「坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと」
藤原和博著 ポプラ社 1155円
世田谷区の公立中学校初の民間人校長、リクルート出身の藤原氏。
ご自身の半生を振り返りながら、人生の後半をどう過ごすのかを書きつづった1冊。
新聞広告で見て気になっていた新刊本です。
藤原氏は、スーパービジネスマンとしてリクルートで大活躍、本部長まで出世したにもかかわらず、途中でフェローに転向。
イギリスやフランスに居を移します。
この本の中でも欧州人の生き方、哲学等との対比の中で、日本人についての考察を深めていきます。
日本では小さな頃から「早く」「ちゃんと」「いい子」で生きることが求められ、親や教師が期待するサイボーグになることが価値尺度となり、坂の上の雲を目指して努力することを求められたと指摘します。
しかしながら、藤原氏は、その途上で難病にかかったり、欧州に拠点を移したり、民間人校長になったりしながら、人生について考えます。
同氏はこの本の中で語ります。
「いい子は、もうやめる」
「ときには逃げてみる」
「頑張る教は、もうやめる」
「組織内自営業者になる」
「海外ブランドより、日本の文化と技術」
「会社以外のコミュニティを早めに確保しておく」
「パートナーと向き合う」
これからの日本は、かってのような成長経済ではなく、成熟社会、下り坂の社会となるのは確実です。
五木寛之さんの言葉を借りれば、「下山の思想」が必要になってくるはずです。
年金にしろ、社会保障にしろ、かなり厳しい老後が予測される今、しっかり考え、準備をすることを藤原氏は提唱します。
現在、40歳代から50歳前後の方に、ぜひ、読んでいただきたい1冊です。
ポプラ社からの発刊ということもあり、装丁も素敵です。