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てらまち・ねっと



 いまどき、「議会の自分の一般質問と町の答弁の録音テープを公開するよう請求したが非公開とした」なんてところがあった。
 その情報公開請求者(議員本人)が、公開を拒否され精神的苦痛を受けたとして訴えたことに対して、6月17日、裁判所が町に損害賠償を命じた。
 香川県琴平町議会のこと。

 私たちも福井県の審議会の音声記録でその非公開の取り消しを求め行政訴訟を続けている。
 その訴訟では、全国の情報公開条例を3つに類型化して主張している。

 今回、琴平町の条例の「公文書」の定義は、規定は、「職員が職務上作成し、又は取得し」「組織的に用いるものとして、当該実施機関において保有しているもの」とされている。情報公開法に準じた、現在のもっともポピュラーな条例の規定だ(Cタイプ)。
 公開は当然のこと。

 福井の規定は、「職員が職務上作成し、又は取得し」というだけで「組織的に」と言う限定すらない(Bタイプ)から、公文書の対象範囲はCタイプと同じかそれより広いと解釈される。それなのに、地裁で負けたから、進め方をまずったと反省している。

 なお、下記新聞記事中にあるとおり、「2001年には、香川県土庄町で非公開処分の取り消しを求める同様の訴訟があり、高松地裁、高裁、最高裁いずれも原告の訴えを棄却している」。
 ただし、その最高裁判決にかかる条例は、「職員が職務上作成し、又は取得し」ではなく「決済、供覧を了した」という極めて対象公文書を限定した規定(Aタイプ)についての判断。
 決済、供覧を了したとは、役所によくある赤い決済印をおした書類のつづり、という程度の理解でよい。ともかく、その組織の決済が終了していない膨大な文書類は、たとえ職員の机の上にあっても情報公開の対象にならない、という古典的な条例の場合のこと。

 今回、議事録ができてからの公開ではダメですよ、と言うことは当然だが、
訴訟自体、非公開処分取消訴訟でなく、慰謝料としての損害賠償請求ということが面白い訴訟だと思う。

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●琴平町の情報公開拒否訴訟、3万円の支払い命じる  サンケイ 2008.6.17 02:34
 香川県琴平町議会の録音テープの公開を拒否され精神的苦痛を受けたとして、同町の真鍋籌男町議(67)が10万円の損害賠償を求めた裁判の判決が16日、高松地裁丸亀支部であり、熱田康明裁判官は「録音テープは会議録作成のための基礎資料であっても完成した情報で、非公開とするのは同町の情報公開条例に違反する」として、同町に3万円の支払いを命じた。真鍋議員は昨年3月、町に対して同町議会での自分の一般質問と町の答弁の録音テープを公開するよう請求したが、町は録音テープは決済され、組織で共用する完成した文書ではないとして公開を拒否していた。
 真鍋町議は「判決は、早く正確に議事を知りたいという町民の要望に合致する」と述べた。同町は「判決文が届いていないので、コメントは差し控える」とした。

●琴平町議会の録音テープ:地裁「非公開は違法」 慰謝料3万円支払い命じる /香川  毎日 毎日新聞 2008年6月17日
 琴平町議会の本会議を録音したテープを非公開としたのは違法として、真鍋籌男(かずお)町議(67)が、町に10万円の慰謝料などを求めていた国家賠償訴訟で、高松地裁丸亀支部(熱田康明裁判官)は16日、「理由もなく公開を拒否した違法な処分というほかなく、公務員に過失があったことは明らか」として琴平町に慰謝料3万円の支払いなどを命じる判決を言い渡した。
 訴訟は、真鍋町議が昨年3月の町議会の自身の一般質問と答弁を録音したテープの公開を求め、町議会が非公開決定を通知したことに対し、町情報公開条例に違反し、精神的苦痛を受けたとして昨年8月31日に提訴。町側は「会議録の作成前で、テープが直ちに公開されると町政の適正な運営に支障をきたすおそれがある」などと説明していた。

 判決では「録音テープは完成し独立した情報で、正確性も機械的に担保されたもの。公開しても弊害は生じない」などと判断している。町は「判決文が届いていないので、具体的なコメントは差し控える」とコメントした。
 議会の録音テープについては、土庄町の男性が町議会の録音テープの公開を求めた訴訟で、04年に最高裁が「非公開を決めた時はまだ議事録が作成されておらず、公開対象ではない」とし、男性敗訴の判決が確定している。【矢島弓枝】

●町議会の録音テープ非公開は条例違反  朝日 2007年06月17日
 琴平町が本会議一般質問の録音テープの公開をしなかったのは町の情報公開条例に違反すると主張し、同町議の真鍋寿男さん(67)が精神的苦痛を受けた慰謝料として町に10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、高松地裁丸亀支部であった。熱田康明裁判官は「テープの公開は条例に規定された非公開理由にあたらず、非公開は違法」だとして、町が真鍋さんに慰謝料3万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。

 判決によると、真鍋さんは07年3月23日、前日にあった町議会一般質問の質疑応答の録音テープの公開を請求したが、「会議録作成用の基礎資料であり、公開の対象ではない」と拒否された。この点について、熱田裁判官は「録音テープ自体が完成された独立情報であり、条例で公開請求の対象と定めた『写真及び電磁的記録』にあたる」などとして、町側の対応を違法だとした。
 判決について琴平町総務課は「判決文が届いていないので具体的なコメントは差し控える」としている。

●録音テープの非公開は違法 琴平町議が町を提訴  四国 2007/09/01 09:33
 琴平町議会が本会議の録音テープを非公開としたのは違法として、同町議の真鍋籌男氏(66)が31日、同町を相手取り、損害賠償額を10万円とした国家賠償訴訟を善通寺簡裁に起こした。

 訴状などによると、真鍋町議は3月23日、前日に開かれた3月定例町議会一般質問の質疑答弁の録音テープ公開を請求。町議会側が「テープは会議録作成用の基礎となる資料で情報公開の対象ではない」などとして非公開としたことから、電磁的記録の公開を盛り込んだ町情報公開条例に違反していると主張している。

 これに対し、町側は「判例や全国議長会の見解なども参考に非公開と判断した。会議録は作成手続きを完了した5月中旬に全議員に送付している」と説明している。

 2001年には、土庄町で非公開処分の取り消しを求める同様の訴訟があり、高松地裁、高裁、最高裁いずれも原告の訴えを棄却している。

●琴平町情報公開条例   平成18年3月24日 条例第2号
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、町政情報の公開を請求する町民の権利を明らかにするとともに、情報公開の総合的な推進について必要な事項を定め、もって町民の知る権利を保障し、町政に関し町民に説明する責務を全うし、町民の理解と信頼を深め、町民参加の公正で開かれた町政の推進に資することを目的とする。

(用語の定義)
第2条 この条例において「実施機関」とは、町長、議会、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。

2 この条例において「行政文書」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真(フィルムを含む。以下同じ。)及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作成された記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関において保有しているものをいう。ただし、当該実施機関において、一般に安易に入手することができるもの又は一般に利用することができる施設において閲覧に供されているものを除く。

●琴平町情報公開条例施行規則  平成18年3月24日 規則第1号
(磁気的記録の公開方法)
第7条 条例第15条第1項の規定による磁気的記録の公開方法は、次の各号に掲げる磁気的記録の区分に応じて、当該各号に定めるとおりとする。
(1) 録音テープ又はビデオテープ
当該録音テープ又はビデオテープを再生装置により再生したものの視聴又は当該録音テープ又はビデオテープを複製したものの交付
(2) 前号に掲げるもの以外の磁気的記録
当該磁気的記録をディスプレイ装置に出力したものの視聴又は当該磁気的記録を町長が保有する電子計算機により、磁気ディスク、光ディスク等に複製したものの交付
2 前項の規定による公開は、当該磁気的記録の全部を公開する場合に行うものとする。

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