最近、書店の新書売場で必ず平積みされている大村大次郎さんの本。
著者は、元国税調査官。
法人税担当調査官として10年のキャリアを持たれているとのこと。
「あらゆる領収書は経費で落とせる」
「税務署員だけのヒミツの節税術」
「サラリーマンの9割は税金を取り戻せる」
「脱税のススメ」
「悪の会計学」・・・
税金の世界を熟知した著者・・・税法の中で、出来る限り税金を取られないノウハウを伝授しています。
消費税が8%に上がったり、相続税の捕捉範囲が庶民にも広がったり・・・税を巡る納税する人たちには、様々な思惑があります。
その機会をうまくとらえた大村さんは、なかなかのマーケターだと思います。
金持ち社長に学ぶ禁断の貯蓄術
大村大次郎著 中公新書ラクレ 740円+税
目次
第1章 金持ち社長は「2つの財布」を持っている
第2章 公私混同は会社経営の醍醐味
第3章 衣食住も会社の金で支払っちゃおう
第4章 なぜ売れっ子芸能人は会社をつくるのか?
第5章 社長がベンツに乗る理由
第6章 サラリーマンも会社をつくろう!
会社には、会議費、福利厚生費など経費として認められやすい勘定科目が多々あります。
これをフル活用すれば、会社を赤字にして、納税額を大幅に下げることが出来る・・・だから会社を作ることは有効な手段であると著者は述べます。
4年落ちのベンツに乗れば減価償却の耐用年数が2年なので経費計上できる、食事だって条件を満たせば、朝・昼・晩・・・経費として落とせる。
真面目に働き、税法のとおりに納税している人たちからすると、どうにも納得がいかないところです。
例えば、1000万円を給料としてもらった場合。
所得税、住民税の合計は、161万円。
会社をつくって1000万円の収入を会社を通して受けとった場合、
所得税、住民税の合計は、13万円。
なんと、10倍以上、違う・・・のです。
ただ、著者の書かれているような社長ばかりになったら、この国の明日はないように思います。
小さな会社を経営している友人は、真剣に「いかにたくさんの税金を払うか」ということを常に考え、仕事をしています。
彼は、本業に集中し、お客さんに向き合い、世のため人のためのビジネスをすることを自分の価値としています。
「節税やいろんな投資を考えたこともあったが、そんなことをやっていると本業が疎かになり、会社を潰すことになる。だから、そんなチマチマしたことに手を出さない。精神衛生上、よくないよ。」と言っていました。
社員にも、会議費や交際費などの経費もオープンにし、法人として納税した税額を毎年伝えているとのこと。
なるほど・・・。
彼の経営する会社は、逆風の中でも堅実に成長を続けています。
税金の使われ方という課題も、もちろんあります。
ただ、納税は国民の義務であり、そのお金が誰かの役に立っているという事実。
雨の日も風の日も、日々地道に働く真面目なサラリーマンによって、この国が支えられているという事実。
彼彼女たちは、先の大戦の最中に導入された源泉徴収という仕組みにより、有無を言わさずに天引きされています。
足るを知る・・・
あらためて、税金とは何かについて考えさせられた一冊でした。