監査請求を取り下げた26人や却下された2人を除く324人分の氏名や一部住所が同町サイト上で公表されている。

 請求人代表者は、同町個人情報保護条例に抵触する可能性があるとして監査委員へ町報や同町ウェブサイトへ署名者の氏名を記載しないよう抗議文を4月1日に提出。一方監査委員は、請求の公表に利用しており、目的外利用ではなく問題ないとの見解を示した。

●日本ネットワークセキュリティ協会
● 1年で3000万人分の個人情報が漏洩、想定賠償額は2兆円超  Security NEXT 2008/05/20
 日本ネットワークセキュリティ協会は、「2007年度 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」の速報版を公開した。2007年に報道された個人情報漏洩事件について分析している。

 同レポートは、JNSA セキュリティ被害調査ワーキンググループが、2007年1月1日から2007年12月31日の間に新聞やインターネットニュースなどで報道された個人情報漏洩に関する情報などを調査し、漏洩人数や漏洩原因、想定損害賠償額などを取りまとめたもの。

 同レポートによると、2007年に報道された漏洩事故は864件。2006年から129件減少した。しかしながら、漏洩した個人情報は3053万1004人分となり、約800万人分と大幅な増加を記録した。同協会では、規模の小さい漏洩が減少傾向にある一方、大規模な漏洩事件が発生した影響だと分析している。

 漏洩件数の急増に伴い、想定損害賠償総額も大幅に増加。2006年の4570億円から2兆2710億8970万円となり大台を超えた。1件あたりの平均損害賠償額は27億9346万円、1人あたり平均賠償額は3万8233円だった。44.2%は、1人あたり1万円未満だが、50万円から100万円となるケースも2%あった。

 漏洩事件の発生件数を業種別に見てみると、最も多いのが「公務」で20.9%、次いで「金融・保険業」15.2%、「情報通信業」11.3%、「教育・学習支援業」10.2%と続く。上位2種は行政の指導が強く働いており、小規模の事故であっても公表することが多いため、結果として件数が多かった。

 漏洩媒体は「紙媒体」が40.4%で最も多く、次いで「ウェブ・ネット」が15.4%、「USBなど可搬記録媒体」が12.5%、「PC本体」が10.9%、「メール」が9.8%となっている。

 漏洩原因については、「紛失・置忘れ」20.5%、「管理ミス」20.4%がほぼ同率で並び、次いで「誤操作」18.2%、「盗難」16.6%、「ウイルス・ワーム」8.3%、「不正な持ち出し」7.9%と続く。また、「内部犯罪」は0.9%だった。

●JNSA セキュリティ被害調査ワーキンググループ
  2007年度 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書
   速報版の全文は 報告書【速報版】(Ver.1.0)

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