本日、京都地方裁判所に、消費者団体訴訟制度の適用第1号となる差止請求訴訟が提起された。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080325/trl0803251135004-n1.htm
以下は、同訴訟に係る特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワークの理事長声明である。
差止にかかる消費者団体訴訟の訴え提起にあたっての声明
2008年3月25日
特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク(KCCN)
理事長 野々山宏(京都産業大学法科大学院教授)
全国の消費生活センターに寄せられる消費者の苦情・相談は今や100万件を超えています。消費者と事業者の間には、情報量、交渉力等の格差が存在し、被害に遭った多くの消費者が泣き寝入りしているのが現状です。
こうした中、昨年6月から「消費者団体訴訟制度」がスタートしました。この制度は、内閣総理大臣の認定を受けた「適格消費者団体」が、 1人ひとりの消費者に代わって、消費者契約法に違反する事業者の行為の差し止めを求める訴訟を起こす権利を認めるものです。
私たち、特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク(ECCN)は、 2007年12月25日、消費者団体訴訟制度を担う適格消費者団体として、内閣総理大臣から認定を受けました。
私たちは、この制度を市民の日の見える形で積極的に活用していきたいと考えています。本日、同制度による差止訴訟の第1弾として、私たちの身近な問題である京都のマンション・アパート賃貸借契約に関して問題となっている定額補修分担金条項について、京都地方裁判所に対し、株式会社長栄を被告として、使用差止請求訴訟を提起しました。この条項は、不当な原状回復費用特約が消費者契約法により無効となったことから、不当な原状回復条項を用いて敷金を返還していなかった実態を維持するため、敷金の代わりに、 「定額補修分担金」を徴収するという脱法的な手法です。京都におけるマンション・アパート賃貸借契約条項には極めて不当なものが多くありますが(これまでに無効となったものとして上記原状回復費用特約、敷引特約等) 、この条項もその一つであり、消費者契約法10条により無効であることは明らかです。私たちは株式会社長栄に対してこれを是正するよう申し入れをしましたが、同社はこれを返送するなど全く不誠実な対応をとっています。
私たちは、これまでも、消費者、消費生活相談員、消費者団体、学者、弁護士、司法書士が参加する団体として、不当な勧誘行為や不当契約条項の排除を求める活動に取り組んできましたが、今後も消費者団体訴訟制度を活用し、消費者被害の予防・拡大防止や、消費者の権利を具体的に実現していく諸活動に取り組んでいきます。