tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

雲見 ミノカサゴ(3)

2008-12-22 22:36:04 | プチ放浪 海沿い編

 

ミノカサゴ(蓑笠子、英名:Luna lionfish(ルナ・ライオンフィッシュ)、学名:Pterois lunulata)は、カサゴ目フサカサゴ科の海水魚。日本では北海道の南部以南の沿岸部に生息する。
普通の魚は人間が近づいたら慌てて逃げるものなのだが、ミノカサゴには全くその様子がない。ふんわりと羽を広げたような優雅な姿で、衣をまとった天女のように美しく、潮の流れにゆったりと乗って緩やかな泳ぎ方で泳いでいる。かなり大きくなり、20cm~30cmにもなるため、ヒレを広げると更に大きく見える。このように、見た目には非常に綺麗な魚なのだが、 背ビレ、胸ビレには毒があり、また、背ビレはトゲのようにとても鋭いため、ダイビング中、触ってはならない危険な魚のひとつだ。
刺されると猛烈な痛み。毒が全身に行き渡ると痛みはさらに激しくなり、患部は赤みをおびて腫れ、発熱する。手足の麻痺、呼吸困難、発汗、頭痛、嘔吐等を併発することがある。応急処置としては、患部をきれいな水で良く洗い流し、熱い湯の中に患部を浸けながら傷口を絞って血を出すこと。

特に厄介なのが、岩陰に隠れているミノカサゴで、知らずに手で触れてしまう事がある。グローブをしていても、鋭いトゲは突き抜けるので、注意が必要だ。
だが、イタズラさえしなけば、ダイバーに攻撃を仕掛けてくることはない。ただし、身の危険を感じた場合には、背ビレを立てて、こちらに向かって来る。英名のlionfishは、「ライオンのようにキケン」と言うことなのだろうか。あるいは、ヒレがライオンのタテガミのように見えることに由来するのかもしれない。

毒があるから襲われず、いつもライオンのように堂々と泳いでいる。最近、ぼくはこのあぶないミノカサゴにハマっている。


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雲見 ミノカサゴ(2)

2008-12-21 18:28:30 | プチ放浪 海沿い編

 

今夜はキャンドルナイト。ほのかなローソクの灯りに、パソコンの画面もゆらゆら揺れて見える。今夜は、ネットから早く落ちて、ほの暗い灯りを楽しむこととしよう。
蝋燭の明るさは、最初に決められたのが鯨の油でできたロウソクによるものだ。1860年、イギリスの首都カガス条例。「1時間に120グレーンの割合で燃焼する6ポンドの鯨油ローソクの光度にほぼ等しい光度」。これを1燭(しょく)としていたらしい。今日ではカンデラによって定義されているルーメンも、当初は燭(しょく)によって定義されていたようだ。今日のローソクは石油化学製。ススの出かたが当時との鯨油のものとはずいぶん違う。

****************
さて、我々、ダイバーは、特にぼくにはその傾向があるのだが、岩穴に潜むウツボを見ても、カメラを向けることは無い。夏にかけてスカシテンジクダイの大群がいても、冬にもなればその数が激減してしまうと言うにもかかわらず、感激することは無い。絵にならない被写体は、撮らないのだ。ゆらゆらと、ミノカサゴが目の前を横切って行っても、振り向くことはしない。
ところが、”外人ってやたら泳ぎまわって、ウツボ、ミノカサゴ、サメに興奮する”。海外へダイビングに出かけた日本人ダイバーがよく言う言葉だ。すべての外人がこうだとは言わないものの、あてはまる外人もいて、完全な間違いとも言い切れないだろう。
その一方で、日本人の多くはカエルアンコウウオ、ハゼ、ウミウシに興奮する。または、雑誌などでよく紹介される種だけに固執する。しかし、外国人ダイバーは、海に決まったようにカメラを持ち込む日本人に対して、そんな感想をいだかない。”人それぞれだね”と、他人をリスペクトする。

彼らは本当にダイビングを楽しんでいる。一生懸命に楽しむ。ダイビングが楽しいから、泳ぎまわる。興奮するから、ウツボやミノカサゴ、サメに興味を持つ。人として、ものすごい単純なことなのだ。
「Wonderful!」を連発。なんでそんなに楽しかったの?とさえ思えてくる。
彼らを見てると、エアが早かろうが、泳ぎまわろうが、オーバーウエイトだろうが、真冬に3mmのウエットで潜ろうが、楽しけりゃ関係ないという基本に帰ることができる。
カズさんは、きっと、こんなことを言いたかったんだろうなと、ぼくは今思っているのだが、間違っているかもしれない。
そして、あの時、糸井さんが口をはさもうとした事はなんだったのだろう。

 


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雲見 ミノカサゴ(1)

2008-12-20 23:33:44 | プチ放浪 海沿い編

 

先日の田子のダイビングの際のカズさんとの会話で、いまだによくわからない部分がある。
彼が、数年前に脳梗塞で倒れて、しばらく海から遠ざかっていたことを、以前、このブログで書いた。
彼は、涙とともにガイドに復帰した。
その後の彼のログ付けの際のスタイルは、病気で倒れる前のものとは大きく変わってしまったとのことだ。

ガイドに復帰したときのダイビングは、常連客がカズさんには知られないように仕組んだものだった。
カズさんは常連客に見守られて、彼らを田子の海中へとガイドした。そして、エキジット。船から下りたところで、感極まって大泣きした。前に書いた話はここまで。実はこの後の話がある。
その夜のログ付けで、ダベっていた常連客の一人が感想を言ったらしい。
「ずっと前のログ付けスタイルに戻りましたね」
ずっと前のスタイルとは、カズさんがガイドを始めて駆け出しの頃のことらしい。
・・・・・・駆け出しの頃。とにかく、ダイビングが楽しくて、その楽しさを彼はゲストと共有し合っていた。
ところが、その後、何年もガイドを続けているうちに、ダイビングが日常化してしまったがゆえに、ゲストと単純に楽しさを共有することを忘れてしまったらしい。だから、ログ付けは、一方的にサカナの生態をしゃべり続けるものだったとのこと。
カズさんは言う。
「サカナの生態を知りたいやつには、ログ付けが終わった後で、何時まででも、じっくりやればいい。でも、大切なことは、ダイビングの楽しさの理解を深めることなんだよ」
これを、隣で聞いていたイントラの糸井さんは、何か言いたそうな顔をしていたが、黙ってしまった。

 


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NOと言える勇気(3)

2008-12-19 23:28:45 | プチ放浪 海沿い編

 

タンクを受け取り、手に持つと、・・・軽い。軽いタンクなんだ。ひょっとして、アルミ製?なにしろ初心者だったので、深くは考えなかった。たぶん、本で読んではいたが、アルミ製のタンクを見るのは初めてだったと思う。
ボートボーイが選り分けてくれた軽いきれいなタンク。セッティングを終えて残圧をチェックすると、200kg/cm^2オーバー。フルに空気が入っている。バルブを開けてチェックするも、モルジブの海の香りがして美味しそうな空気だった。

いよいよ、エントリー。ダイバーが一斉に、ぼちゃんと水面に落ちる。BCの空気を抜いて、潜降開始。普段なら、すーっと沈んでいくところだが、興奮しているせいか、沈まない。っていうか、・・・浮く。ここで、ジタバタするとかえって浮力が増して沈まないから、体の力を抜く。
と、体が横になる。この時に、今まで経験したことのない、海水がまるで意思を持ってぼくを押し上げているような浮力を体で感じていた。
しまった。アルミタンク。手渡されたときに深く考えていなかったけど、スチールタンクより2kgほど軽い。したがって、スチールタンクでウェートを合わせたら、ウェートが軽すぎてしまう。なので、スクランブル。ヘッドファーストのエントリーに切り替えようとして、イントラからエントリー中止の声。
「タンクを間違えました!」
「ばーか」
この時の会話が実際にこうだったか記憶は定かではないのだが、みんなでボートに戻って、ぼくはウェートを2kg余分にもらって再エントリー。
今考えれば、当時はオーバーウェート気味の浮力調整だった。しかも、現在はその2kg減のウェートでいつも潜っている。極端な話、ウェート着けるのを忘れて潜っても、海底の石などを拾って、ウェート代わりにしたりする。・・・経験を積みさえすればなんでもないこと。そして、ぼくの代わりにスチールタンクを受け取ったダイバーがいたはず。沈降などの事故は起こらなかったから、そのダイバーは自力でどうにかしたんだろう。「タンクが違う」と言えたのだろうか・・・・・・。

あの時、澄んだ目をしたボートボーイからきれいなタンクを手渡されたとき、「ノー」とは言えなかったなあ。日本人インストラクターがヤツをクビにしちゃいそうで・・・。。


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NOと言える勇気(2)

2008-12-18 23:09:13 | プチ放浪 海沿い編



40mオチ。しかも、酸素酔い。そして、そこからの生還。これに比べれば、tetujinの遭遇したトラブルは、トラブルとは言えない、ほんの些細な出来事だ。
初の海外ダイブ@モルジブ。当時のぼくにとって、モルディブはまさにダイビングの聖地だった。宿泊は「クラブメッド」のモルディブカニフィノール。クラブメッドの良いところは、“オールインクルーシブ"。朝・昼・晩の食事に加えて、イベントや、ほとんどのスポーツアクティビティが宿泊料金に含まれていた。

ダイビングの日の朝一番には、日本から持参した3mmのシーガル(ウェットスーツ)とフル装備を装着。入念なウェート調整が行われた。穏やかな入り江のビーチエントリーで、深さ1m程度の海中。現地駐在の日本人インストラクター2人がかりで抱えられ、ウェートを付けて、肺の空気の出し入れをする。
うまくウェートが合えば水底につけたフィンを支点にして、呼吸だけで体が水面から沈んでいったり、水面に戻ったりというフィンピボットができるようになる。これが、中性浮力が取れている状態。すなわち、浮きもせず、沈みもせずに、ちょうどよい浮力ということ。
この浮力調整時に、それぞれのダイバーのダイビングスキルも見ているらしい。
ウェートの調整が終われば、ボートに乗ってダイビングポイントへと移動。いよいよ、モルディブの真っ青な海へ。
ボートに積んだタンクが、ボートボーイの手によって、それぞれダイバーたちに渡される。ボートボーイは、まだ10代の若者だった。

黒檀のような輝く肌の色。インド系特有のほりの深い顔をしたボートボーイが、ぼくの顔を見て微笑む。親指を立てて、「Have fun!」とでも言いたいのだろうか。彼が、きれいな銀色の真新しいタンクをぼくに手渡してくれた。ぴかぴかのタンク。数ある古ぼけたタンクの中から、とっておきのきれいなタンクを選んでくれたんだ。(明日へ続く。)


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