江頭憲治郎著「株式会社法(第2版)」(有斐閣)
http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/comesoon/00001.html
改訂版が刊行された。
ところで、はしがきを読むと、「本書は、登記実務・学説等が実務の工夫を封ずるべきではないとの考えを基調として、定款自治の限界、契約に盛り込むべき条項等を記述している。」とある(気付かなかったが、初版にも。)。いわゆる通説に囚われない見解を披瀝されており、改訂の都度購入を続けている江頭会社法であるが、意外の言辞である。
会社法は、なんでもできるツールボックスと言われるが、もちろん無制約の「自由」であるはずもなく、「自由」の中にも「公正」であることは当然求められる。したがって、実務家としては、「公正」にも配慮すべきであるが、登記所は、手続が適法、かつ、要件を満たす限り、「公正」には関知しない。
また、登記実務は、公示の観点から、形式的にせよ最終段階でチェックする立場にあり、保守的にみられがちであるが、適法である限り、実務の工夫を封ずるようなことはないし、新機軸で判断が難しい事案であっても、要件を満たす限り、最終的には裁判所が決めることであるとして、当該登記申請は受理されているように思う。
さらに、司法書士の中にも、「自由、かつ、公正」を模索しながら、定款自治の限界に挑んでいる者は大勢いるのである。
登記実務は、決して実務の工夫を封じてはいませんよ。