堺市文化財課が30日、百舌鳥古墳群(堺市)の西端にある長山古墳(同市堺区協和町ほか)で、古墳の斜面に敷き詰められた葺石や埴輪の破片などが見つかったと発表した。江戸時代中頃の享保9年(1724)の絵図によると、後円部はすでに破壊され、大正~昭和初めには前方部も含めて開発で失われたという幻の古墳で、全長100m前後(注1)の中規模の前方後円墳と推定。仁徳天皇陵(全長486m)を筆頭とする百舌鳥古墳群で最古級の4世紀後半の築造とみられ、古墳群の成立過程を考える上で貴重な資料になりそうという。
前方部東側に相当する場所から、葺石が墳丘の裾に積み上げたとみられる石列となって、長さ16m、幅1・4m、高さ0.5mで直線上に並んで残っていた。被葬者の副葬品とみられる車輪石の腕輪(直径約20cm)の一部や、盾や、身分が高い人の傘の形をした埴輪片も多数出土した。見つかった埴輪の特徴などから4世紀後半の築造と判明した。
百舌鳥古墳群は、堺市北部約4kmの範囲に4世紀後半~6世紀前半の40基以上の古墳が残っている。長山古墳は 古墳群の中では700m南の「乳岡古墳」と並んで築造時期が古く、2古墳とも西側の大阪湾に近い。 古墳は大阪湾側から順次築かれたとされ、最も海側にある長山古墳がいち早く築造された可能性が高まったとしている。
現地説明会は8月3日午後1時~4時に開かれる。
[参考:共同通信、産経新聞、毎日新聞]
(注1)これまでの資料では全長110mと記されている。
(注2)蓋形埴輪のことか。