●経産省 調達価格等算定委員会 調達価格等算定委員会‐「平成25年度調達価格及び調達期間に関する意見」
平成25年1月より「調達価格等算定委員会」において、平成25年度に再生可能エネルギー発電事業に参入される方の調達価格等について検討を行ってまいりました。
3月11日に意見書として取りまとめましたので、公表いたします。
★ 平成25年度調達価格及び調達期間に関する意見平成25年3月11日(月)/調達価格等算定委員会
平成25年度調達価格及び調達期間に関する意見(PDF形式:723KB)
Ⅰ. はじめに
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下、単に「法律」という)第3条第5項の規定に基づき、平成25年度調達価格及び調達期間について、以下の通り、意見をとりまとめた。
経済産業大臣におかれては、本意見を尊重して調達価格及び調達期間を定められるとともに、パブリックコメント等を実施した結果として、本意見の内容と異なる決定をされるときは、事前に調達価格等算定委員会の意見を聴くように求める。
なお、法律において、調達価格及び調達期間については、経済産業大臣が毎年度、当該年度の開始前に定めることとされている。
これは、電気の供給に必要となる費用の低減を勘案し、賦課金の負担が電気の使用者に対して過重なものとならないよう配慮しているものである。一方で、再生可能エネルギー発電事業者にとり、可能な限り予測可能性を持たせ、事業計画を立案しやすくすることが再生可能エネルギーの拡大のためには、重要である。このため、調達価格等算定委員会として、どのような考え方で、平成25年度調達価格の意見集約に至ったかを明らかにすることで、再生可能エネルギー発電事業者の事業の予測可能性を向上させたい。このような意図から、以下、意見集約に当たって、調達価格等算定委員会として、合意した考え方を記す。
Ⅱ. 基本的方針
平成24年度調達価格の算定の際は、事業者団体や個別の事業者からヒアリングを実施し、そこで提示された数値を基礎にした。
しかし、固定価格買取制度の施行後は、制度の適用を受け再生可能エネルギー電気の供給を開始した設備については、法令に基づく義務として、経済産業大臣に実際に要したコストデータが提出されることとなった。また、経済産業省においては、提出されたコストデータに虚偽の記載があった場合には制度の適用を取り消す旨の注意喚起を行うなど、データの信頼性確保にも最大限の配慮を行っている。
したがって、平成25年度調達価格の算定に当たっては、以上により収集されたデータを用い、①平成24年度調達価格の算定に当たって基礎とした諸元の妥当性について改めて確認するとともに、②コストの下落が確認された場合には、これを調達価格に適切に反映する、との点を基本的な方針とした。
Ⅲ.分野別事項
1. 太陽光
(1) 10kW未満 ① システム費用
平成24年度調達価格の算定に当たっては、システム費用(太陽光パネル、パワコン、架台、工事費を含む価格をいう。以下同じ。)について、住宅用太陽光補助金制度の交付決定のデータを基に、新築住宅設置の平均の、その当時の最新データ(平成24年1月-3月期の交付決定データ)である46.6万円/kWを、算定の基礎として採用した。
(注)なお、「平成24年度調達価格及び調達期間に関する意見」では、本費用項目を「建設費」と記載していたが、当該費目に含まれる項目が不明確になるおそれがあるため、今回から「システム費用」と記載することとし、太陽光パネル、パワコン、架台、工事費が含まれるものであることをより明確にした。
現時点の最新データ(平成24年10月-12月期の交付決定のデータ)では、新築住宅設置の平均の当該データは、市場の創造等に伴い、42.7万円/kWにまで下落しているが確認された。
一方で、太陽光発電のシステム費用がこのように下落しつつある現状に鑑みると、現時点で利用可能な最新データではあるが、平成24年10月-12月期のデータでは、平成25年度調達価格の算定の基礎とするには高すぎることにならないかとの指摘が委員の一名からあり、この点について討議を行った。
この点については、以下2点の理由より、42.7万円/kWを採用することで妥当と判断し、委員会として合意した。 第一に、平成24年度調達価格の算定の際は、当該時点で利用可能な最新データ、すなわち、平成24年1月-3月期の交付決定のデータを算定の基礎として採用しており、制度施行後1年も経過しないうちに、算定の基礎とする考え方を変更することは、事業者の予測可能性を損なうおそれがあること。
第二に、法律は、調達価格の算定の基礎とする費用として、当該供給が「効率的に」実施される場合に通常要すると認められる費用を定めているため、平成24年度調達価格の算定の際は、住宅用太陽光発電のシステム費用の中でも、コストが低い「新築住宅設置」の場合のコ
ストを採用した。しかしながら、「既築住宅設置」の場合のコストは、これより高いため、住宅用太陽光発電全体のシステム費用の「平均値」は、平成24年10月-12月期でも45.5万円/kWと高く、過去の下落トレンドに従って当該コストが下落するとした場合、ちょうど来年度(平成25年4月-6月期)に42.7万円/kW近辺になる。このため42.7万円/kWを計算基礎として採用することは、実態上も、高すぎることにならないこと。(参考1)。
② 補助金額の控除
住宅用太陽光発電(10kW未満の太陽光発電)については、設置に際しての国や地方自治体からの補助金制度が存在する。このため、補助金の交付と固定価格での調達が二重の助成とならないよう、平成24年度調達価格の算定の際も、調達価格の算定に当たっては、当該補助額の控除を行った。このため、補助金額の調査を行ったところ、国の住宅用太陽光発電補助金制度の平成25年度の補助金額は2.0万円/kW、地方の補助金額の平均値は3.4万円/kWであることが判明した。平成25年度調達価格の算定の際は、これらの金額を前提とすることとした。
③ 運転維持費
運転維持費については、平成24年度調達価格の算定の際と比較し、コストが変化しているとの事実は確認できなかった。このため、平成24年度調達価格の算定に用いた運転維持費を据え置くこととした。
④ IRRの考え方について
「平成24年度調達価格及び調達期間に関する意見」のとりまとめにおいては、とりまとめの基本方針の一つとして、各事業者団体や事業者からヒアリングの際に提示された費用額を算定の基礎とする費用額の上限値とすることで合意した。
一方、10kW未満の太陽光発電のIRRについては、当該ヒアリングの際に、一般社団法人太陽光発電協会(以下単に「太陽光発電協会」という。)から、調達期間は従前の余剰電力買取制度との連続性等の観点から10年とする一方、IRRについては、住宅用太陽光発電は実態として20年程度稼働することが可能であることから、11年目以降20年目までは、発電した分を自家消費する等と見込んだ上で、20年間で3.2%のIRRを確保するとの考え方が示された。このため、委員会としては、あらかじめ合意した基本方針に沿って、太陽光発電協会の考え方を採用した。
この点に関し、今回の審議の中では、11年目以降の収益は不明確であり、この太陽光発電協会の考え方では不適切であり、必ずしもIRR3.2%は保証されていないので、算定の考え方を改め、調達価格を引き上げるべきとの意見が、一名の委員から指摘されたため、この点について、議論を行った。
これについては、以下の議論から、平成24年度におけるIRRの算定の考え方を引き続き踏襲すると判断することで合意した。
第一に、従前の余剰電力買取制度においては、10kW未満の太陽光発電はその太宗が住宅用であり、IRRを保証するという考え方はなじまないとの指摘があったこと。
第二に、当時は調達期間の10年間で初期投資費用を概ね回収できる水準に調達価格を設定するという考え方を基本としており、この考え方の下で制度の適用を受けている者との公平性を考えると、考え方を踏襲し、連続性を担保する必要があること。
加えて、第三に、現在の調達価格の下でも10kW未満の太陽光発電の導入量は堅調に増加していることから、調達価格の低さが参入の障壁になっているとは考えにくいこと
・・・・・(略)・・・ |