司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「プラチナ系」節税保険に国税庁が大なた

2019-02-25 20:33:15 | 税務関係
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASM2Q7GNTM2QULFA03P.html?iref=comtop_list_gold_n07

「全額経費となる高額な保険料で利益を圧縮して節税し、10年ほどで中途解約すれば返戻金が得られる。それで支払い保険料の多くは実質的に取り戻すことができる。返戻金を高額な役員退職金などに充てれば、そこにも税金はかからない――。」(上掲記事)

 そんな話を国税庁が放っておくわけがないであろう。
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「配偶者居住権」の評価方法が明らかに

2019-02-25 16:35:17 | 民法改正
「配偶者居住権」の評価方法が明らかに by 大和総研
https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/tax/20190222_020648.html

 税務における「配偶者が死亡した場合(2次相続)の扱い」及び「存続期間中に権利放棄した場合の扱い」については,未だ明らかではないようだ。

 なお,登録免許税法第17条第4項の取扱いに配偶者居住権が追加されることから,配偶者居住権の設定の登記がされている建物について,配偶者がその建物の取得に伴いその所有権の移転の登記を受けるときは,当該登記に係る登録免許税の税率は,次のとおりである。

・所有権の相続による移転の登記      1000分の2
・所有権の共有物の分割による移転の登記  1000分の2
・所有権のその他の原因による移転の登記  1000分の10

cf. 平成31年2月17日付け「配偶者居住権の設定の登記に関する登録免許税法の改正」
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配偶者居住権と抵当権の対抗関係について

2019-02-25 15:47:19 | 民法改正
配偶者居住権と抵当権の対抗関係について by 土地総合研究所
http://www.lij.jp/news/research_memo/20181002_8.pdf

 改正相続法により新設される配偶者居住権(民法第1028条第1項柱書本文)の取得は,その登記をしなければ,居住建物について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができない(民法第1031条第2項による第605条の規定の準用)。

 なお,配偶者居住権に関する施行期日は,債権法改正と同じく平成32年4月1日である。


 ところで,6頁の中程,「ちなみに」で始まる段落であるが,「居住建物の所有権が法定相続分による共有となる場合であって、居住建物が被相続人名義のままとなっている場合については、配偶者が共有物の保存行為として移転登記を単独申請すれば済むことになる」とあるのは,前提を誤っている。

 注38で掲記されている部会資料は,「配偶者に長期居住権を取得させる旨の審判がされた場合には,配偶者による単独申請が認められる」ケースのお話である。

 配偶者居住権の設定の登記の申請は,原則共同申請であるから,遺産の分割の審判によって取得する場合を除けば,配偶者が共有物の保存行為として所有権移転登記を単独申請しても,「済むことになる」とはならない。
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不動産投資の「1法人1物件スキーム」

2019-02-25 10:12:45 | 不動産登記法その他
https://www.rakumachi.jp/news/column/239019?fbclid=IwAR3svTXRrD9fxqnJcQglFzpdwyZ_vLxJsHqj_tNCpa3NjX81xenFNMM6jkc

「投資用不動産の購入にあたり、物件ごとに新設法人を作って別々の金融機関から融資を引く「1法人1物件スキーム」。短期間に規模を拡大できる手法として注目を集めていたが、昨年後半ごろから、金融機関側がスキームの利用者に対する対応を強化しているという情報が聞かれるようになった。」(上掲記事)

 不動産の売却に際して,会社ごと売却(株式の譲渡)をすることもできるので,合理的な面もあると思うが,金融機関に対する背信行為となるのであれば,よろしからずである。
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株価の下落にリンクした新株予約権の行使義務

2019-02-25 09:49:30 | 会社法(改正商法等)
募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ by JTRUST
https://www.jt-corp.co.jp/jp/2016/08/12/10996/?t=jn

「本新株予約権につきましては、業績目標の達成を条件としたものではなく、当社株価の終値が一定の値まで下落した場合に、割当対象者に残存するすべての本新株予約権の行使を義務付けるものであり、株価下落に対する一定の責任を負うなど、株価変動リスクを当社株主の皆様と共有するスキームとなっております。」

〇 新株予約権の行使の条件
① 割当日から本新株予約権の行使期間の終期に至るまでの間に株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引終値が一度でも行使価額(ただし、上記3.(2)により適切に調整されるものとする。)に50%を乗じた価格を下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を上記の場合に該当した日の翌営業日から1ヶ月以内に行使しなければならないものとする。ただし、次に掲げる場合に該当するときはこの限りではない。
②~⑤ 【略】


 上記は,株価が下落した場合に,新株予約権者である取締役等に対して新株予約権の行使義務を負わせるものである。

 ん~,面妖な・・。

 念のためであるが,これは,「新株予約権の内容」(会社法第238条第1項第1号)としての「行使の条件」(会社法第911条第3項第12号ハ)ではなく,「債権契約」に基づく合意と呼ばれるものである。

cf. ベンチャー企業における新株予約権の設計 by AZX総合会計事務所
https://www.azx.co.jp/modules/malma/index.php/content0052.html


 そして,今般,

募集新株予約権(有償ストック・オプション)の行使に関するお知らせ by JTRUST
https://www.jt-corp.co.jp/jp/2019/02/13/20824/?t=jn

「本新株予約権につきましては、「発行のお知らせ」における新株予約権の行使の条件に記載のとおり、行使期間(2016年10月1日から2021年9月30日まで)の終期に至るまでの間に株式会社東京証券取引所における当社普通株式の普通取引終値が一度でも行使価額(789円)に50%を乗じた価格を下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を該当した日の翌営業日から1ヶ月以内に行使しなければならないものとされておりますが、2019年2月8日の当社普通株式終値が394円となったことから、行使条件に該当することとなりました。
 この結果、新株予約権者は、昨日の終値では398円となっている上記(1)の株数の当社株式を、789円で引き受けることとなります。」


 上記のとおり,「債権的な合意」に過ぎないので,会社法上,当然に新株予約権の行使の結果がもたらされるものではないが,新株予約権者である取締役等が新株予約権の行使をしなかった場合,どうなるのか?

 民事訴訟による救済は,難しいように思われるが・・・。


 そういえば,過去には,「当社は・・・毎月10個を上限として、新株予約権者に対して新株予約権の行使を請求することができる」というものや,「発行会社の行使要請がない限り、新株予約権者は行使できない、また、発行会社から行使要請があれば、新株予約権者は行使しなければならない」ものもあった。

cf. 平成19年10月25日付け「NOVAいろいろ」

平成18年9月21日付け「新株予約権の新しい活用例」
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