おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

30年来の ?

2008-03-29 | ■ サマザマな おはなし


久しぶりに 一葉の 【大つごもり】を手にした

[・・・よき事には大旦那が甘い方ゆえ、少しのほまちは無き事も有るまじ、
 厭やに成ったら私しの所まで端書一枚・・・・]


2003年に手に入れなおした岩波文庫版

独特の味があるなあ  明治の文(もちろん その当時そのものの表記というわけには
いかないが・・・第一 自分には読めないだろう)

なんて思いながら 読み始めて 

“ ン   なんか  ひっかかっているな  ・・・そうか  あのときの
あの言葉 ”


                ほまち

   主人に内密で家族・使用人が開墾した田畑、また、たく  
   わえた金
   役得
   へそくり
   個人の所有となる臨時収入


20歳代 公務員であった頃 ある夜 勤務を終えて帰ろうと
役所の外塀を曲がろうとするとき
闇から 若い?男の声

“どうです ほまち なんですが  どうです・・・ ほまち  ”

とかなんとか そうか   もしや  彼はあの時 ほまち と言ったのでは・・・


あきらかに 独り者の役所勤め男の帰りを待ち伏せていたようなシーン

カードか写真か よくわからなかったが そのようなものを片手にチラツカセ

こちらの気を誘っていました


闇の中で男に勧めるもの  たぶん あのてのもの だったんでしょうね

そんなところで お硬い実務参考書はセールスしないでしょうから

わたしも まだまだ初心(うぶ)でしたね

“こんな寒い暗い場所で しかもヒソヒソ声で 変わったセールスなんだな
もっとハッキリ 売り物を眺めさせてくれればいいのに”

なんてことを心の中で呟いていたのでした


想像ですが 小遣いに困っていたのか 親分への上納金が足りなかったのか 
惚れた娘さんとの駆け落ち代をつくろうとしたか

まだ 雪道だったかもしれません  いかにも薄い 大きめの背広だけで

寒かっただろうなあー

とにかく お金が要だったんでしょうね

相手が悪すぎました よりによって野暮な貧乏書生に
もっと機転を利かして察してあげればよかったのに・・・・なにしろ わたしときたら  
30年以上後に ァ そうだったのかな
ですもんね

ゴメンナサイね  オア兄さん  

そういえば オア兄さんの その場からの去り台詞

『どうしょうもない 世知らず男め』 という感じだったなアー 

でも わからないな  素人の男さんだったかも



遠い昔の記憶が ひょっこり と 登場しました

ありませんか 皆さんにも
ん十年来の ?


それにしても

いい題ですね


    大つごもり 
   

これだけで 小さな文机と一葉が浮かんできそうな


他にも とても素敵なタイトル ありますね

私のお気に入りを 二つ


                   

  ≪ 私 鉄 沿 線 ≫
    
            昭和にあった 歌謡曲

            この4文字 だけで 絵になりそう
            街並と 巷の人々の声が聞こえてきそうな


                       




  ≪ 中 世 の 秋 ≫ 
    
            20世紀最高といわれる歴史家
            ホイジンガの傑作

            4文字 だけで
            幽かな灰色の大気
            騎士に降りかかる落ち葉を感じます