昨日の東京高裁の「一票の格差」訴訟の判決。
「違憲」だけど「無効」ではない、という裁判所。・・玉虫色。
今日も含めて、各地の高裁の判決が続く。
それを認識してか、新聞の社説などは、裁判所に厳しい指摘をしているところもある。
無論、指摘の先は国会が一番なのは当然。
そもそも、憲法違反の選挙で選ばれた国会議員たちは、一体どういう存在なんだろう・・・
ところで、こちら岐阜地裁での県議選のポスター代の水増し事件の昨日の判決は「一部を却下、他は棄却」。
こちらの証拠調べの申し立てを裁判所が採用しなかったから、予測された結果。
記者クラブに呼ばれて、答えた感想は「到底納得できないから、控訴する」。
とはいえ、今日12時がここの議会の本会議質疑の通告期限なので、昼までに議案資料から通告書を作らなければいけない。
ということで、判決のことは改めて整理する。
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●昨年の衆院選は違憲 一票の格差訴訟で東京高裁判決
中日 2013年3月6日
「一票の格差」が最大2・43倍となった昨年12月の衆院選は違憲として、弁護士グループが東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、東京高裁(難波孝一裁判長)は6日、現行の選挙区割りについて「投票価値の平等に反し、合理的期間内に是正されなかった」として違憲と判断した。無効請求は認めなかった。
全国14の高裁・高裁支部に一斉提訴された計17件(うち比例代表1件)の訴訟で、初の判断。原告側は即日上告した。
最高裁は2011年3月、最大格差2・30倍だった09年衆院選を「違憲状態」と判断、一人別枠方式が格差の主因だとして廃止を求めた。これを受け、昨年11月、同方式の廃止と小選挙区の定数を「0増5減」とする選挙制度改革関連法が成立したが、区割りは見直さないまま翌月の選挙に突入した。
今回の判決で、難波裁判長は「合理性のない一人別枠方式を維持したまま行われ、格差がさらに拡大した」と指摘した。
最高裁判決から選挙まで1年9カ月の期間があったことにも触れ「強い警鐘が鳴らされたにもかかわらず、是正が早急に行われないまま選挙が行われた経過は看過できない」と、最高裁判決の違憲状態よりも、さらに踏み込んで違憲と判断した理由を説明した。
選挙無効の初判断が示されるかどうかも注目されたが、判決は「選挙制度改革関連法が成立し、今後是正していくことが期待できる」などと総合的な事情を考慮。公益に重大な障害を生じる場合は、違法の宣言だけにとどめることができる「事情判決の論理」を適用し、選挙自体は有効と結論づけた。
昨年の衆院選では、有権者が最少の高知3区と最多の千葉4区の間に2・43倍、東京1区との間には2・34倍の格差があった。
原告側は「人口比例配分になっていない区割りで実施された選挙は違憲で無効」と主張していた。公選法は、国政選挙の効力に関する訴訟の1審を高裁と定めている。
(中日新聞)
●1票の格差 各地の判決に注目
NHK 3月7日
去年12月の衆議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差があったことについて、東京高等裁判所は6日、憲法違反とする判決を言い渡しました。
全国の14の裁判所で今月、同じ訴えの判決が言い渡されますが、国会に対し厳しい判決が出る可能性を指摘する専門家もいて、各地の判断が注目されます。
1票の格差が最大で2.43倍あった去年12月の衆議院選挙について、弁護士などの2つのグループが、全国14の裁判所で選挙の無効を求める裁判を起こしています。
初めての判決となった6日、東京高等裁判所は、「不平等を解消するために早急な区割りの見直しを行わなかった」と指摘し、憲法違反とする判決を言い渡しました。
一連の裁判は札幌でも7日に判決が言い渡されるほか、今月14日には仙台と名古屋でいずれも判決が出るなど、今月、14の裁判所すべてで判断が示される予定です。衆議院選挙については、小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法律が去年11月に成立しましたが、去年の選挙は4年前と同じ区割りで行われ、1票の格差はさらに拡大しました。
このため、各地の裁判所でも国会に対して厳しい判決が出る可能性を指摘する専門家もいて、今回と同じ「憲法違反」やさらに踏み込んだ「選挙無効」の判決が出るかどうかが注目されます。
●「是正せず選挙」国会の怠慢批判 1票の格差「違憲」
2013/3/7 2:01 日本経済新聞
昨年12月実施の衆院選の「1票の格差」を巡る判決で、東京高裁は6日、小選挙区の定数配分を「違憲」と断じた。
判決は格差是正のための「猶予期間」を設ける無効判決の具体的な出し方についても言及、国会の怠慢を警告する強いメッセージを打ち出した。
残る15訴訟の判決は3月中に出そろう予定で選挙無効に踏み込む判断が出るか注目される。
原告側の升永英俊弁護士は、判決言い渡し後「司法が国会と戦う姿勢を示した厳しい…
●異常事態もう許されぬ 衆院選は「違憲」
東京 2013年3月7日
昨年の衆院選を違憲と東京高裁が判断した。最大二・四三倍もの格差で選挙をしたからだ。限りなく平等な一票にすべく、早く政治は動かねばならない。
「(最高裁判決で)強い警鐘が鳴らされたにもかかわらず、是正が早急に行われないままに選挙されるに至った経過は、看過することができない」
東京高裁の論理は単純だ。最高裁は二〇一一年に、最大格差が二・三〇倍だった衆院選を「違憲状態」とし、選挙区割りの見直しを迫っていた。だが、今回の選挙は、それを無視し、従前の区割りのまま行われた。「違憲」は当然の帰結といえる。
レッドカードで芝生に
ただし、原告が求めた「選挙無効」の訴えは、退けられた。昨年十一月に小選挙区定数を「〇増五減」するなどの是正策を成立させたことを評価したのだ。無効としたときの政治的混乱を配慮した結果でもあるのは間違いない。
だが、この裁判所の配慮こそ、国会を甘やかし続けたのではないか。違憲判決を突きつけるだけで、政治が敏感に動くかどうか疑問を覚えるのもその点だ。
衆院選では、過去に最高裁で二度の違憲判決があるが、選挙無効は回避された。格差是正は図られてきたが、どれも弥縫(びほう)策ばかり…。国会の怠慢が、選挙があるたびに一票の格差訴訟が起きる状態を招いているのだ。
「違憲」はサッカーならレッドカードだ。退場、すなわち「選挙無効」-。そうしないと、国会は動かず、司法の権威と国民の納得が得られない。
だが、無効となった場合、どうするかという方策が何も決まっていない。国会の怠慢と、司法の消極姿勢が、レッドカードを受けた選手たちを芝生の上で走り回らせる-、そんな滑稽な光景を招いているのではないか。
同じ民主主義国なのに
「一票の格差」を米国では、どうとらえているだろうか。実は日米の間では、雲泥の差がある。
米下院議員選挙で、ニュージャージー州の選挙区割りを違憲とした、一九八三年の米連邦最高裁判決がある。ある選挙区の投票価値を「一」とした場合、ある選挙区は「一・〇〇七」だった。わずか一・〇〇七倍の格差でさえ、連邦地裁は違憲と判断し、連邦最高裁もそれを支持したのだ。
ペンシルベニア州の判決も極めて興味深い。最大人口の選挙区と最小人口の差は、わずかに十九人だった。一票の格差は、一・〇〇〇〇二九倍にすぎないのに、連邦地裁に提訴された。
裁判所は州議会に対して、三週間以内に新たな区割り法を制定し、裁判所に提出するよう命じた。〇二年のことだ。そして、州議会は新たな区割り法をつくった。その結果は驚くべき内容だった。最大人口の選挙区と最小人口の選挙区の人口差は、たった一人になったのだ。
これらの事柄は今回の原告が、裁判所に提出した書面で明らかにしたことだ。同じ民主主義国家でありながら、「一票」の価値に対する意識も実態も、まるで異なっているわけだ。
代議制民主主義は、(1)主権者は国民であること(2)正当な選挙が行われること(3)国会議員の多数決-の三つから成り立っている。国民の多数意思は、正確に国会議員の多数決に結び付かねばならない。そのためには、正当な選挙が行われることが大前提であるはずだ。
憲法前文の冒頭は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し(以下略)」で始まる。正当な選挙こそ、民主主義の根本である。そうでないと、国会議員の多数決の結果は、国民の意思の多数決と矛盾する事態を招くからだ。
米国での徹底ぶりをみると、われわれも一票について、もっと真剣に見つめ直さねばならない。一票の格差とは、住んでいる土地によって、一票の価値が変わる、住所差別の問題であるからだ。
男性が一票で、女性が〇・五票しかなかったら、間違いなく、違憲・無効の判決が出る。住所で一票の価値がない人も、寛容でいられるはずがない。
与野党それぞれで、選挙制度改革に乗り出している。だが、比例選の定数削減は、格差問題とは無関係だ。むしろ小選挙区の区割りで、限りなく平等な一票にすべく早く是正策を講じるべきだ。
“違憲議員”の正当性は
全国の十六の高裁・高裁支部で起こされた訴訟で、初の判決だった。今後、一つも無効判決は出ないのだろうか。ただし、違憲判断が続出し、最高裁で確定したら…。議員の正当性も、“違憲議員”がつくる法律の正当性にも疑問符が付くことに他ならない。これこそ国家の異常事態だ。
●社説:1票の格差「違憲」 国会への厳しい警鐘だ
毎日新聞 2013年03月07日
最高裁から「違憲状態」との指摘を受けながら小選挙区の1票の格差を是正せずに行われた昨年12月の衆院選について、東京高裁が「違憲」と断じた。「立法の不作為」に対する裁判所からの強い警告だ。
1票の格差是正や定数削減など選挙制度改革は、党利党略が優先し進まなかったのが現実だ。自民党を中心に改革案の検討がやっと始まったが、もはや猶予は許されない。国会は猛省し、今国会で必要な法改正など成果を示さなければならない。
最高裁は11年3月、1票の格差が最大2.30倍となった09年8月の衆院選小選挙区の選挙について「違憲状態だった」と判断した。
その際打ち出したのが、選挙区間の人口の最大格差が2倍未満になる区割りが合理的であり、47都道府県に定数1ずつを割り振る「1人別枠方式」は速やかに廃止すべきだとの考え方だった。
だが、国会の動きは鈍かった。東日本大震災への対応が優先したとはいえ、昨年後半に至っても与野党の意見集約ができなかった。
野田佳彦前首相が衆院解散を表明したことを受け、昨年11月、格差「2倍未満」が一応実現する小選挙区定数の「0増5減」と、「1人別枠方式」廃止を規定した法律が成立した。だが、新たな区割り確定には数カ月を要するため12月の選挙には間に合わなかった。結果的に最高裁判決後1年9カ月もの間、是正が放置されたまま選挙に突入し、1票の格差は2.43倍にまで拡大した。
投票価値の平等は、「法の下の平等」を定めた憲法の要請だ。民意が正しく反映される選挙の仕組みを整えるのは当然で、国会の対応は司法の軽視だけでなく、有権者への裏切りと批判されてもやむを得ない。
昨年の衆院選をめぐる1票の格差訴訟では「100日裁判」が実現し、今月中に他に15件の高裁判決が出る。これまで高裁・最高裁は、違憲判決を出しても、「公の利益」を考慮する「事情判決の法理」に基づき、無効判決を避けてきた。
6日の東京高裁判決も、昨年11月の「0増5減」法成立の動きなどを前向きにとらえ、無効判断を避けた。だが、国会の自浄能力はもはや限界との判断が働けば、無効判決が出てもおかしくない。
「0増5減」は、都道府県の人口比を考慮しておらず、つじつま合わせとの批判はもっともだ。だが、「0増5減」を前提に第三者機関の審議会が区割り作業中だ。ならばその区割りに基づく法改正を今国会に間に合わせるのが最低限の国会の責任だ。その先にある抜本的な定数削減や制度変更は、第三者に任すことも検討すべきだと改めて指摘したい。
●衆院選違憲判決 司法の最後通告に応えよ
産経 2013.3.7
最大2・43倍の「一票の格差」が生じた昨年12月の衆院選を東京高裁が「違憲」と判断した。
解散直前に格差を2倍未満とする「0増5減」の緊急是正策がとられたことから、選挙無効の請求は退けられたが、違憲判決は格差是正を放置した立法府への最後通告と受け止めるべきだ。
与野党はまだ完成していない緊急是正策に基づく区割りの法制化を急ぎ、一刻も早く違憲の状態を解消しなければならない。
さきの衆院選は、最高裁が平成23年3月に「違憲状態」と判断した21年の選挙と同じ区割りで実施された。
最高裁は、全都道府県にまず定数1を割り振り、残りを人口比例で配分する「1人別枠方式」の区割り基準が格差拡大の原因になっているとして廃止を求めたが、国会は是正措置をとらなかった。
今回の判決は、同じ区割りを昨年の衆院選で用いたのは、国会が最高裁の「強い警鐘」を無視したものだとして「違憲状態」から「違憲」へと踏み込んだ。何もしない立法府に対し、司法が具体的な行動要求を突きつけた。
区割り基準の見直しが行われないため、法律が定める衆院選挙区画定審議会の区割り作業なども進まず、違憲状態と違法状態に同時に陥った。当時の与党だった民主党などの責任が大きい。
2つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部で計16件の訴訟を起こしており、3月中に判決が出そろう予定だ。判決の度に立法府の怠慢が指摘されかねない事態であり、選挙無効判決が出る可能性も否定できない。
自民、民主、公明は昨年11月の3党合意で、定数削減と選挙制度改革について「通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行う」と約束したが、いまだに緊急是正にとどまっている。
最近始まった実務者協議では、削減幅や比例代表での中小政党優遇策などで意見の隔たりが大きく、時間だけを費やしている。
一票の格差が最大で5倍だった22年の参院選も、最高裁から違憲状態と判断された。衆参両院とも抜本的な改革を迫られているのに、いずれも具体的な議論は進んでいない。
政治家が決断できないのであれば、休眠中の政府の選挙制度審議会を開き、抜本改革を諮問することが必要である。
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