募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ by JTRUST
https://www.jt-corp.co.jp/jp/2016/08/12/10996/?t=jn
「本新株予約権につきましては、業績目標の達成を条件としたものではなく、当社株価の終値が一定の値まで下落した場合に、割当対象者に残存するすべての本新株予約権の行使を義務付けるものであり、株価下落に対する一定の責任を負うなど、株価変動リスクを当社株主の皆様と共有するスキームとなっております。」
〇 新株予約権の行使の条件
① 割当日から本新株予約権の行使期間の終期に至るまでの間に株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引終値が一度でも行使価額(ただし、上記3.(2)により適切に調整されるものとする。)に50%を乗じた価格を下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を上記の場合に該当した日の翌営業日から1ヶ月以内に行使しなければならないものとする。ただし、次に掲げる場合に該当するときはこの限りではない。
②~⑤ 【略】
上記は,株価が下落した場合に,新株予約権者である取締役等に対して新株予約権の行使義務を負わせるものである。
ん~,面妖な・・。
念のためであるが,これは,「新株予約権の内容」(会社法第238条第1項第1号)としての「行使の条件」(会社法第911条第3項第12号ハ)ではなく,「債権契約」に基づく合意と呼ばれるものである。
cf. ベンチャー企業における新株予約権の設計 by AZX総合会計事務所
https://www.azx.co.jp/modules/malma/index.php/content0052.html
そして,今般,
募集新株予約権(有償ストック・オプション)の行使に関するお知らせ by JTRUST
https://www.jt-corp.co.jp/jp/2019/02/13/20824/?t=jn
「本新株予約権につきましては、「発行のお知らせ」における新株予約権の行使の条件に記載のとおり、行使期間(2016年10月1日から2021年9月30日まで)の終期に至るまでの間に株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引終値が一度でも行使価額(789円)に50%を乗じた価格を下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を該当した日の翌営業日から1ヶ月以内に行使しなければならないものとされておりますが、2019年2月8日の当社普通株式終値が394円となったことから、行使条件に該当することとなりました。
この結果、新株予約権者は、昨日の終値では398円となっている上記(1)の株数の当社株式を、789円で引き受けることとなります。」
上記のとおり,「債権的な合意」に過ぎないので,会社法上,当然に新株予約権の行使の結果がもたらされるものではないが,新株予約権者である取締役等が新株予約権の行使をしなかった場合,どうなるのか?
民事訴訟による救済は,難しいように思われるが・・・。
そういえば,過去には,「当社は・・・毎月10個を上限として、新株予約権者に対して新株予約権の行使を請求することができる」というものや,「発行会社の行使要請がない限り、新株予約権者は行使できない、また、発行会社から行使要請があれば、新株予約権者は行使しなければならない」ものもあった。
cf.
平成19年10月25日付け「NOVAいろいろ」
平成18年9月21日付け「新株予約権の新しい活用例」