「サラリーマンがやってはいけない 90のリスト」
福田秀人著
ぱる出版 1470円
キャッチコピーが「大リストラ時代に生き残る!」「君は、やってはいけないことを一生懸命、やっていないか?」と少々過激。
著者の福田氏は、ランチェスター戦略学会副会長。
立教大学教授や会社経営に携わってこられた方。
学者特有の理屈だけ理論だけの主張ではなく、経営の現場、マネジメントの現場に即したリアル感が本書の随所に織り込まれています。
著者は、「部下の存在をサラリーマン最大の脅威」と主張。
管理職や経営に従事された方は、思わずニヤリとされると思います。
エージェンシー理論、情報の非対称性、労基法等の存在・・・いわゆるヒラ社員は、楽!です。
有事の際に、直撃弾を受けて抹殺されるのは、部下ではなく、上司。
また、下からの突き上げ、上からの指示命令・・・本当にリスクに取り囲まれているといえます。
「若いときにトップを走った人間は、いつのまにか会社からいなくなり、消息も途絶える」というジンクスを取り上げ、サラリーマンサバイバルのため、5つの条件を提示しています。
1.総合評価でBクラス(まあまあできる)をキープする。
2.間抜けな失敗をしないように足元を固める。
3.大きな成果を狙わず、小さな成果を積み重ねる。
4.想定外の問題には、完全な解決にこだわらず素早く対応する。
5.リストラ対象者の選考にかかわる面々に嫌悪感をもたれない。
なるほど!という感じです。
さらに、ゲーム理論やハイリスクハイリターンの罠などで、この条件を理論面で説明。
本書は、この展開で90の「やってはいけない」リストを解説していきます。
特に力点が置かれているのが、最大の脅威である部下・後輩の章。
「部下をなめるな」
「部下に迎合するな」
「部下にだまされるな」
「部下の言い分だけを聞くな」
「部下の提案にホイホイのるな」・・・。
結構ラジカルな言説が続きます。
さらに、提案制度や目標管理制度は機能せず、命令、上司としての決定が重要であることを指摘。
マメジメントの現場を知っている人には当たり前の常識なのですが、あえて書にまとめられると、強い共感を感ぜずにはいられません。
最終章では、成果主義につぶされないためにやってはいけないことで締めくくります。
成果主義、業績主義人事のピークは超え、今では「やっぱり日本では成果主義人事は合わなかったよな」という考え方が主流になっているような感じがします。
成果主義につぶされないために
77.頑張ればつぶされる
78.優等生にも劣等生にもなるな
80.誇りを捨てるしかない
82.部下指導どころではない・・・
著者の指摘は、ごもっとも。
しかしながら、このスタンスで日々のやっていたら毎日がつまらないだろうなあというのが正直な感想。
しかしながら、いたるところに地雷が埋まっているサラリーマン社会。
リスクを想定し、基本的な姿勢をキープすることは大切だと思いました。
まだまだ、サラリーパースンとしてサバイバルしていきたい方。
必読の一冊だと思います。