2008年6月9日
経済産業大臣 甘利 明様
厚生労働大臣 舛添 要一様
文部科学大臣 渡海紀三朗様
環境大臣 鴨下 一郎様
放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜
代表 兼松秀代
四日市再生・公害市民塾 代表 中田悌夫
くらし しぜん いのち 岐阜県民ネットワーク
代表 寺町知正
「チタン鉱石問題に関する対応方針」(四省通達)を守らせ、かつ環境省の「チタン鉱石問題に関する最終的措置について」(通知)実行のための申入書
私たちは先般5月16日に「チタン鉱石問題に関する対応方針」に関わる四省に対して、放射線量を改ざんして処分場に埋めたアイアンクレーの石原産業(株)による撤去と石原産業(株)による管理を求めて緊急申し入れを行った岐阜県内の2市民団体と、今回新たに参加した石原産業(株)四日市工場がある地元四日市市で公害問題に取り組んでいる市民団体です。
私たちは最近、 四省通達が出された1991年6月6日と同じ日に、環境省が独自に「チタン鉱石問題に関する最終的措置について」(1991年6月6日衛産第25号)という通知(以下、「通知」とします。)を旧厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長名で、関係府県及び政令指定都市の産業廃棄物主幹部(局)長宛てに出していたことを知りました。
この通知の第1項で「チタン廃棄物のうち廃棄物に起因する空間放射線量率が〇・一四μGy/hを超えるもの(以下『特定チタン廃棄物』という。)」と明確に定義しています。
通知の第3項には「特定チタン廃棄物であることが判明した場合には、チタン製造事業者の責任において回収等必要な措置を講ずることを指導すること。」と、当該県のなすべき対応が明記されています。この第3項は、廃棄物の不法投棄や間違った施設への搬入に対し、まず、原状回復を最優先にする廃棄物政策を特定チタン廃棄物に当てはめたものです。そしてチタン廃棄物の放射線量を偽って処分場に埋めるという悪質な事態を想定して出された、優れた通知です。
まさに石原産業(株)の所業を想定したといっても過言ではない優れた対応策です。
ところが石原産業(株)は
・「処分場周辺で毎年行っている放射線量検査に問題はなく、撤去予定はない」(中日新聞 2008年5月17日)
・「調査では問題がない中、撤去することがいいことなのか行政当局と相談するしかない」(中日新聞2008年6月5日)
と繰り返し、0.14μGy/h以下のチタン廃棄物のみ工場から運び出せるという四省通達に抵触しないよう、測定値を改ざんして基準の最大3倍の放射線量を含むアイアンクレーを三重、岐阜、兵庫各県の最終処分場などに搬出していたのです。四省通達を守らなければならないという意識はみじんもありません。石原産業(株)はどんなに放射線量の高いものを処分しても、覆土してしまい、周辺に放射線の影響がないと考えられる値ならば問題ないと考えています。石原産業(株)によって四省通達の意味も環境省の通知の意味も踏みつけにされようとしています。石原産業(株)の無法を許しては、行政府に対する国民の信頼は得られません。
しかも、チタン廃棄物は処分場に永久に残るため、地形変更困難な場所が増大し、周辺住民の不安が増大することが他県で実証されています。
ところが生まれ変わるとして石原産業(株)社長が公表したコンプライアンス総点検の信頼性が疑問視されています。
例えば
・石原産業(株)社長が本年5月14日に自発的に行った「コンプライアンス総点検」公表が、実は経済産業省の「原因の徹底究明と再発防止について」という要請に基づいたものであったこと(2008年6月5日 朝日新聞)。
・化学兵器に転用可能なホスゲンの無届け製造を元四日市副工場長の独断と罪を押しつけていたが、実は前社長が偽りのリサイクル製品・フェロシルト不法投棄事件の対応時で、ホスゲンによるリスクを回避するために、「経営判断で製造中止を先送りしていた」こと(2008年6月4日讀賣新聞)。
・石原産業(株)の調査では1998年から放射線量の改ざんと公表しましたが、三重県の調査では四省通達が出された1991年から16年間にわたって改ざんが行われていた(2008年6月4日、朝日新聞、讀賣新聞、中日新聞など)。
と報道されています。
当然、県を通じた国への報告も虚偽を重ねており、許し難い行為です。
私たちは四省通達を守らせるために四省により迅速な対応がなされ、なおかつ環境省の通知が四省により十分に尊重され、石原産業(株)の「特定チタン廃棄物」が三重県の指導で石原産業(株)によって回収されることが企業の最低限の義務を守らせることであり、行政府の信頼性を確かなものにするために必須の急務と考えます。
よって四省間の早急な対応を求めます。
記
1.四省通達を厳格に守らせること。特に「1.講ずるべき措置等(1)工場」を厳守させること。
2.環境省の通知により石原産業(株)の「特定チタン廃棄物」が三重県の指導で早急、かつ円滑に石原産業(株)により回収されるよう、権限と責任を有する関係四省間で早急に方針を確認し、適切な措置が実行されるべく協力体制を確立すること。
3.今回のような悪質で長期にわたる「特定チタン廃棄物」投棄問題を2度と発生させないための法整備が早急になされること。
以上
連絡先 放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜 |