● 一般質問通告文 「1番 『部委員を含めた市の会議』の適法性確保について」 印刷用・PDF 383KB /2013年3月議会
★ 審議会などの一覧表(合併後の10年間の状況について事項や項目、表の様式を指定してお願いしことの調査結果) 印刷用・PDF 123KB
1番から29番までか、もともと条例設置
30番は12月新設、
31から43番までは、要綱等設置だったものを今回の改正で「条例設置」へ
2-1から3番は、「要綱設置のまま」
3-1.2番は、終了・廃止
質問番号1番 答弁者 市長
質問事項 「外部委員を含めた市の会議」の適法性確保について
《質問要旨》地方自治法138条の4第3項において、自治体は「法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として・・・審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。」とされている。この「附属機関」の範囲につき、地方自治法を管轄する自治省(総務省)は「職員以外の『外部者』委員の構成する合議機関すべてを指す」としてきた(行実昭28.1.16、松本英昭『新版 逐条地方自治法』平成16年第2次改訂版435頁)。
つまり附属機関を設置する場合は、法律に設置根拠がある場合を除き、条例で設置する必要があり、規則や訓令、要綱などで設置することはできない。条例で設置する理由は、附属機関も行政組織の1つであること、長の直近下位の内部組織については条例で定めるとされていること(地方自治法第158条第1項)とのバランス等から、議会による点検、審査、認識の共有などが求められているものと考えられる。
したがって、「審査」「審議」「調査」「調停」「諮問」のために「組織体」を設ける場合は、条例をもって設置しなければならない。
これに対し、全国のそれなれの自治体が「住民」や「学識経験者」など参加の懇談会等を「規則」や「要綱」などを根拠に設置してきた。理由は、懇談会等は、首長等の“私的諮問機関”であって「執行機関の附属機関」には当たらないと解釈したからだ。
しかし、自治体のこの考え方は、最近の判決がすべて否定し、違法と判決している。
以上の法令の定めや判例の考えを整理すると、私は、条例で設置すべき審議会の境界、判断基準を次のように考える(各種名称があるのでここでは「審議会」という)。
A.長等の諮問等に応じ、調停、審査、諮問、調査等(協議、懇談、懇話等も想定され、名称によって限定されるものではなく、実質的な役割による)を行うこと。
B.学識経験者等の外部の委員その他の構成員により構成される審議会であること(職員が加わる場合も含む)。
C.審議会の意見として集約し(意見が一本であるか否かにかかわらず)、長へ報告、答申等を行うこと。
D.自治体の内部組織であって、自治体の外部の団体ではないこと。
E.単発でなく継続性があること、少なくとも年度をまたぐこと。
地方自治法の規定、さらに時代の要請として公開性、透明性が求められる事案の象徴が市役所外部の人を含めた審議会や協議会などの会議である。
事前に担当課に合併後のこの10年間の審議会について、調査事項や項目、様式を渡してお願いした結果に基づいて質問する。
「附属機関」という法令上の性質からも、諮問機関を設置するかしないかも、市長の判断次第であることは明らかなので、市長に問う。
結果のまとめ、もしくは一部は転載
★ 全部で48審議会がある
★ 29審議会は、もともと「条例設置」
★ 13審議会(うち1審議会は新設)は、今回の改正で「条例設置」へ
★ 3審議会は、「要綱設置のまま」
★ 2審議会は、終了・廃止
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( 集計表の抜粋)
(上表の右部分)
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1.市長としては、条例設置審議会と規則や要綱等による設置の審議会につき、その両者の違いの境界はどこにあると考えているのか。
2.29審議会について、もともと、H24年度まで条例で設置してきた理由は「付属機関であると考えたら」、というのは当然。
では、13審議会(うち1審議会は新設)について、今回の改正で、「条例なし」の設置から条例設置とする理由はなにか。
3.3審議会につき、今回改正で、なお、「条例」設置でなく要綱等を根拠としたまま継続する理由と「要綱等を根拠」とすることの適法性をどう説明するのか。
先の判決で明確になった自治体の違法性の是正には考え方を180度転換する必要があるが、市の現在の考えは、姿勢を何十度か変える程度である。違法性の是正策ではなく、その場しのぎの策、と映る。13審議会を転換するに当たって、3審議会を残していることが明らかとなったことから見えてくる「本質的な転換を拒む理由やこだわり」は何か。
4.審議会の内部に、部会、専門委員会を置ける規定が通常。
その場合の部会員や専門員の日当などは、「(法に規定される)報酬」なのか「報償費などの謝礼」なのか。
私は、地方自治法203条の2でいう額と方法につき、「条例設置」の「報酬」と考える。
5.ここで、「非条例の3審議会」を是とする現在の市の解では、例えば、「山県市政策調査会」など広範囲を守備する審議会を作って、あるいは既存の「山県市総合計画審議会」において、その部会、専門委員会として、審議会を置けば、条例が不要ということになってしまう。
たとえば、現在、あるいは改正案含めて、条例既定の他の審議会(法律に基づくものを除く)を位置付けることで、今までの「規則や要綱による設置」と同列にすることができることになる。
市長は、このような方法が理論的に可能と考えるのか、可能ならなぜそうしないのか。
ある種、それが従前どおりのことなのではないか。
6.ところで、これら審議会の構成員につき、指名、就任時に「委嘱状」を渡すなど一種の任免行為を行うのが通例であるが、山県市は、委嘱、任免行為を行ってきたか。
7.これら審議会につき、「会議は原則開」との認識で良いか。
過去に非公開とした例はどのようか。
8.情報公開では「公務員の職務に関する情報」は、公務に関することとして職氏名、発言、行動などは情報公開するものとされる。条例に基づく非常勤職員としての前記審議会の「委員」は、当然、公務員に準ずる職として情報公開条例の対象となる。情報公開の判決が、行政にかかわる行事・会議等の民間構成員の個人情報性について、「『非常勤職員である場合』や、『委嘱行為などがある場合』を除いて、私人の情報」という旨があることからも基準は明らか。市長もその認識でよいか。
9.では、市の作成する会議録につき、氏名を記載していない場合が多い。その理由は何か。
市の実態は、情報公開時代への適合性に大きく欠けるのではないか。
これら情報を公開している他の自治体で、「公開によって自由な議論が阻害されている」「会議進行に支障がある」などの公式見解を聞かない。
以上
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○地方自治法
第138条の4 普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
2 普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。
3 普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。
第158条 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。
○2 普通地方公共団体の長は、前項の内部組織の編成に当たっては、当該普通地方公共団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならない。
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