葉玉匡美・郡谷大輔編著「会社法マスター115講座(第2版)」(ロータス21)27頁に、会社の目的の具体性について、「不要。目的は、特定の事業を記載する必要はない。単に『事業』のみでもよい。」と解説してあるが、???である。登記官の審査の対象から外されたとはいえ、これでは、公示する意味がない。登記所においては、受理されないはずである。
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/2_e69d.html#comment-30747636
いかなる「事業」を行うかを「公示」するのが「目的」を公示する意味であるはずである。「当会社は、次の事業を営むことを目的とする。」の答えが「事業」とは、木で鼻をくくったような答えであり、何のための公示であるのか意味をなさない。そのような公示を認めるのであれば、そもそも「目的」を登記事項から外すべきであり、会社法の基本設計が体をなしていないことになる。
「具体性」は、登記官の審査の対象から外されたとはいえ、登記は、「取引の安全」のための重要な公示制度であり、「目的」は、重要な要素である。ロースクールの「教科書」として用いられるのであれば、極論に走り過ぎないように、お願いしたいものである。
「事業」を受理するような登記所は、皆無であろう。
cf.
平成20年2月4日付「会社の『目的』について」