おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

異常な状況下で

2020-04-10 | ◆ マンション管理業務  《 全般 》

 

 

 

コロナウイルス感染問題で マンション管理運営にも 諸々 影響がでています


 

2018年の管理業務主任者試験に次のような出題がなされていました


 【問31】 理事会に関する次の取扱いのうち、標準管理規約によれば、最も適切なも
       のはどれか。

1  出席が予定されていた理事が急病になったので、理事会の決議によって、その配偶
     者の出席を認め、議決権を代理行使してもらった。

2  組合員から、給排水管の改修を伴う浴室の改修工事についての「専有部分修繕等工
    事申請書」が提出されたので、理事の過半数の承諾を得て、電磁的方法により承認の
    決議をした。

3  海外出張のため出席できない理事に対して、理事会の決議によって、議決権行使書
     により議決権を行使してもらった。

4  不正が明らかになった会計担当理事の役職を解くため、入院中で出席できない理事
     に対して、理事会の決議によって、委任状により議決権を行使してもらった。


 

 

この問題などは 民法・区分所有法などを想い描いての判断だと けっこう時間がかかって

しまうことでしょう
(もっとも 管理組合理事会についての条文は そもそも 民法にも 区分所有法にも登場
  していないのですが)

<標準管理規約によれば> ということで 理事会において 唯一 電磁的方法による決議

が可能なのが標準管理規約にはある ということについての理解をも求められています

つまり ≪専有部分修繕等工事申請書についての電磁的方法による承認≫のこと

その部分に触れる と同時に 即決解答できたのでした

 

1・3・4のことは 規約で定めてなければ許されず 理事会の権限では NO ということ

 

 

 

                                   〔条文 省略あり〕

(理事会の会議及び議事)
第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことがで
きず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾がある
ときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。

 

(議決事項)
第54条 理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる
事項を決議する。
五  第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認

     ※ 専有部分の修繕等 ・ 敷地及び共用部分等(付属施設含む)の保存行為 ・
        窓ガラス等の改良工事の承認又は不承認

 

(専有部分の修繕等)
第17条
区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物
に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)で
あって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるも
のを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書
面による承認を受けなければならない。

 

 

要するに 単棟式でいいますと 

標準管理規約上で 電磁的方法 のことが登場するのは 53条の2項のところ

 

 [参 考]https://blog.goo.ne.jp/toku2184/e/d4c41ffe38a9276202809e3f43942097

 

 

 


区分所有法には 理事会に関しての条項が無い ということは フリーに解釈してよい
よって ネット会議も 原則 オーケー

という捉え方の方もおられるようですが

区分所有法には 45条で 集会(総会)に関しての電磁的方法による決議のことは
特例的に登場させている 
と解釈される
ということは それ以外の 特殊例外的な手法は そもそも想定していない 

との捉え方も当然あり 

総合考量(較量・衡量)すると 自身は後者を支持します

 

ところで

管理組合理事会における いわゆるネット参加方式のことは 標準管理規約コメント

で 規約に定めることも考えられる とあります

あくまで 一堂に会しての現実の場が設けられていて そこへ現実出席参加困難な者

の意見等の発出のことであるのであって その前提を誤解してはいけないのです

 

いずれにしても 今回の異常な情況下での教訓から 集会・理事会の決議の方法に限らず 

決議の場〔ITネット技術によって形成されるところの会同会堂〕

のことについても 公的な手当て(法令等改正)がなされ得ることでしょうが 今の段階では

決め事・約束事
である 規約 が無いにもかかわらず 安易に 事情変更の原則の応用 や 

緊急行為の
容認 とかの理論で事を進めてしまうことは 組織の実質的な利益のためにも 

厳に慎むべきと考えます

 

異常下の特殊事態とはいえ 自身は 上のような考え方を相談者の方に示しています

 

『ネットでの総会・理事会・委員会会議 どこに問題があるの ? 

顧問先マンション住民は 関連の規約など無くとも 理解してくれますよ』 と アッサリ

答えるプロの方がいたりしますが・・・

そもそも マンション住人のすべてがIT機器所持者とは限りませんし 現在の構成員に 

2週間後には 予想外の異動ありかもしれません 

 

構成員も コンセンサスも とても 流動的でもあり得るのが マンション管理組合 というもの

です

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