司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社の行為は商行為と推定される(最高裁判決)

2008-02-26 00:09:34 | 会社法(改正商法等)
 「会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負う」とする最高裁判決が出ている。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35796&hanreiKbn=01


 会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は、商行為とされている(会社法第5条)。

 会社は、自己の名をもって商行為をすることを業とする者として、商法上の商人に該当する(商法第4条第1項)。

 商人の行為は、その事業のためにするものと推定される(商法第503条第2項)。

 したがって、会社の行為は商行為と推定され、これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証責任を負うと解するのが相当である、という論理である。


 ところで、会社の営利性とは、「会社が対外的経済活動で利益を得て、得た利益を構成員に分配することを目的とする」ことをいう(江頭憲治郎「株式会社法」19頁)。

 しかし、「会社は、その事業のために必要あるいは有益な行為であれば、それ自体としては営利性を有せず、またその事業に直接つながらない行為でもなしうる。すなわち会社の営利性とその行う行為自体の非営利性とは必ずしも矛盾しないから、寄附のような非営利行為もなしうる」(弥永真生「リーガルマインド会社法」7頁)。

 このように、会社が「その事業としてする行為」とは、対外的経済活動たる行為であって、寄附のような非営利行為は、会社の行為として、一応は商行為と推定されるものの、会社の事業のために必要あるいは有益な行為、すなわち、「その事業のためにする行為」と推定される行為である(これを争う者において当該行為が当該会社の事業のためにするものでないこと、すなわち当該会社の事業と無関係であることの主張立証がなされれば、推定が覆されることがあり得る。)。

 そして、「株式会社がその事業としてする行為(定款所定の行為(会社法第27条第1号))及びその事業のためにする行為は、商行為とされている」(江頭・31頁)とあるとおり、定款に掲げる「目的」は、「その事業としてする行為」であるべきであり、「その事業のためにする行為」はその範疇に入らないと考えるのが相当である。

 したがって、それ自体としては営利性を有せず、またその事業に直接つながらない行為、いわゆる非営利行為を「目的」として定款に掲げることは認められないと考えるべきである。
コメント

不動産のオンライン登記急増

2008-02-25 18:25:17 | 司法書士(改正不動産登記法等)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080225-OYT1T00334.htm

 「法務省は、司法書士や土地家屋調査士らが参加する「不動産登記オンライン申請利用促進協議会」を月内にも設置し、オンラインの不動産登記に関する広報活動に努める方針」だそうだ。

cf. オンライン登記申請件数
http://www.moj.go.jp/MINJI/shinsei.html
コメント (1)

外国籍弁護士の家事調停委員就任拒否

2008-02-25 00:14:17 | いろいろ
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/02/20080224t13019.htm

 外国籍の方の公務への就任については、もっと開放すべきであろう。国は、「公権力の行使又は国会意思の形成への参画に携わる公務員は、日本国民に限る。」という見解を維持し続けているようだが、国民主権原理、すなわち国民による国政自己決定の原理との関係で大きな制約に服することとなるだけであり、家事調停委員就任については、そのような問題が生ずる余地はないからである。
コメント

消費者団体訴訟制度意見交換ミーティング

2008-02-24 14:33:53 | 消費者問題
 「消費者団体訴訟制度意見交換ミーティング」が、内閣府の主催で、次のとおり開催される。適格消費者団体(現在は5団体)の活動状況や消費者団体訴訟制度に対する理解を深めるための意見交換ミーティングである。事前申込みが必要だが、参加は自由。
http://www.dantai-sosho.com/

3月10日(月) 大阪:大阪国際交流センター 14:00~16:00
3月12日(水) 広島:広島市まちづくり市民交流プラザ 14:00~16:00
3月14日(金) 東京:星陵会館 14:00~16:00


 この「消費者団体訴訟制度意見交換ミーティング」の運営業務が、一般競争入札に付された(従って、落札者が運営している?)のは、なぜでしょうね?
http://www.e-procurement-cao.jp/choutatsujouhou/ch/0071000003966.html
コメント

大文字の雪化粧

2008-02-24 10:42:03 | 私の京都
 例年、京都市内は、雪が舞うのが3~4回、うち積雪となるのが1回程度で、近年は、暖冬の影響で少なくなっていたが、この冬は、倍増し、積雪といっていいくらいの雪も既に数え切れないほどである。

 大文字は、五山の送り火で有名だが、雪の後は、雪化粧により「白い大文字」となり、風情を醸し出している。
http://kyoto-albumwalking2.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_2632.html

 ちなみに、「白い大文字」には、戦時下における次のような故事がある。
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/gozan/08.html

cf. 雪の京都から
http://www.nikkei.co.jp/weekend/cha/
コメント (1)

消費者問題を公取委が一元規制?

2008-02-24 10:13:01 | 消費者問題
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080224-OYT1T00106.htm

 悪質商法を含む消費者取引の全体にかかる規制を、公取委が一括して担当する独自案。「消費者からの相談・苦情窓口と、処分などの執行部門を一体化し、詐欺的な商法や悪質な勧誘、広告などの虚偽表示、不当な契約などの消費者取引に関する規制は、公取委が受け持つ。」というもの。実現は難しそうだ。
コメント

社外取締役の導入率

2008-02-23 17:31:23 | 会社法(改正商法等)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080223AT1D210DI22022008.html

 オーナー企業では、社外取締役又は社外監査役の導入率は、45.1%。非オーナー企業の65.3%を大きく下回っている。

 登記による公示の在り方も再検討すべきである。
コメント

年金相談センターを社会保険労務士会に業務委託へ

2008-02-23 00:21:37 | いろいろ
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008022200155&genre=A1&area=Z10

 ある意味、理想的な民業開放かもしれない。登記業務についても、民業開放の流れであるが、相応でない民間会社に落札されるリスクがあることを考えると、然るべき資格者団体に業務委託をすることを検討すべきではなかろうか。これは、我田引水的に言うのではなく、真に現在の流れを憂えてのものである。
コメント

簡裁訴訟代理等能力認定考査対策のために

2008-02-22 20:46:56 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 現在、平成20年度簡裁訴訟代理等能力認定のための特別研修が実施中であり、必読、参考図書として、数多くの書籍が指定されているが、下記がお奨めである。

①加藤新太郎他著「要件事実の考え方と実務」(民事法研究会)
②中野哲弘著「わかりやすい民事訴訟法概説」(信山社)
③中野哲弘著「わかりやすい民事証拠法概説」(信山社)
④日司連編「簡裁訴訟代理等関係業務の手引」(日本加除出版)
⑤司法研修所編「民事判決起案の手引」(法曹会)
⑥「注釈司法書士法」(テイハン)
⑦加藤新太郎編著「新版民事尋問技術」(ぎょうせい)

 ②は、あまり有名ではないが、要件事実を意識して書かれた数少ない概説書であり、すぐれもの。指定書籍ではないが、強くお奨めする。⑦は、模擬裁判の前に、読んでおくべし。

その他参考書としては、
⑧大江忠著「要件事実ノート」(商事法務)
⑨岡口基一著「要件事実問題集」(商事法務)
⑩司法研修所編「問題研究 要件事実」(法曹会)
⑪岡口基一著「要件事実マニュアル(上)・(下)」(ぎょうせい)
⑫加藤新太郎編「簡裁民事事件の考え方と実務」(民事法研究会)
⑬全青司編「簡裁消費者訴訟の実務」(民事法研究会)
⑭全青司編「実践簡裁民事訴訟」(民事法研究会)
⑮大阪青年司法書士会編「建物明渡事件の実務と書式」(民事法研究会)

 消費者法関係の知識が乏しい方は、⑬がお薦め。
コメント (2)

賃貸住宅の敷金及び礼金をめぐる問題について

2008-02-22 14:29:44 | 消費者問題
「賃貸住宅の敷金や礼金、不当な請求でも、うのみにするしかないの。」by 毎日新聞
http://mainichi.jp/enta/sports/general/track/ekidenko/news/20071219ddm013100074000c.html

 賃貸住宅の敷金及び礼金をめぐる問題について、毎日新聞がわかりやすくまとめている。
コメント

財務局が多重債務相談員を募集中

2008-02-22 14:22:22 | 消費者問題
 各財務(支)局、沖縄総合事務局では、多重債務者に係る相談業務等に従事する相談員(非常勤職員)を募集している。
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/saiyo.html

コメント

過払金返還債権が旧会社更生法241条で失権するか(神戸地裁判決全文)

2008-02-22 00:23:42 | 会社法(改正商法等)
 「過払金返還債権が旧会社更生法241条で失権するか」に関する、平成20年2月13日神戸地裁判決の全文である。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=35784&hanreiKbn=03

「継続的な金銭消費貸借取引において生じる過払金返還債権を,具体的な権利として行使しようと思えば,取引を終了させて額を確定しなければならないのであるから,このような過払金返還債権は,取引終了時に,具体的な1個の金銭債権として認識可能な状態となると解される(すなわち具体的な金銭債権として顕在化する-発生する-と解される)のであって,取引終了までは,いわば潜在的な権利にすぎないというべきである。」

cf. 平成20年2月13日付「会社更生手続前の過払い金、ライフに返還命令、全国初判決」


 というわけで、「ライフカード・過払・多重債務110番」が開催される次第です(私は、PRのみの協力です。)。
コメント

ライフカード・過払・多重債務110番

2008-02-22 00:13:41 | 消費者問題
「ライフカード・過払・多重債務110番」が次のとおり開催される。

日時   平成20年2月23日(土)10:00~16:00
TEL   (075)241-9561 ※ 当日のみ。
主催   アイフル被害対策全国会議 (078)371-0171
     http://www.i-less.net

 以下、110番のチラシから引用。
     
○ ライフ(ライフカード)はアイフルの子会社ですが、サラ金と同じく利息制限法を超えるグレーゾーン金利で貸金業を営んでいます。
○ 従ってライフにキャッシングの借金がある人は債務の減額や過払金の返還が認められる可能性があります。
○ ところがライフに過払金の返還を求めると、ライフは平成12年6月30日の会社更生申立以前の過払金については、会社更生手続が終了しており、免責(失権)していると主張し返還を拒みます。
○ しかしながら、ライフは平成12年6月30日の会社更生申立後もカード会員に従来通りのカードの利用を認め、グレーゾーン金利を取り続けました。過払金があることや、それを届け出ることを顧客に教えませんでした。これではカード会員は過払金の返還を求める機会が与えられません。
○ 神戸地方裁判所平成20年2月13日判決は、ライフがカードの利用を会社更生の前後を問わず継続的に利用させ、グレーゾーン金利を取り続けたことなどから、会社更生に関わらず更生前の過払金の返還を認めました。
○ この判決を多くのライフ利用者に知っていただき、払う必要の無い借金の返済に苦しまないために、過払金の返還を実現するために、無料電話相談を実施することにしました。お気軽にお電話ください。アイフル対策全国会議所属の弁護士・司法書士が無料で相談に応じます。受任の必要な方は引き続き相談に応じます。
○ 全国の被害者から相談を受け付けます。継続相談が必要な方については、各地の弁護士・司法書士を紹介いたします。
※ 広報方よろしくお願いいたします!

cf. 平成20年2月13日付「会社更生手続前の過払い金、ライフに返還命令、全国初判決」
コメント

全青司大阪全国研修会

2008-02-21 18:16:54 | 会社法(改正商法等)
 第37回全青司大阪全国研修会が次のとおり開催される。
http://www.ossk.info/ishizue/index.html

開催日 : 2008年9月13日(土)・14日(日)
会場  : 大阪国際交流センター(大阪市天王寺区上本町8-2-6 TEL:06-6772-5931 )
主催  : 全国青年司法書士協議会

 基調講演は、葉玉匡美弁護士だそうだ。面白い話をお聞きすることができそうなので、司法書士の皆さん、ぜひ参加して下さい。青年会会員でなくても研修会には参加できますが、この機会にぜひ地元の青年会に入会して下さい。
コメント

京都の住宅着工、大幅減少

2008-02-21 13:37:23 | 私の京都
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008022100084&genre=B1&area=K10


「改正建築基準法と景観政策のダブルパンチ」。それでも、京都市内は、マンションが多い。
コメント